第二部 各論 ―動乱ブームより調整過程へ 六 財政・金融 3 日銀券の足どり
日銀券の足どりは第七四図にみるように、概ね例年通りの季節的変動をみせている。すなわち年度初めから徐々に増加した日銀券は、九月からは供米代金の支払、賃銀ベースの引上などによつて次第に上昇速度をはやめ、一二月に入ると賞与支払、年末決算資金需要を反映して急激な上昇をたどり、年末のピークは五五三八億円(三〇日)に達したが、臨時寄託券制度の適用もあつて五〇六三億で越年した。
今年に入つてからは、順調な還収を示し、三月末の発行高は四、五七五億円となつた。年度間を通じての増加額は六一二億円で増加率は一五・五%(前年度二七・三%)となつている。
なお年末ピークからの収縮率は上図のごとく不況の甚だしかつた二五年度同期のそれを幾分上回り、最近の景気後退を反映している。
このような収縮をもたらした現金需要の減退は前年末からの商況不振によつて、企業の商品仕入資金、個人所得者の消費資金、農村の遊休資金などが予金化されたからである。