昭和54年
年次経済報告
すぐれた適応力と新たな出発
昭和54年8月10日
経済企画庁
第2部 活力ある安定した発展をめざして
短期的,景気政策的な視点からは,インフレ再燃の可能性と戦いつつ景気の自律回復力を育ていくことが重要であるが,そのようにして生れる新しい成長軌道が活力ある安定したものであるためには,さらにいくつかの条件が整わなければならない。ここでは,そのなかで重要と考えられる,①企業行動がいわゆる「減量」型から転ずること,②技術開発と省エネルギー,③低生産性部門の合理化,④雇用の安定,といった諸問題をとりあげてみたい。
なお,ここまで大きくなった日本経済が国際的調和を保ちつつ発展していくという問題も重要であるが,それは主として垂直分業的な貿易,産業構造に水平分業的なものをとり入れていくこと,日木経済の重層構造的な特質を変えていくこと,といった方向で53年度年次経済報告で触れられているので,本報告では重複を避けることとする。