第2章 第1節 2.人口減少に直面する市町村
(人口の減少する市町村の広がり)
前でみたように、地域ブロック別の動向をみると、2000年代前半には、沖縄以外の地方圏において、人口は減少していた。それでは、市町村別にみたらどうか。
全国の市町村1について、2000年度末、2005年度末、2007年度末の3時点で、人口増減の状況をみた。2000年度末においては、全国3,250市町村のうち、前年と比べ人口が減少した市町村は2,230市町村と全体の7割弱に達していた(第2-1-4表)。
第2-1-4表 人口が減少する市町村の増加
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(備考) | 1. | 総務省「住民基本台帳に基づく人口・人口動態及び世帯数」により作成。 |
2. | 年度末時点の市町村数。なお、東京特別区(23区)は1区を1市町村とみなしている。 |
2004年度、2005年度を中心に全国的に市町村合併が実施されたことから、その後、市町村数は大幅に減少し、2005年度末には、全国の市町村は1,844と5年前の6割程度になったが、この5年間に地方圏では沖縄以外の全ての地域ブロックで人口減少となったように、急速に人口減少の地域が広がったことから、市町村でみても、人口減少の市町村数が1,378と全市町村の75%に増加した。2007年度末では、全国1,816市町村のうち、人口減少の市町村数は1,380(全体の76%)と僅かに増加している。
地方圏の市町村に限ってみると、人口減少の市町村数のシェアはさらに高まっている。そのシェアは、2000年度末には、地方圏の市町村2,326のうち、人口減少の市町村は1,725と全体の74%であったが、2005年度末には83%、2007年度末には86%となっている。このように、地方圏においては、9割弱の市町村が人口減少に直面している。
(自然減によって強まる人口減少圧力)
次に、市町村の人口規模別に人口増減の状況をみてみることにしよう。
人口減少が三大都市圏よりも進む地方圏についてみると、市町村合併の結果、2000年度から2007年度にかけて、3万人以上の人口規模を持つ市町村数はやや増加した一方、3万人未満の人口規模の市町村数は大幅に減少している。この間、人口1万人以上3万人未満の市町村は約5割、人口5千人以上1万人未満の市町村と人口5千人未満の市町村は、各々3割程度に減少している。
すでに市町村の大半が人口減少となっているが、人口減少の市町村をさらに、自然増加率と社会増加率の双方がマイナスで人口減少となっている市町村と、自然増加率と社会増加率のいずれか一方がマイナスで人口減少となっている市町村とに分類してみた。すると、地方圏においては、自然増加率と社会増加率の双方がマイナスで人口減少となっている市町村は、2000年度末には1,300市町村と、既に地方圏の市町村の56%を占めていたが、その割合は、2005年度に70%、2007年度に77%とさらに高まっている。特に人口1万人未満の市町村では、そのほとんどが自然増加率、社会増加率ともにマイナスによる人口減少となっている(第2-1-5図)。
過疎地域2の人口推移をみると、1988年度までは、社会増加率のみがマイナスで自然増加率はプラスであったが、1989年度以降から既に自然増加率、社会増加率ともにマイナスになっていた3。このように、最近の市町村別の人口増減をみると、これまでは過疎地域の特徴とみられていたことが、それ以外の多くの市町村でもみられるようになっている。
三大都市圏においても、社会増加率、自然増加率ともにマイナスの市町村の割合は増加している。三大都市圏でも、市町村合併の進展により、人口規模が小さい市町村が大幅に減少した。人口1万人未満の市町村では、そのほとんどの市町村において、人口減少となっており、しかも、その大半が自然増加率、社会増加率ともにマイナスによる人口減少である。人口10万人以上の人口規模の大きい市については、人口減少の市の数は、2000年度末と2007年度末を比較するとほぼ横ばいであるが、こうした人口規模の大きい市においても、2000年度以降、自然増加率と社会増加率がともにマイナスによる人口減少の市が出現している(第2-1-6図)。
第2-1-5図 人口が減少する市町村の分布(地方圏)
(備考) | 1. | 総務省「住民基本台帳に基づく人口・人口動態及び世帯数」により作成。 |
2. | 年度末時点の市町村数。 |
第2-1-6図 人口が減少する市町村の分布(三大都市圏)
(備考) | 1. | 総務省「住民基本台帳に基づく人口・人口動態及び世帯数」により作成。 |
2. | 年度末時点の市町村数。東京23区は、1区を1市町村とみなしている。 |
1. | 東京都特別区(23区)は、1区を1つの市町村とみなす。 |
2. | 過疎地域とは、「過疎地域自立促進特別措置法」に基づき、財政力指数(1998~2000年度)が0.42以下、公益競技収益が13億円以下で、1965年~2000年の人口減少率が30%以上等の要件を満たす地域。 |
3. | 総務省「平成19年度版 過疎対策の現況」による。 |