第二部 各論 五 財政 2 政府資金の対民間収支


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 昭和二四年度以降の政府資金対民間収支尻を示せば第三〇表のとおりである。

第三〇表 政府資金対民間収支

 すなわち、二四年度以降の対民間収支尻は、二五年度を除いては一貫して揚超を続けてきたが、二六、二七年度と次第に揚超の勢が弱まり、二七年度は指定予金を加えると九億円の揚超に止まりほぼ収支均衡している。

 二七年度中の推移は第五五図に示すとおりであるが、季節的変動がとくに大きいことが注目される。これは主として食管会計の動きによるものである。食管会計の季節的波動は例年のことであるが、二七年度のそれがとくに大きかつたのは、豊作と政府の米価政策に支えられて供米が極めて順調に進捗し一〇―一二月に集中したためである。このような季節的変動の大きさを緩和するために指定予金の活用が行われたことも、本年度における一つの特色であろう。

第55図 政府資金対民間収支超過額

 二七年度における対民間収支を主要会計別にみると下のとおりである。

第三一表 政府資金対民間収支内訳

(一)一般会計は歳入面において税収が年度を通じ比較的好調に進んだ反面、歳出面で防衛ならびに平和回復関係経費の支出がかなりおくれをみたことにより相当の揚超となつた。

(二)外為会計の撒超額は輸出不振を主因に前年度にくらべてさらに減少している。

(三)食管会計は前年に比し払超が大きくなつているが、これは主として前述のような理由から供米高が三月末までに二七百万石(前年二五百万石)に上つたこと、買上米価が前年より引上げられたこと、また生産者米価引上に伴う消費者米価の引上が二八年一月に入つてはじめて、実施されその間に時期的なズレがあつたことなどによる。

 以上述べてきたように二七年度予算はその構造上かなりの撒超を予想されたのであるが現実には依然として揚超を示した。このような開きを生じた理由の第一は租税収入が好調であり、減税を行つたにも拘らず二三〇億円の自然増収があつたことである。その内容は後にみるように主として給与水準上昇による源泉所得税と、消費水準向上を反映した消費税の増収によるものである。

 第二は防衛関係費および平和回復に伴う諸経費の支出未済額が第三二表に示すごとく三月末において一、〇九一億円の多額に上つたことである。これら諸経費の支出がおくれたのは、経験自体の性格によるがまた機構制度その他の事務的な整備の遅延によるものである。たとえば保安隊費のうち器材費については調達器材の検収遅延、施設費については用地買収が順調に進まなかつたことなどに基づくものである。

第三二表 防衛及平和回復関係経費支出状況

 このほか資金運用部資金および見返資金の支出が当初の計画からみると事務手続その他の関係からそれぞれ六七億円、五八億円四月以降にズレたこともあげなければならない。

 上のような理由により予算の構造上からくる撒超は、二七年度中には実現しなかつたが、年度中に支出未済で翌年度に繰越された千数百億円はいずれ支出されるものであり、今後の財政に撒超要因として附加されるものであることに留意しなければならない。

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