今回の景気循環では拡大が長期にわたったことから後退期の経験が薄れ,しかも第一次石油危機以降の景気循環における下方反転が石油危機,円高等の外的ショックによってもたらされたのに対し,今回は特に外的ショックが加わらないまま言わば自律的に景気の調整局面入りがもたらされた。第2章では,今次景気循環を戦後の景気循環の歴史の中に位置付け,景気循環のメカニズムを分析することにより,昨年来の景気調整の性格を明らかにするとともに,今後の展開を展望することにしたい。