第1章 第1節 4.国内外とのネットワークの強化

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(日本海側の港湾の利活用)

近年、中国、韓国、ロシアといった近隣国との貿易が増加している。特に、経済成長の著しいロシアでの購買力の高まりを背景に、日本の対ロシア輸出額はここ数年高い伸びが続き、2007年は前年同期比で約54%の増加となり、2008年1~10月期でも同47%の増加となっている(付図1-6)。

こうした近隣国との貿易の増加を背景に、日本海側の港湾からの輸出が増加している。2004年から2007年にかけて、日本海側港湾からの輸出額の伸びは、日本からの輸出全体の伸びを上回り、日本海側の港湾の重要性が高まっている(第1-1-13図)。

第1-1-13図 日本海側港湾からの輸出額の推移
-進む日本海側の港湾の利活用-

第1-1-13図

(備考) 財務省「貿易統計」により作成。

日本海側の港湾の利用が増加している背景には、太平洋側に比べて地理的に距離が近く、時間・費用の両面での節約のほか、国際海上輸送の拠点である特定重要港湾に指定されている新潟港や伏木・富山港等の各港湾で、大型船舶への対応が可能となるように、岸壁や国際ターミナル等の整備といった港湾インフラの整備が行われてきたことがある。さらに、地元自治体や財界等が、近隣国を含めた船会社や荷主等に対して、日本海側の港湾への航路の誘致等、セールス活動を積極的に展開していることもあろう。こうした積極的な誘致活動の結果、2008年10月から、伏木・富山港とロシア沿海のボストーチヌイ港との定期コンテナ路線が月1便から2便に増便されるという事例もみられるようになっている。

さらに、2008年7月には、本州の中央を縦貫して太平洋側と日本海側とを結ぶ東海北陸自動車道が、1972年の着工以来36年を経て全線開通した。完成までに長い歳月を要したのは、山岳部を通過する難工事であったためである。世界的な金融危機の深刻化の影響を受け、当面はアジア経済やロシア経済の減速が続き、こうした諸国との輸出入についても鈍化や減少が見込まれる。しかし、太平洋側と日本海側のネットワーク強化は、日本海側の港湾の利便性をさらに向上させ、中長期的に、近隣国との関係性の高い分野での物流や企業立地に好影響を与え、日本海側の地域のみならず、我が国全体としての成長力強化につながることになろう。

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