第2章 多様化する職業キャリアの現状と課題(第3節)

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第3節 就業形態の多様化に向けた能力開発

前節では、コンピューターにより仕事の内容が大きく変わる可能性について論じたが、機械と補完的な能力を身につけるためには、マネジメント等の代替されにくいスキルやITスキル等の専門的スキルを保持する必要がある。特に変化が激しい環境下では、生涯を通しての能力開発・訓練を行うことが重要であろう。この節では、能力開発の現状と課題について概観する。

1 企業における職業訓練の機会

まずは、企業内でどの程度の職業訓練の機会があるのか、特に企業が提供するOJT(職場内の業務を通じた訓練)やOFF-JT(職場の外部で行われる訓練)の動向を中心に現状を確認していくことから始める。

(減少する訓練費と企業規模・雇用形態間の格差)

企業における教育訓練費1の推移を確認しよう。第2-3-1図(1)は、1995年以降の常用労働者一人1か月平均の教育訓練費とそれが労働費用総額に占める割合をみたものである。教育訓練費については、2006年までは1,400円前後で推移していたが、2011年以降若干減少し、1,000円程度で推移している。労働費用総額に占める割合も2006年の0.33%から減少し、2016年では0.24%となっている。こうした企業の教育訓練費への出費は、企業規模による格差が非常に大きい(第2-3-1図(2))。規模が1000人以上の企業の教育訓練費は、30~99人の企業の教育訓練費の3.6倍あり、勤める企業の規模により受けられる人的投資が大きく変わってくることがわかる。

また、国際的にみた場合の教育訓練費は、日本は他国より低い可能性がある(第2-3-1図(3))。産業構造や雇用システム等が国により違うため、ある程度幅を持ってみる必要はあるものの、相対的に差異が少ないと考えられる製造業を対象に比較した場合、労働費用総額に占める教育訓練費の割合は、日本の値が他国よりも低くなっていることがわかる。

第2-3-1図 教育訓練費の動向
第2-3-1図 教育訓練費の動向 のグラフ

職業訓練の機会に対する格差は、企業規模だけでなく、雇用形態でも異なっている。第2-3-2図は、雇用形態・企業規模別に雇用者の2016年におけるOJTとOFF-JTの受講割合をみたものであるが、雇用形態にかかわらず、企業規模が大きいほど、OJTとOFF-JTを受講した雇用者の割合が高くなる傾向がある。

次に、雇用形態別にみると、OJTの受講機会については2、雇用形態による差はほとんどみられないが、OFF-JTの受講機会の割合は両者の割合に大きな差がみられ、正社員のOFF-JTの受講割合は正社員以外の受講割合の1.7~1.9倍となっている3。正社員と正社員以外の教育訓練機会の差は、主にOFF-JTによってもたらされていると考えられる。

非正規職員はOFF-JTを受講できる機会が少ないため、一度、非正規職員として働くようになると、能力アップの機会が得難く、正社員にも転換しづらい。こういったOFF-JTの機会の差は、正規と非正規間の柔軟な移動を阻害し、労働市場におけるセカンドチャンスを少なくしている可能性がある。正・非正規間における不合理な格差を是正することが非常に重要と考えられる。

第2-3-2図 OJTとOFF-JTの受講状況(2016年)
第2-3-2図 OJTとOFF-JTの受講状況(2016年) のグラフ

(マネジメント・コミュニケーション研修が重要)

次に、企業のOFF-JTの内容面について確認する。企業が行っているOFF-JTは実に様々なものがあるが、今後、非常に重要になってくると思われる訓練が、前節でも指摘したマネジメントやコミュニケーションスキルを育成する研修であると考えられる。現在の日本企業には、年齢を重ねて成果をあげていけば、自然とマネジメントもうまくできると考える傾向があるが、マネジメントは専門的なスキルであり、それを持たない人に管理職を任せることは会社にとって不利になることが指摘されている(柳川、2013)。

今後、仕事内容があらかじめ設定されている職務給的な働き方が増え、同じ職場の中でも働き方が異なる職員が存在するようになると、個々人の働き方に応じて適切に人事管理を行っていく必要がある。このような環境変化に対応せず、これまで同様の無限定で働く正社員を前提にした「マネジメント」では、生産性が上がらず、社内の優秀な人材が退職する可能性が高くなると考えられる。

第2-3-3図は、正社員に対してOFF-JTを実施した事業所とOFF-JT未実施の事業所における正社員の離職率をみたものである。全般的に、OFF-JT未実施の事業所では、実施した事業所と比較して、正社員の離職率が高くなっていることがわかる。

次に、正社員に対し何かしらのOFF-JTを実施した事業所を対象に、特定のOFF-JT研修の実施状況別に正社員の離職率を確認すると、初任層を対象とする研修については、実施の有無にかかわらず離職率に差はないが、新たに中堅社員や管理職になった者を対象に研修を行った事業所では、離職率が0.8%ポイント程度低くなっている。この傾向は、マネジメント研修、コミュニケーション研修の実施の有無でみた場合により明確になり、それぞれ1.3%ポイント程度、1.9%ポイント程度の差が生じている。なお、OFF-JT未実施の事業所と比較すると、マネジメント研修、コミュニケーション研修を実施した事業所の離職率は、それぞれ2.3%ポイント程度、3.0%ポイント程度低くなっている。

こうした研修を通して、適切なマネジメントやコミュニケーションを職場内で心がけている事業所では、離職率が低くなっていると考えられる。OFF-JTの実施は会社にとってはコストだが、優秀な人材が退職するコストを防ぐためにも、こうしたOFF-JTの研修は非常に重要である可能性を示唆している。

第2-3-3図 研修実施別の正社員離職率
第2-3-3図 研修実施別の正社員離職率 のグラフ

(OFF-JTは自己啓発にもつながる可能性)

また、OFF-JTの実施により、雇用者の意識が向上することで、自主的に勉強する(自己啓発する)ようになれば、企業にとって、OFF-JTの実施は費用対効果の高い投資となる可能性が指摘できる。

第2-3-4図は、OFF-JTを実施している企業と、実施していない企業別に労働者の自己啓発の実施割合をみたものである。正社員では、企業規模の要因をコントロールしても、OFF-JTを実施している企業の方が、雇用者の自己啓発の実施割合が高い傾向がみられ、企業規模が大きくなるにつれてこの傾向はより顕著になる。雇用者の自己啓発を促すようにOFF-JTを実施できれば、企業にとっては、訓練にかけたコスト以上のリターンがあることになる。ただし、正社員以外においては、企業規模やOFF-JT実施状況にあまり影響されていない。

第2-3-4図 OFF-JT実施事業所別の自己啓発実施割合
第2-3-4図 OFF-JT実施事業所別の自己啓発実施割合 のグラフ

2 自主的な訓練はなぜ重要か

企業からの教育訓練費が十分に受けられない状況下では、自分でスキルアップを行う、自己啓発を行う必要が出てくる。ここでは、自主的に能力のレベルアップのために行なっている自己啓発の取組を確認し、実施している人の特徴と、なぜ自己啓発が重要なのかについて論じていく。

(どのような自己啓発が有用か)

自己啓発を実施している雇用者の割合を確認すると、2016年中では、正社員の45.8%、正社員以外では21.6%が自己啓発を実施している4。では、自己啓発の内容や、雇用者がどのようにそれを評価しているのか詳細にみてみよう。

第2-3-5図(1)では、自己啓発を行った雇用者を、自己啓発が業務に対して役立ったか否かの回答により、3つのグループに分割し5、それぞれのグループで、雇用者がどのような自己啓発を行っていたのかを正社員・正社員以外でみたものである。いずれのグループでも、テレビやネット等による学習の割合が最も高い。コストも安く始めやすい方法であるが、グループ間に差がないことを考えると、効果は一概には言えない。一方、特に正社員において比較的差がみられるものは、社外や社内の勉強会・研究会への参加や、民間教育訓練機関の活用である。一人で学習するよりも、社内外を問わずにグループで学習することで、より問題意識や課題が明確になり、効率的に学習できると考えられる6。なお、大学や学校の活用はそもそも利用している人が少ないため、このグラフから評価するのは困難である。

自己啓発には、必ずしも高いコストを払う必要はない。第2-3-5図(3)では、自己啓発の受講費用を示しているが、役にたったと回答した人の過半数以上は1万円以下の費用で行っている。逆に、役に立たないとのグループの方が、費用を多く払っている人の割合が高い傾向にある。例えば、社内、社外の勉強会・研究会等であれば、コストも比較的安く、費用対効果も高い傾向にあると考えられる。

第2-3-5図 有用な自己啓発の方法
第2-3-5図 有用な自己啓発の方法 のグラフ

(自己啓発に対する課題)

次に、自己啓発を行うことに対する課題について考察する。第2-3-6図は、自己啓発に対して問題を感じている労働者を対象に、感じている問題点別に自己啓発の実施割合をみたものである。正社員・正社員以外ともに、仕事や家事等が忙しくて自己啓発の余裕がないと回答している人の自己啓発割合が高く、忙しい中、能力アップの重要性を理解し、なんとか勉強しようとしていると言える。また、自己啓発の結果が社内で評価されないと考えている人も、実際の自己啓発の実施割合は高い。ただし、せっかく自己啓発を実施しても、能力に応じた評価がなされなければ、今後も自己啓発を行うインセンティブが低くなってしまう可能性がある。

正社員・正社員以外ともに、「目指すべきキャリアがわからない」、「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」と回答している人が、自己啓発の実施割合が低いことは注目すべきであろう。キャリアが多様化すれば、キャリア形成を行うのは労働者自身である7。やる気はあっても、どのような事を実際に行えばよいのかわからないと回答している人たちに対し、どのようにサポートしていくかを考えていくことが重要である。

第2-3-6図 自己啓発の課題(2016年)
第2-3-6図 自己啓発の課題(2016年) のグラフ

(特に教育年数の少ない労働者等へのキャリア形成支援が必要)

では、目指すべきキャリアが明確でないなど、サポート対象とすべき人々にはどのような特徴があるだろうか。ここでは、自分自身の職業生活設計8について、自分で考えたいと思っている人とそうでない人の特徴についてまとめていきたい。

自主的なキャリア設定をしている人の特徴について、前掲第2-1-7図同様にランダム・フォレストを使った分析を行うことで、多数ある変数のうちどの変数の重要度が高いのかを概観する。分析結果をみると(第2-3-7図(1))、正社員・正社員以外ともに、自己啓発を実施しているかどうかが、自分で職業生活設計をしたいと考える人の特徴であることがわかる。その他では、正社員では学歴、役職などが重要な変数となる一方、正社員以外では、雇用形態や業務内容等が重要な変数となっている。

実際に、これらの重要な要因等を使って、自身で職業生活設計を行いたい人とそうでない人の特徴が最も明確になるように(最も推計誤差が小さくなるように)、ツリー構造をした「決定木」と呼ばれるグラフの作成を行った9。この分析手法を用いることで、職業生活設計の自主性について、変数間の複雑な関係をより明確な構造に変換し把握することが可能になると考えられる。具体的には、複数の説明変数で、職業生活設計を自分でしたい人の比率が高まる(低まる)ように分割していき、決定木が作成される。

分析結果をみると(第2-3-7図(2))、正社員では、自主的に職業生活設計を考えている割合は、将来に備える目的で自己啓発を実施している人では8割となるが、実施していない人では65%と大きく下がる。だが、実施していなくても大卒・院卒であれば、職業生活設計の自主性割合は73%と増えるが、大卒・院卒以外では59%と大きく差が開く。

正社員以外でも、自己啓発の実施が自主的なキャリア形成にとって、重要な要素であり、自己啓発を実施している者の自主的な職業生活設計の割合は74%と非常に高い。一方、自己啓発を行っていなければ同割合は全般的に低下する傾向があり、その中でも、雇用形態がパート等、大卒・院卒以外、業務内容が現業系10の者では、自分で職業生活設計をしたい割合は28%と非常に低くなっている。

以上の分析は、職業キャリアが多様化し、自分自身でキャリア形成を考えていく必要が生じた際に、自己啓発の実施が非常に重要な要素になってくることを示唆している。自己啓発を行っていない層では、特に教育年数が相対的に少ない労働者等で、自身が目指すキャリア形成について明確でない人が多いと考えられるため、公的な職業訓練の充実や、資金面の制約から訓練を受けられない人への訓練機会のサポート等を行っていくことが重要だと考えられる。

第2-3-7図 職業生活設計の考え方
第2-3-7図 職業生活設計の考え方 のグラフ
コラム2-2 仕事の性質と充実度からみたOFF-JTとフレックス制度

OFF-JTを受講している人やフレックス制度等で柔軟な働き方をしている人は、どのような特徴があるのか、仕事の性質と充実感の観点から主成分分析を行った。具体的には、アンケート調査における11項目の質問事項を主成分分析で2軸に集約した。その結果、1つ目の軸としては、生き生きと働くことや、成長の実感、仕事の満足度などで特徴づけられる「仕事への充実感」が浮かび上がった。2つ目の主要な軸は、様々な仕事を担当したことや、社内外の他人に影響を与える仕事に従事した等で特徴づけられる「多様で影響の大きい仕事」となった。

この2軸をベースに、OFF-JTの受講時間をプロットすると、右上がりの関係があり、OFF-JTを受講する機会がなかった人は、単調かつ影響の大きくない仕事で仕事の充実感も低い傾向にある。一方、より長時間のOFF-JTを受講できている人は、仕事の充実度が高く、多様で影響の大きい仕事に就いている傾向がある。企業が重要なポジションについている人をターゲットにOFF-JTを行っていることがうかがえる。

また、フレックス制度の利用状況(勤務時間、勤務場所を自由に選択できるか否か)をみると、利用できない人は仕事の充実感が低いが、多様で影響の大きい仕事に従事している傾向がある。一方、勤務時間・場所を自由に選択できている人は、仕事の充実度が高いものの、仕事の性質は単調かつ影響が大きくない傾向がある。フレックス制度を活用できている人の仕事の充実感が高いという点は、柔軟な働き方が雇用者の満足度の向上につながる可能性を示唆しているが、現状ではフレックス制度が適応されている人は、比較的影響力が少なく単調な仕事に就いている人が多いと言える。

コラム2-2図 仕事の性質と充実度からみたOFF-JTとフレックス制度
コラム2-2図 仕事の性質と充実度からみたOFF-JTとフレックス制度 のグラフ

3 学び直しはどこまで浸透しているか

より本格的にスキルを学ぶために、社会人が大学等に通い知識を勉強しなおす「学び直し」の重要性が指摘されている。定期的に技能をアップデートする必要のある環境下では、生涯を通した学習は必須である。ここでは、社会人の学び直しに焦点を当てて、その動向を考察する。

(学び直しが少ない日本)

今後の重要性が指摘される学び直しだが、日本においては、大学等の教育機関に通う社会人が諸外国と比較して少ない可能性がある。第2-3-8図(1)は、25~64歳のうち大学等の機関で教育を受けている者の割合をOECD諸国で比較したものだが、イギリスやオーストラリア等では15%を超えているが、日本の割合は最も低く2.4%にとどまっている11。他国と比較して大学等へ再び勉強しに戻るという習慣が少ない可能性が指摘できる。

第2-3-8図 学び直しの国際比較
第2-3-8図 学び直しの国際比較 のグラフ

また、最近では、MOOC(Massive Open Online Course) と呼ばれるインターネット上で受講できるオンライン講座の発展が目覚ましく、2016年には、700以上の大学から、合計6,850コースが利用可能と言われている(Shah, 2016)。しかし、オンライン学習の割合でも日本は決して高くない。第2-3-8図(2)は、インターネットを利用した者のうち、オンラインコースを受講した割合をみたものだが、日本のデータが2012年時点であることも影響している可能性はあるが、ここでも日本は非常に低い割合となっている。

では、上記のような、日本の学び直しに対する課題はどこにあるのだろうか。第2-3-9図(1)(2)では、大学で学び直しを行ったことのない社会人に対してアンケートをとったものであるが、学び直しの障害として、費用が高過ぎると指摘する声が最も多い。また、学び直しを行う際に想定される目的としては、資格の取得や、現在の職務に必要なスキルを得るという項目が上位にきている。

このように社会人にとって、学び直しの費用が高いと考える背景の一つには、学び直しを行っても処遇が変化しない、あるいは評価されないことが背景にある可能性が指摘できる。過去5年間で大学等へ従事者を送り出した実績のある組織に、受講終了後の処遇変化を聞いたところ、明確に、変化があったと回答した割合は23%にとどまっている(第2-3-9図(3))。学び直しの際に想定される目的に現在の職務のためとの回答が多いが、せっかく学び直しを行っても現職での処遇が変わらないのであれば、それは費用が高過ぎると感じても不思議ではない。学び直しが進まない要因の一つには、学び直しが適切に評価されないことがあると考えられるのである。

第2-3-9図 学び直しの課題
第2-3-9図 学び直しの課題 のグラフ

(教育訓練休暇制度の促進が必要)

第2-3-9図(1)では、十分な時間がないことも学び直しの障害として回答されていたが、業務が忙しく時間がとれない場合、解決策の一つとして、教育訓練休暇制度を活用することが考えられる。

厚生労働省の調査によると、約14%の事業所が教育訓練休暇制度を導入しているとの結果が得られている12。これを雇用者側からみると、教育訓練休暇制度を利用できる雇用者の割合は2割程度となっており、実際に2015年度中に利用したことがあると回答した雇用者の割合は3%弱となっている(第2-3-10図(1))。現時点では教育訓練休暇制度を利用できる環境下にある雇用者は限定的であるため、制度の導入を促進することが必要だと考えられる。

また、教育訓練休暇制度の導入は、普段から学校等との付き合いがあれば、その導入割合が高くなる傾向がある。専修学校・各種学校や高等専門学校等が主体となる教育訓練(OFF-JT)を実施している事業所では、利用していない事業所と比較して教育訓練休暇制度の導入割合が高くなっている(第2-3-10図(2))。OFF-JTで学校等を利用した際に、その有用性が認識されれば、教育訓練休暇制度の導入にも積極的になる可能性が考えられる。

第2-3-10図 教育訓練休暇制度の現状
第2-3-10図 教育訓練休暇制度の現状 のグラフ

1 ここでは厚生労働省「就労条件総合調査」のデータを利用しているが、同調査における教育訓練費は、「企業の教育訓練施設に関する費用、講師・訓練指導員に対する手当・謝礼、講習会への参加・委託訓練、国内・外留学に要する費用など」と定義されている。
2 ここでは上司や先輩から何らかの指導を受けた者の割合をOJT受講割合としている。なお、リクルートワークスの調査では、OJTの機会として、上記以外に、上司や先輩を観察することで新しい知識・技能を身に付けた、マニュアルを参考に学んだ、という項目も調査しているが、これらを合わせても雇用形態間で大きな差はない(正規:50.2%、非正規:44.1%)。
3 原(2014)は、企業の「非正社員を積極的に活用する方針である」という要因をコントロールしても、正社員と非正社員のOFF-JT受講確率の格差が残ることを示している。
4 厚生労働省「平成28年度 能力開発基本調査」。
5 雇用者が回答する役立ち度の回答分布をみると、正社員・正社員以外ともに、「どちらかというと役に立たなかった」、「役に立たなかった」、と回答した割合が少なかったため、両者を一緒のカテゴリーにした。
6 柳川(2013)は、将来のリスクとチャンスに備えるため、社内・社外で仲間作りを行い、グループで勉強しスキルを身に付けることが有用であると指摘している。
7 安藤(2017)は、今後の社会変化を踏まえると、仕事の範囲が明確な職務給型の働き方が増加するが、職務給型の場合は、労働者が主体的にキャリア形成について考える必要があり、労働者のスキルアップのための取組が課題となることを指摘している。
8 職業生活設計について、質問票では「労働者本人の適正、職業経験等に応じ、職業の選択、職業能力の向上のための取組について企画し、まとめたもの」と定義されている。
9 詳細は付注2-1別ウィンドウで開きます を参照。
10 ここでは保安、生産工程、輸送・機械運転、建設・採掘、運搬・清掃・包装等の仕事を「現業系」の業務内容としている。
11 OECD(2017)のデータによると、セミナー、ワークショップ、プライベートレッスン、OJTのための組織的なセッション等の学校教育には該当しない教育活動(インフォーマル教育)へ参加した者を含めても、日本の参加割合は42%であり、OECD平均(50%)を下回っている。
12 厚生労働省「平成28年度 能力開発基本調査」の事業所データより算出。正社員または正社員以外のいずれかを対象に教育訓練休暇制度(有給、無給の両方を含む)を付与している事業所の割合。
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