6. 交通・通信
(1) 国内輸送
(増加した貨物輸送)
88年度の国内貨物輸送の動向をみると,第6-1表①のとおり総輸送トン数(軽自動車を除く。以下同じ。)は60億トン(前年度比7.5%増)と前年度伸び率1.7%増を大幅に上回り,輸送距離を加味した総輸送トンキロでも4,807億トンキロ(同7.6%増)と増加した。
輸送機関別にみると,JR(国鉄)は輸送トン数で前年度比0.7%増,輸送トンキロで15.O%増となっている。
自動車は輸送トン数で前年度比7.7%増,輸送トンキロ同8.8%増となっている。このうち,営業用自動車ではそれぞれ8.1%増,9.9%増となり,自家用自動車では7.4%増,6.5%増となった。
内航海運は,輸送トン数で前年度比6.6%増,輸送トンキロで同5.6%増となった。なお,89年度の輸送トン数は前年度比9.1%増の5億3,803万トン,輸送トンキロは同5.7%増の2,246.9億トンキロであった。
航空は輸送トン数で,88年度は前年度比9.0%増,輸送トンキロで同8.9%増となった。なお,89年度(速報)の輸送トン数は前年度比6.8%増の66.0万トン,輸送トンキロは同9.2%増の6億693万トンキロであった。
以上の結果,88年度の輸送機関別国内貨物輸送トンキロ分担率をみると,前年度に比べ鉄道は0.4ポイント増の4.9%,内航海運は0.9ポイント減の44.0%,自動車は3.5ポイント増の50.9%,航空は0.1%となった。
(増加した旅客輸送)
88年度の国内旅客輸送をみると,総輸送人員は,603億人(前年度比5.3%増),総輸送人キロは9,978億人キロ(同7.3%増)となった(第6-1表②)。
これを輸送機関別にみると,JR(国鉄)は輸送入貝が前年度比5.5%増,輸送人キロが同6.4%増となった。このうち新幹線は輸送人員が2億2,776万人(前年度比9.7%増),輸送人キロが643億5,019万人キロ(同12.1%増)であり,路線別(人キロベース)では東海道・山陽新幹線が12.8%増,東北・上越新幹線が9.2%増となった。他方,民鉄は輸送人員で前年度比2.9%増,輸送人キロで同3.O%増となった。これらの結果,国鉄,民鉄を合わせた鉄道合計では,輸送人員は前年度比3.9%増,輸送人キロでは同5.0%増となった。
自動車は輸送人員で前年度比6.2%増,輸送人キロでは同9.0%増となった。
このうち,バスについてはそれぞれ0.8%増,4.2%増となった一方,自家用乗用車はそれぞれ8.7%増,10.5%増,営業用乗用車はそれぞれ0.5%減,横ばいとなった。
航空は,輸送人員では前年度比5.8%増,輸送人キロでは同6.7%増となった。
路線別では幹線は輸送人員では6.4%増,輸送人キロでは6.4%増,ローカル線は輸送人員では5.4%増,輸送人キロでは6.9%増と前年実績を上回った。また,座席利用率をみると全体で前年度比1.0ポイント増の64.6%となっている。なお,89年度(速報)の輸送人員は前年度比13.6%増の6,013万人,輸送人キロは同14.7%増の471.5億人キロであった。
旅客船は,88年度は輸送人員では0.9%減,輸送人キロでは3.0%減となった。
以上の結果,88年度の輸送機関別国内旅客輸送人キロ分担率は,前年度に比べて鉄道が0.8ポイント減の36.3%,自動車が0.9ポイント増の59.0%,航空,旅客船がそれぞれ横ばいとなった。
(2) 国際輸送
(全体として増加した我が国商船隊輸送量)
89年の輸出入の動向をトンベースでみると輸出は7,068万トン(前年比0.1%減)となり,輸入は6億8,317万トン(同3.4%増)となった(第6-2表①)。
このうち,我が国商船隊(外国用船を含む)の輸送量は,輸出は日本船輸送量が減少したため,前年比3.8%減,輸入は外国用船輸送量が増加したため,同4.2%増となった。我が国商船隊の積取比率は輸出においては46.8%で前年比1.9ポイント減,輸入においては67.3%で同0.5ポイント増となった。
このうち日本船についてみてみると,輸出では輸送量が前年比19.6%減となったため,積取比率は同2.1ポイント減の8.4%となった。
一方,輸入では輸送量が前年比4.5%減となったため,積取比率は同2.7ポイント減の32.7%となった。
(大きく増加した国際航空貨物輸送)
88年度の我が国をめぐる国際航空輸送は,輸出は増加を続け,輸入も前年度に引き続いての増加となった。88年度の国際航空貨物輸送(継越貨物を除く。)は,輸出はトン数ベースで43万トン(前年度比9.5%増),ドルベースで401億ドル(同28.8%増)となり,輸入はトン数ベースで59万トン(同25.2%増),ドルベースで416億ドル(同24.9%増)となった。このうち,我が国航空企業(4社)の輸送活動をみると,トン数ベース(継越貨物を含む。)で輸出は24.3万トン(同8.1%増),輸入は30.5万トン(同18.9%増)となり,積取比率は前年度に比べ,輸出が0.2ポイント減の39.4%,輸入が0.5ポイント減の38.9%となった。他方,国際航空旅客輸送量を我が国航空企業についてみると,輸送入員が978万人(同16.2%増)となった。
(3) 内・外通信の動向
(郵便物数)
89年度の総引受郵便物数は,214憶9,600万通で前年度比5.7%増となった(第6-3表①)。
また,89年度の小包郵便物数は前年度比26.6%増の2億9,800万個となり,年賀郵便物は前年度比14.2%増の34億2,800万通となった。
郵便事業財政は,各種のサービス改善や積極的な営業活動等により郵便業務収入の増加を図るなどして健全に推移し,81年度以降9年連続して単年度で利益を計上した(第6-3表②)。
(国内電気通信)
89年度におげる国内の電信電話サービスの状況をみると,加入電話等契約数は207万増加し,5,241万加入となった(第6-4表①)。この結果,人口100人当たりの加入電話等普及状況は,42.5加入となった。また,公衆電話機数は83万個であり,公衆電話普及率は,人口1,000人当たり6.7個となっている。一方,電報通数は252万通増加し,4,338万通となっている。
また,総合ディジタル通信サービス(ISDN)については,89年度末で,基本インターフェースによるサービス(INSネット64)が6,574回線,一次群インターフェースによるサービス(INSネット1500)が117回線という状況である。
さらに,近年めざましい増加を示しているサービスとして,キャプテン・サービスがあり,89年度末の利用契約数は102,284と前年度比14%増となっている。
(国際電気通信)
89年度の我が国の国際通信の状況をみると,国際電話の発着数は,5,539万回増加して31,092万回となっているが,国際電報,国際テレックスの発着数は,それぞれ12万通,653万回減少し,66万通,2,061万回となっている(第6-4表②)。
(新しい情報通信メディアの時代へ向けて)
85年4月1日の電気通信事業法の施行によって,電気通信事業分野への新規参入が可能となり,90年6月現在自ら電気通信回線設備を設置して電気通信事業を行う第一種電気通信新事業者として62社が許可されている。これらの企業はマイクロ無線,鉄道,道路空間を利用した光ファイバー通信や衛星通信等により事業を行うものであり,これにより,国内を対象とする第一種電気通信事業分野は日本電信電話株式会社(NTT)による独占状態から多数の事業者による競争という新しい時代に入り,高度情報社会の実現へ向けて大きな一歩を踏み出すこととなった。
また,第一種電気通信事業者から回線設備を借りてサービスを行う第二種電気通信事業分野についても,90年6月現在857社が参入し,放送系ニューメディアの実用化とも相まって,これら多様な情報通信サービスの提供により産業構造の高度化,豊かな国民生活の実現,国土の均衡ある発展に資することが期待される。