平成7年

年次経済報告

日本経済のダイナミズムの復活をめざして

平成7年7月25日

経済企画庁


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第3章 公共部門の課題

今日ほど公共部門の在り方が問われている時代はない。それは,急速に変化する時代に対して公共部門の対応の遅れが目立つためである。民間部門が自由な活力を発揮できるように安定的な環境を維持するという観点からは,公共部門のある程度受動的な性質は本来望ましい側面を持っている。しかし,戦後50年を迎えてこれまでの日本経済の変化を顧みるとともに,将来に対する不透明感が生じている現状を踏まえると,公共部門に求められる課題は少なくないと考えざるを得ない。

そのような変化や不透明感の源泉は,主として次のような事象に要約できる。第一は,戦後50年の日本経済の発展あるいは高度化,第二は,金融・資本市場を中心に急速に進展した日本経済の世界市場への統合(グローバリゼーション),第三は,先進国の中でも例をみない速度で進みつつある人口の高齢化である。以下では,これらが相互に関連していることに留意しつつ,日本経済の世界市場への統合に伴って現れてきた財政政策上の問題について検討し(第1節),高齢化の経済的影響を簡単にみた上で社会保障支出との関係を調べる(第2節,第3節)。最後に,公共部門の戦後50年の変化を総括するとともに,公共部門と経済成長等との関係を分析し,これらを踏まえて今後の公共部門の課題を展望する(第4節)。


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