第4節 景気の先行き
第1章 景気回復力の展望
第4節 景気の先行き
日本経済は、2002年に入って悪化テンポが次第に弱まり、景気は底入れし、一部に持ち直しの動きがみられるようになった。第1節でみたように、景気が底入れに向かうことができた背景には、米国を始めとする海外経済環境の好転と国内での在庫調整の進展等があった。第2節では、デフレ下における企業・銀行・家計の各部門の行動を検討する中で、過剰債務・不良債権問題など構造的な下押し圧力が引き続きみられており、デフレと実体経済の低迷が相互作用していることを明らかにした。また、第3節では、こうした中でのマクロの財政金融政策の動向について分析した。
以上の分析を踏まえれば、日本経済の先行きを見通すに当たっては、次のような点をどうみるかということが重要なポイントとなる。
- (i)輸出増加の持続性とその強さ
- (ii)設備投資の回復時期とその強さ
- (iii)消費が上向いていくかどうか
- (iv)財政金融政策のマクロ的影響
- (v)デフレが解消するかどうか
本節では、こうした点を中心に、景気の先行きについて検討を行う(90)。
以下で詳述するが、景気の先行きについて期待されるシナリオは、輸出の増加や生産の持ち直しの影響から、次第に企業収益や雇用・所得環境が改善し、さらに民間需要の好転へと波及して、景気が緩やかに持ち直していくというものである。ただし、企業部門等の調整圧力は強いため、その波及は困難を伴い、当面の回復力は極めて弱いものになるとみられる。特に、外的なショックに対しては脆弱であると考えられる。このため、対外環境の変化には注意を要する。
基本的なシナリオにおいては、米国を始めとする世界景気が今後も緩やかに回復を続けていくケースを前提としている。しかし、2002年度入り後、米国の株価が軟調に推移し、7月にはナスダック総合指数やニューヨークダウ平均が2001年9月の同時多発テロ後の安値を下回り、アジアやヨーロッパの株式市場にも波及するなど、世界的な株安となった(91)。また、為替も大幅なドル安となり、世界的に金融市場が不安定な状況となった。現在の我が国の景気が、輸出に依存する度合いが大きいだけに、米国等世界経済が低迷し、為替が大きく円高に向かうようであれば、我が国の輸出や輸出企業の収益が下押しされ、企業部門を起点とする景気回復が腰折れする可能性も否定できない。
1 輸出増加の持続性とその強さ
輸出は、2002年に入り、下げ止まりから増加に転じた後、年央にかけて、大幅に増加した。第1節でみたように、米国経済やアジア経済の回復によってもたらされた輸出の増加が、今回の景気底入れをもたらした主な要因の1つである。したがって、国内景気の先行きを展望する上で、輸出の増加が持続するかどうかを見極めることが、重要なポイントの1つである。
こうした観点からは、米国経済における回復の持続性及び回復力をどうみるかが、重要である。第1節でみたとおり、2002年入り後の日本からの輸出増加は、アジア向けの寄与が大きいが、その背景にあるアジア経済の回復も、米国経済の回復が果たした役割が大きいからである。
第1節でみたとおり、米国では、2001年10-12月期から2002年1-3月期にかけては、在庫調整進展の効果がみられたことや、個人消費が堅調さを取り戻したこと等から、再び高めの経済成長率を取り戻した。しかし、2002年4-6月期は、経済成長率の伸びが鈍化している。
米国経済の2002年央以降について、標準的なシナリオとして考えられるのは、在庫投資の寄与が剥落する一方、個人消費が堅調を持続し、設備投資が緩やかに回復することで、持続的な回復軌道をたどるというものである。このように米国経済の回復が持続すれば、アジア経済にも好影響がもたらされ、我が国からの輸出が増加を続けることになると考えられる。ただし、在庫投資の寄与の剥落のほか、後述にみるような企業や家計のマインドの慎重化等から、当面は回復ペースが緩やかになる可能性がある。この場合、我が国からの当面の輸出についても、2002年前半に在庫復元の動きもあって急回復したペースよりは伸びが鈍化するとみられる。
以上の点を確認するため、米国経済の回復の持続性を占う上で重要な消費と設備投資の先行きについて検討しよう。
● 米国の消費の先行き
消費については、2001年度中、雇用調整の動き、失業率の増大が所得を押し下げたが、減税や金利低下(住宅ローン借り換え)等による家計部門の堅調な動きが米国景気を下支えした。
今後、財政金融政策による追加的な効果は徐々に弱まってくるとみられるが、企業収益の改善等による設備投資の回復が今後の景気を引き上げる役割となるとみられる。これが、雇用・所得環境の改善をもたらし、消費を下支えすると思われる。
● 米国の設備投資の先行き
米国の設備投資は、2000年10-12月期から2002年4-6月期まで7期連続で減少した。しかし、機械設備及びソフトウェアが増加に転じる等、マイナス幅が大幅に縮小してきている。生産・稼働率、企業収益の動向をみると(第1-4-1図)、2002年入り後、緩やかな上昇傾向にあり、実体面からみると、設備投資についても、2002年央からの緩やかな回復が展望可能な状況にある。
このように、米国での消費が堅調な伸びを続けるとともに、設備投資も回復するというのが基本的なシナリオと考えられる。しかし、懸念材料も存在する。中でも、大きな懸念材料は、2002年度入り後の大幅な株価の下落である。上記のとおり、実体経済が回復局面にあるにもかかわらず、株価が大きく下落した要因の1つとして、エンロン等の経営破綻に伴う企業会計不信が挙げられる(92)。株価の下落は、家計や企業マインドの悪化や、逆資産効果を通じて、家計の消費や企業の資金調達や設備投資に悪影響を与える懸念がある(93)。
また、米国経済の先行きに対する不透明感の強まりが為替市場を不安定にさせる懸念がある。実際、2002年度入り後、夏場にかけて、大幅なドル安が進行した。これは、経常収支の赤字幅拡大や、株価下落等に伴う米国経済の先行き不透明感の増大からドル資産の収益性に対する不透明感も高まったためと考えられる。この間、米国の長期金利は下落し、我が国との金利差も縮小した。
このような懸念が顕在化し、米国経済の緩やかな回復が止まり、さらにドル安・円高が進むようであれば、輸出や企業収益の下押しを通じて、我が国の景気へ与えるマイナスの影響は大きい。輸出の増加を起点に、生産・稼働率が上昇し、設備投資の回復につながっていくことが、我が国の景気が持ち直すための中心シナリオだけに、輸出の増加が期待できないようであれば、このシナリオが崩れる可能性がある。
2 企業部門の先行き
生産については、輸出の増加や在庫調整の終了を背景に、下げ止まりから持ち直しの動きとなっている。先行きについては、上述のとおり、輸出向けの生産は伸びが鈍化しつつも増加を続けることを前提にすれば、後述のように企業収益の好転もあって、設備投資等民間需要への波及が徐々に見込まれることから、生産全体では伸びが鈍化しつつも持ち直し傾向が続くことが期待される。
● 企業収益
企業収益に関しては、財務省「法人企業統計季報」でみると、2001年後半は製造業を中心に大幅な減少となったが、その後2002年前半は製造業を中心に減少幅が縮小しており、下げ止まりの動きがみられる。第2節でみたように、収益の要因分解をみると、製造業を中心に数量の減少が大きくマイナスに寄与してきた。今後は、生産の持ち直しを受けて、数量要因がプラスに寄与してくるとみられる。また、人員削減等固定費削減を進めた結果、売上高がさほど伸びなくても収益が上がるよう収益力の強化が図られてきている。日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」(以下短観、2002年9月調査)で2002年度の経常利益見通し(前年比)をみても、上期は若干減少となった後、下期に大幅な増益となることが見込まれている。さらに当期利益段階では、リストラの進展による特別損失の削減効果も期待されている(94)。ただし、2002年度入り後にみられたドル安・円高傾向がさらに強まることがあれば、製造業を中心に下期にかけて収益への下押し圧力がかかる懸念もある。
● 業況判断
企業マインドも好転している。業況判断をみると、短観の業況判断D.I.は、2001年中は製造業を中心に大幅な悪化を示したが、2002年3月調査では大企業を中心に下げ止まりの動きがみられ、6月調査では、全体として改善の動きがみられた後、9月調査でも小幅ながら引き続き改善した。先行きについても、若干改善する見込みとなっている。しかし、株価や為替の不安定な動きなどが続くようであれば、企業マインドを下押しする懸念がある。
● 設備投資
生産、企業収益、企業マインドの持ち直しなどを受けて、設備投資も、製造業を中心に下期にかけて下げ止まりから持ち直しに転じていくことが期待される。既に、設備投資の供給側統計である資本財出荷では下げ止まりの動きがみられる。また、設備投資に2四半期前後の先行性を持つ機械受注(船舶・電力を除く民需)をみると、2002年1-3月期にやや減少した後、4-6月期はやや増加した(第1-4-2図)。特に製造業においては、2002年1-3月期、4-6月期とやや増加しており、基調として下げ止まったとみられる。しかし、2001年度下期の減少が大幅であったため、四半期前期比ベースで上期に下げ止まり、下期に緩やかに持ち直したとしても、年度平均でみれば、設備投資は減少となろう。実際、短観(2002年9月調査)により2002年度の設備投資計画をみると、前年を下回る計画にある。
当面の設備投資の回復力が弱いものにとどまるのは、企業の期待成長率が低迷していること、過剰債務問題や資産価格デフレが特に非製造業や中小企業において下押し圧力として働くことなどによる。また、製造業においては、海外への生産拠点の移転も続くとみられる。
3 家計部門の先行き
個人消費、住宅投資は、これまでおおむね横ばい状態が続いている。その背景となる雇用・所得環境をみると、2002年入り後は、残業時間が増加しているほか、求人が持ち直し、雇用者数が下げ止まってきている上、消費者マインドも好転する等、一部改善の兆しもみられる。しかし、輸出や生産等製造業中心の企業部門の持ち直しが家計部門に波及していく過程については、アメリカ経済等の先行き不透明感を別にしても、企業部門に比べて限定した動きとなる可能性が高い。以下でみるように、正規労働者の圧縮は続くとみられるほか、賃金は、企業の根強いコスト削減姿勢を背景に当面は減少が続く見通しであるため、個人消費や住宅投資は回復に転じたとしても極めて回復力に乏しい状況が続くとみられる。
● 賃金動向
賃金については、これまで減少してきたが、企業部門が持ち直しに転じるにつれ、減少幅が縮小してくることが期待される。生産回復に伴い、所定外給与の増加が見込まれる。また、ボーナス等特別給与についても、収益の好転が確認できれば、マイナス幅が次第に縮小し、増加に転じていく可能性がある。
ただし、第2節でみたように、パート化の進展は給与総額抑制要因となっている。企業の所定内給与抑制姿勢も強い。このため、賃金面での回復が遅れる可能性がある。
● 雇用情勢
次に雇用情勢についてみてみよう。第2節で述べたように、2001年中は、製造業(特に大企業)による大幅な調整により、雇用者数は減少した。もっとも、2002年入り後は、生産が下げ止まりから持ち直しに転じるなかで、製造業の残業時間が増加し、新規求人数も持ち直してきている。当面、製造業の雇用者数が増加に転じることは期待し難いが、減少幅の縮小ないし下げ止まりは期待できる情勢にある。一方、サービス業の雇用者数については、今回は景気後退局面にかかわらず、堅調な増加を続けた。雇用者数の中身をみると、事業所向けサービスや医療・福祉関連等が増加している。サービス業の求人は引き続き堅調であり、今後の雇用者数も増加を続ける可能性が高い。このように、今回の景気後退において大きく下押しした製造業の雇用調整圧力が弱まること、サービス業の堅調が続くことから、雇用者数もやや持ち直していくことが考えられる。ただし、雇用過剰感をみると、製造業の過剰感が比較的早めに低下しているのに対し、非製造業の過剰感はさほど低下しておらず、サービス業を含めた非製造業全体で雇用者数の伸びが鈍化することが懸念される。
正規労働者の削減スタンスは強く、パート等非正規労働者中心の増加となるとみられること、また、建設業については、第2次補正予算の効果が年央から剥落してくるとみられること、倒産も高水準で続く可能性があること等から、しばらく失業率は高水準で推移し、厳しい雇用情勢が続く可能性が高い。不良債権については、2001年度中に一段と増大したこと等を背景に、金融機関の最終処理の動きが強まるとみられる。こうした処理には、倒産に至らず、経営再建計画の策定等がなされる場合にも、人員スリム化の動きが強まるとみられることから、短期的には雇用への下押し要因になるとみられる。
● 個人消費
賃金抑制が続き、雇用の改善の動きが一部にとどまる可能性を考慮すると、雇用・所得環境は引き続き厳しく、改善するとしても鈍い動きとならざるを得ないとみられる。また、こうした状況では、消費者マインドも、緩やかな回復にとどまる可能性が強い。個人消費は横ばいか、回復するとしても極めて緩やかなものにとどまるものと考えられる。
● 住宅投資
住宅投資については、引き続き世帯数の増加、第2次ベビーブーマー等による貸家需要等が見込まれる。第2節でみたとおり、これまで住宅着工の低迷が続いたことから、住宅ストック面での調整圧力は弱まっている可能性が高い。また、低金利により取得能力は高い水準となっている。しかしながら、雇用・所得環境は引き続き厳しいとみられること、不動産価格の下落傾向が続いていることにより2次取得が引き続き困難であること、等を考慮すると、若干持ち直したとしても引き続き低い水準で推移する可能性が高い。
4 財政支出の先行き
● 財政支出
第3節でみたように、公共投資が削減される一方、社会保障関係費の増大から政府消費は増加している。
公共投資は、2000年度、2001年度と前年比マイナスとなった(実質前年比:2000年度-7.4%、2001年度-6.6%)。これは、主として地方の投資的経費が厳しい財政事情を反映して削減された影響が大きい。地方財政計画と地方自治体の決算を比較して最近の推移をみると(第1-4-3図)、補助事業が国の補正予算の編成を受けて計画を上回ってきたのに対し、単独事業については、計画を大きく下回る傾向にある。
2002年度については、国の2001年度の第2次補正予算の大部分が、2002年度上期中に執行される見込みにあるものの、国の2002年度当初予算は、施設費を含む公共投資関係費について、前年度比10.7%減となっている。また、地方の投資的経費も、国の歳出予算と歩を一にして、地方単独事業費について前年度比10.0%減となっている。このことから、公共投資は総じて低調に推移するものと見込まれる。
● 政策スタンス
2002年1月に閣議決定された「構造改革と経済財政の中期展望」(いわゆる「改革と展望」)では、「期間中の政府の大きさ(一般政府の支出規模のGDP比)は現在の水準を上回らない程度とすることを目指す。」という基本方針とともに公共投資等主要歳出の抑制に関する方針を示している。この方針も踏まえ、2002年6月に「経済財政運営と構造改革の基本方針2002」(いわゆる「基本方針2002」)が閣議決定された。その後、経済財政諮問会議における「15年度予算の全体像」のとりまとめ等を経て、「基本方針2002」に沿って、2003年度予算の概算要求基準が閣議了解された。ここでは、2003年度の一般歳出及び一般会計総額を実質的に2002年度の水準以下に抑制すること等の基本的な考え方の下で、(i)一般歳出を「公共投資関係費」、「裁量的経費」及び「義務的経費」に区分することや、(ii)「公共投資関係費」や「裁量的経費」の総額を削減しつつ、要望は2割増しの水準まで認める等、各省庁が新規施策の立案に積極的に取り組むことを促しつつ、厳しい予算配分を行う仕組みとしている(95)。
ただし、歳出全体を抑制するといっても、社会保障費等高齢化等に伴い必然的に増大する経費が存在し、財政支出全体が大幅に削減されることにはならない。また、公共投資等の削減は、「基本方針2002」で述べられているように、短期的に景気に対してマイナスの効果を持ち得るが、「歳出の質の改善」を進めるとともに、構造改革を推進することで、短期的なマイナス効果を緩和し、中長期的な潜在的な成長力を高める必要がある。
5 一般物価・資産価格の先行き
● 一般物価
当面、一般物価デフレは続く可能性が高い。このため、政府、日本銀行は引き続き一体となってデフレ克服のための施策を続ける必要がある。
第1節でみたように、円安と需給改善がデフレ圧力を緩和してきた。その結果、輸入物価が上昇に転じるとともに、国内卸売物価は横ばいとなった。しかし、2002年度入り後、為替はドル安・円高に転じているため、輸入物価の低下が波及する形で国内卸売物価は再びマイナスに転じていく可能性がある。また、需要の回復力もかなり弱いとみられることから、需給ギャップは引き続き大きく、企業の過剰債務や銀行の金融仲介機能の低下から、当面は十分な銀行貸出、マネーサプライの増加にはつながらない。このため、消費者物価、GDPデフレータも減少傾向が続く可能性が高い。
● 資産価格
地価については、地価下落要因として、2003年に予想される東京都心部におけるオフィスビルの大量供給で、空室率が上昇し、平均賃料が下がる可能性が挙げられる。また、不良債権処理等に伴う土地の供給圧力も強い。一方で、地価上昇要因として、都市再生等構造改革の推進による土地の有効利用拡大が挙げられる。いずれにしろ、土地の利便性、収益性等の違いによって地価の地域・物件ごとの差が広がる可能性がある。
株価については、企業収益の好転が好影響を与える可能性がある。一方、金融機関による保有株式売却の圧力が続くとみられるほか、アメリカの株価等世界の金融経済動向についての不透明感が強まった場合には、国内株価の下押し要因となる。
地価、株価の資産価格については、構造改革により収益性を改善し、中長期の成長率を高めていくことが重要である。資産価格の低迷が続くことは、企業や金融機関のバランスシートを悪化させ、経済に対して下押し圧力となるので、その動向を注視する必要がある。
● 金融政策
このように、当面一般物価デフレが続く可能性が高いことから、量的緩和政策は継続されるものと考えられる(96)。
以上の検討から分かるように、我が国の景気は、現在、輸出の増加や在庫調整の終了によって、生産が持ち直し、企業収益や雇用・所得環境の改善の動きへと波及していく段階にあり、それが順調に進めば、景気も持ち直していくことが期待される。しかし、企業の調整圧力は依然強く、波及は困難を伴う可能性が高い。また、このように回復力が脆弱である場合には、外的なショックはシナリオを崩す可能性がある。特に、今後の景気動向を考えるにあたっては、アメリカの景気動向が重要であり、アメリカ経済が万が一停滞すれば、我が国の景気回復は短期間で腰折れする可能性も否定できない。日米両国にとって、設備投資の回復時期と回復力が共通の鍵になっている。
循環的な回復局面を、力強い回復へと繋げていくためには、構造改革を進め、経済を活性化させることが必要である。政府は、2002~2003年度を不良債権処理等の構造改革を本格的に推進する集中調整期間とみている。集中調整期間中の構造改革の推進は、短期的なデフレ圧力をもたらす面と中長期的な期待成長率を高める面がある。他方で、企業や家計のコンフィデンスを引き上げれば、短期的にもデフレ克服へのプラス効果も期待できよう。