第一部 總説……独立日本の経済力 二 昭和二七年の経済循環 3 国民所得とその支出


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 以上のような購買力の現況は国民所得の構成において、さらに総括的にみることができる。すなわち昭和二十七年の国民所得は五兆二千億円と前年にくらべ名目で一六%、七千億円の増加となつたが、それを生産、分配、支出の三つの面からみるとつぎのような消費景気の特徴がうかがわれる。

 まず、生産国民所得を産業源泉別国民所得でみると、物財生産関係の一四%の伸びにくらべ、サービス生産面は二四%の増加となり、派生的所得の増大を物語つている。

 第二に分配面では、個人所得が増大し、法人の所得が減退している。第八図にみるように勤労所得は二二%ふえ、農民を含む個人業主所得は一九%ふえているが、これに反して法人所得は七八%に減少している。従つて国民所得の分配面からみるならば、法人企業隆昌の年(昭和二六年)から個人経済繁栄の年(昭和二七年)へということができるであろう。

第8図 昭和27年分配国民所得の構成と伸び

 このような個人所得を反映して、前に述べたとおり消費が増大し、第九図にみるように、国民総支出中に占める個人消費の割合が、二六年の五八%から六二%に上昇した。そして投資の割合は逆に二四%から一九%へ低下した。いわば、投資の年から消費の年へということができよう。

第9図 国民総支出の構成

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