昭和54年
年次経済報告
すぐれた適応力と新たな出発
目次
昭和54年度年次経済報告(経済白書)公表に当たって
はじめに
第1部 内外均衡に向かった昭和53年度経済
第1章 昭和53年度の日本経済―その推移と特徴―
第1節 石油危機後の景気回復過程の中での53年度経済
1. 53年度経済の特徴
(52年度までの経済情勢)
(53年度中の経済の推移)
(53年度経済の特徴)
2. 均衡回復の五つの側面
(1) 内需中心の景気回復
(石油危機以降の推移)
(過去の景気回復局面との比較)
(2) 企業収益の改善
(3) 物価の安定
(4) 国際収支の均衡化
(5) 改善始まる雇用情勢
3. 新たな状況の変化
(円高から円安へ)
(石油情勢の悪化)
(公共投資の伸び鈍化)
第2節 内外均衡の背景
1. 財政金融政策の効果
(公共投資の拡大)
(公共投資の生産・出荷への影響)
(現われてきた波及効果)
(金融緩和と企業収益の改善)
2. 経済主体のマインドの好転
(企業,消費者の意識の変化)
(マインドの変化とマクロ経済)
(マインド好転の要因と今後の企業行動)
3. マイナス局面に入ったJカーブ
(Jカーブのマイナス局面)
(円高のプラス局面とマイナス局面)
(輸出入のデフレ効果)
第3節 盛り上がりを示し始めた民需
1. 上昇局面に入った在庫投資
(最終需要財流通在庫から増加)
(慎重だった企業行動)
(今後の在庫動向)
2. 増勢強めた民間設備投資
(1) 設備投資動向の特徴
(2) 製造業設備投貧増加の背景
a. 需給ギャップの縮小
(需給ギャップは順調に縮小)
(需給ギャップの評価)
b. 好転した投資採算
c. 増える更新,合理化投資
(ウエイトを高める更新投資)
(着実に拡大する合理化投資)
(3) 投資循環の現局面
3. 堅調だった個人消費
(1) 個人消費の動向
(世帯別にみた特徴)
(耐久消費財支出増加の背景)
(多様化するレジャー支出)
(2) 「任意」消費性向は上昇
(消費性向が上がらない理由)
(住宅ローンの増加と消費)
4. 公庫融資に支えられた住宅投貧
(1) 量的充足と質的向上への動き
(やや減少した建設戸数)
(進む床面積の拡大)
(根強い建替え,住み替え需要)
(持家建設にみられる変化)
(首都圏におけるマンションの急増)
(2) 宅地問題
(難しい一戸建て持家の取得)
(宅地供給は近年減少)
第4節 財政金融の現状と課題
1. 財政政策の効果と大量の国債発行
(積極的財政運営と財政赤字の拡大)
(国債の大量発行の問題点)
(国債残高累増の問題点)
(金融機関の資金運用・調達の期間構成)
(金融機関の貸出選好の強まリ)
(長期資本市場への影響)
2. 金融緩和の持続と企業金融
(緩やかに伸びを高めたマネーサプライ)
(緩和を続けた企業金融)
(低下を続けた貸出金利と資本市場における長短金利の乖離)
3. 財政金融政策の課題
(財政の再建)
(金利弾力化の推進)
(国債の多様化の推進)
(機動的なポリシーミックス)
第5節 景気の現局面
(54年初の景気局面)
(石油問題の登揚)
(これからの景気動向)
第2章 黒字から赤字に転じた国際収支
第1節 減少した輸出数量
1. 輸出動向の概要
2. 円高主因に輸出数量減
(輸出変動の要因)
(輸出価格への転嫁と国際競争力)
(今後の輸出動向)
第2節 増勢著しい輸入動向
1. 輸入動向の概要
2. 製品輸入の急増
3. 原材料輸入は増加局面
第3節 赤字となった総合収支
1. 均衡基調の経常収支
(貿易収支は黒字幅縮小傾向)
(貿易外収支の赤字幅拡大)
2. 急増した長期資本収支の赤字
(長期資本収支の動向)
(資本移動の要因)
(直接投資の動向)
第4節 大きく変動した円レート
(転換点における円レートの水準)
(実質実効為替レート高水準の要因)
(円レート下落の要因)
(転換点の試算)
(円レートの大幅変動の教訓)
第3章 流動化する物価情勢
第1節 上昇に転じた卸売物価
1. 卸売物価変動の内訳
2. 変動の主役となった海外要因
(円レートの変動と卸売物価)
(海外一次産品価格の上昇)
3. 堅調だった需給地合
第2節 一段と落着いた消費者物価
1. 商品価格の安定化要因
(商品価格の安定化要因)
(円高と消費者物価)
2. サービス価格の安定化要因
3. 卸売物価と消費者物価の関係
(消費者物価と卸売物価の乖離)
(卸売物価の消費者物価への波及)
第3節 物価情勢の現段階
(卸売物価の局面比較)
(海外環境の相違)
(我が国における相違)
第4節 インフレの未然防止のために
1. インフレの経済的コスト
(インフレの経済的コスト)
(インフレのデフレ効果)
(インフレ抑制のためのコスト)
2. 48~49年の物価急騰の教訓
(1) 輸入インフレ
(フロート制下の物価間題)
(海外物価の内生的性格)
(2) インフレ期待の形成とその影響
(インフレ期待の形成)
(インフレ期待と物価)
(インフレ期待の再燃防止)
(3) マネーサプライと物価
(マネーサプライとインフレ)
(マネーサプライと物価の間の経路)
(インフレとマネーサプライの管理)
第2部 活力ある安定した発展をめざして
第1章 減量型経営からの脱却
第1節 着実な改善を示した企業収益
1. 収益の改善と業種間格差の縮小
(足ぶみを脱した企業収益)
(業種間の格差は急速に縮小)
(構造不況業種の現況)
(中小企業の収益も着実に改善)
2. 円高への企業の対応
(輸出関連業種の合理化努力)
(外貨建輸出価格の引上げ)
(輸出の減少を補った内需の好調)
第2節 減量経営の進展
(「減量経営」について)
(人件費と金融費用の負担軽減)
(安定成長に耐えられる企業体質)
(部門による減量経営の差)
(減量経営を支えたもの)
(減量経営の現段階)
第3節 減量経営の意味と問題
1. 減量経営の意味
(供給の弾力性)
(期待成長率の下方屈折)
(業況判断と利益の見方)
(減量型経営からの脱却)
2. 減量経営の問題
第2章 日本経済の体質強化
第1節 技術革新の重要性
1. 技術革新の必要性
2. 技術進歩の状況
(戦後の技術進歩)
(石油危機後の状況)
3. 技術開発の現状と問題
(技術導入の状況)
(技術水準と技術開発力)
第2節 エネルギー問題の克服
1. 石油問題の再登場
2. 省エネルギーと代替エネルギー化の進展
(1) 省エネルギーの進展状況
(省エネルギーの必要性)
(マクロ的にみたエネルギー原単位の向上)
(産業毎の原単位向上と産業構造の変化)
(主要産業における原単位の向上)
(省エネルギー投資の動向)
(民生・輸送部門での省エネルギー)
(石油代替エネルギー化の進展)
3. 省エネルギー,代替エネルギー化の評価と課題
(国際的にみた特徴)
(民生,運輸部門のウエイトの高まリ)
(産業部門のウエイトの低下)
(エネルギー対策の考え方)
(総合エネルギー対策の推進)
第3節 低生産性部門の合理化
1. 農業の体質強化
(1) 安定成長下の農業
(環境変化を受けとめる農業)
(体質改善の方向)
(2) 期待される農業技術の開発
(農業技術の開発普及)
(問題点と今後の方向)
(3) 農業におけるエネルギー消費
(投入エネルギーと農業生産)
(農業における省エネルギーの推進)
2. 流通部門の合理化
(零細店の比重の低下,法人比率の上昇)
(卸売経路の変化)
(小売業における新経営形態商店の出現と発展)
(設備の近代化)
(卸・小売部門の問題点)
(流通部門の合理化)
第3章 雇用安定への課題
第1節 石油危機後の雇用動向の特徴とその要因
1. 雇用動向の特徴の四つの側面
2. 雇用情勢変化の要因
(1) 産業構造の変化
(産業別需要動向の変化)
(製造業内部における変化)
(2) 製造業の雇用調整
(雇用と労働時間の関係)
(製造業の雇用調整)
(男子中高年齢層に厳しい雇用調整)
(3) 非製造業の雇用増加
(4) 女子労働力率の上昇
(男子の労働力率は低下)
(女子の労働力率は反転上昇)
(女子労働力率上昇の要因)
第2節 雇用情勢の評価
1. 緩やかになった賃金上昇
(緩やかになった賃金上昇)
(賃金格差は安定)
2. 雇用の安定性の評価
(1) 労働力の層による需給の不適合
(2) 女子の雇用増
(企業の女子雇用選好度高まる)
(「仕事が従な者」の増加)
(3) 男子自営業主の滞留
(4) 農業就業人口の減少止まる
(5) 転職希望率の上昇
3. 失業の増加
(失業増加の内容)
(失業増加の要因)
(離職後の状況)
(失業の現状)
4. 最近における雇用改善の動き
第3節 第三次産業での雇用増加
1. 産業別雇用動向
(製造業の雇用動向)
(第三次産業での雇用増)
2. 第三次産業雇用増加の内吝
3. 期待される雇用分野
(第三次産業雇用の特徴)
(産業,職業構造の日米比較)
4. 資源配分の多様化
(日本の経済社会の特質)
(資源配分の多様化)
(医痛,福祉面でのサービス需要)
第4節 雇用安定確保の方途
むすび
(石油危機後の調整過程の終了)
(インフレなき経済拡大をめざして)
(活力ある安定した発展をめざして)
付図・付表
付注
参考資料 昭和53年度の日本経済