事例1 |
企業・団体名 |
北海道漁業協同組合連合会 |
所在地 |
北海道 |
輸出品目 |
スケソウダラ、ホタテ |
主要輸出市場 |
韓国、中国、アメリカ、EU |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・豊不漁による価格乱高下が漁家の経営を圧迫してきたため、豊漁時の販売先として10年程前から輸出を検討。
・02~03年頃、価格暴落により販売額が大幅に縮小したのを機に輸出を開始。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・BSE問題や肥満対策等から欧米において魚介類への需要増大。
・アジアでも、所得増等を背景に魚介類への需要増大。 |
効果 |
・仮に輸出が赤字になっても、国内価格が安定すれば、その分メリットがある。
・需要の安定増加は雇用増になるはずだが、求人を出しても若年層は来ず、雇用増につながらない。加工工場を海外で建設して対応する事業者も多い。 |
事例2 |
企業・団体名 |
K株式会社 |
所在地 |
青森県 |
輸出品目 |
りんご |
主要輸出市場 |
EU、中国、スイス、中東 |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・97年のりんご価格暴落を機に、国内市場に依存する体制では豊作貧乏になるので、輸出に挑戦。
・幸い、知己のEUの商社にサンプルを数箱を送ったところ、英国の商社が興味を示し、99年から本格輸出を開始。
・中国への輸出は、東北大学の教授が進める研究で、対中貿易上の問題把握のための実験輸出に当社りんごを使ったことが縁で輸出ルートを開拓。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・中国では、春節等の節句期に大きな需要があり、その少し前の時期を狙って出荷することで輸出量を増大。
・青森の寒冷な気候条件や長期保存が可能なCA冷蔵庫の普及により、需要期にあわせた出荷が可能であり、他産地のりんごに比べ競争力あり。 |
効果 |
・ここ7~8年で雇用人員が約5割増加。
・輸出繁忙期の11~4月期には、収穫が終わった近隣農家の人も短期雇用。
・欧州の農産品の安全基準である欧州小売業組合適正農業規範(EUREPGAP)を取得し、国内での普及活動により輸出促進に貢献。 |
事例3 |
企業・団体名 |
青森県農林水産物輸出促進協議会 |
所在地 |
青森県 |
輸出品目 |
りんご |
主要輸出市場 |
台湾、中国、ロシア |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・農林水産物の進行を目的に、輸出事業を04年頃より開始した。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・台湾、中国では春節等の節句時期、ロシアではクリスマスや年始の時期に富裕層を中心に需要あり。
・台湾、中国では大玉の引き合いが強いため、青森りんごへの需要大。
・最近、中玉・小玉への需要も出てきているため輸出拡大の余地あり。 |
効果 |
・検疫で輸出禁止にならぬよう、入念な輸出前チェックをするため、人手を多く使用。 |
事例4 |
企業・団体名 |
株式会社K |
所在地 |
岩手県 |
輸出品目 |
乾鮑(ほしあわび)、なまこ等 |
主要輸出市場 |
香港、中国 |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・県開催の商談会で輸出業者と知り合いになり、02年から輸出を開始。
・その当時より、香港からの引き合いが強かった。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・中華料理の高級食材として、中国全土に輸出を伸ばす。
・良質で安心・安全な品物なので富裕層向けに引き合いが強い。
・「吉浜(きっぴん)あわび」としてブランド化しており、認知度も高い。
・なまこも富裕層向けに需要があるが、あわびより価格が低いため、中国では健康食品として輸出が増加。 |
効果 |
・取引増によって浜での取引価格が上昇し、漁家の収入増大。
・あわび・なまこの乾燥工場の建設や北海道の乾貝柱工場の建設。
・工場内設備増強や運送車両も増加。
・従業員がここ4~5年で40~50人増加。 |
事例5 |
企業・団体名 |
鹿沼市さつき盆栽海外輸出促進協議会 |
所在地 |
栃木県 |
輸出品目 |
さつき盆栽 |
主要輸出市場 |
欧州、アメリカ、韓国等 |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・国内市場の低迷の中、02年頃から、個々の業者が欧州、アメリカ、韓国等に輸出を開始。これらの国々で愛好家が増加。
・市内の業者組織が輸出事業を支援してきたが、07年に当協議会を設立して、関係機関の支援も受けて輸出事業を拡充。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・EU諸国内の植物検疫基準の改正により、「隔離栽培」による検疫簡素化があり、EU諸国への輸出が増加。
・EUでは、15年程前から盆栽本の売れ行き好調で盆栽が一般に認知。
・鹿沼市は園芸養士で水はけの良い「かぬま土」の生産地であり、さつき栽培には良好の土地柄。栽培管理の伝統的な剪定技術も継承され、質量とも優れる。 |
効果 |
・さっきの国内需要低迷の中、輸出で所得確保が可能になり、苗木の増産も実現。 |
事例6 |
企業・団体名 |
東金市植木生産者 |
所在地 |
千葉県 |
輸出品目 |
植木 |
主要輸出市場 |
中国、EU |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・中国の仲買人招聘を機に04年から大型造形樹を中心に商業輸出を開始。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・15年程前からEUで盆栽関連本が売れ、盆栽ブーム出現。
・中国で富裕層宅や寺院の庭に植えるマキ、マツの需要増大。
・他の地域より造形技術が高く、競争力あり。 |
効果 |
・海外需要を背景に地域全体で輸出向けの植木を確保し、地域全体の出荷量が増大して産地が活性化。 |
事例7 |
企業・団体名 |
JA静岡経済連 |
所在地 |
静岡県 |
輸出品目 |
緑茶 |
主要輸出市場 |
アメリカ |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・05年度から、JA静岡経済連の販売事業強化策の一環として、茶葉対米輸出事業を実施し、輸出を開始。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・輸出市場で地域団体への「お茶の淹れ方教室」を開催、商品普及。健康志向による需要増もあり輸出が増加。特に、ハワイの日系人の間で需要が強い。 |
効果 |
- |
事例8 |
企業・団体名 |
JA金沢市 |
所在地 |
石川県 |
輸出品目 |
梨 |
主要輸出市場 |
台湾 |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・大阪の市場関係者の勧めもあり、07年度から輸出を開始。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・金沢では国内他産地より早い9月に金沢梨「南水」を出荷できるため、台湾での需要期の中秋節に出荷可能。
・現在、輸出品全てが台湾の日系デパートで取り扱われる。 |
効果 |
・輸出元から2009年以降の輸出量増加を要望されており、栽培面積や品種の拡大を計画。 |
事例9 |
企業・団体名 |
JA鳥取 |
所在地 |
鳥取県 |
輸出品目 |
梨 |
主要輸出市場 |
台湾、香港、アメリカ |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・戦前、外地(台湾、満州等)に輸出した実績あり。戦後に輸出を再開し、生産量が多かった時期には低級品を中心に需給調整的な輸出を実施。現在は、生産量減少により高級品の輸出により輸出所得の確保を目指す。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・梨の生産量減少のため、かつてに比べ輸出量も減少。低級品の韓国産との競争合も輸出量減少の一因。
・ただ、台湾からの引き合いは根強く、台湾のWTO加盟以降輸出量は増加。
・優良品が中秋節の贈答品で売れる。 |
効果 |
・輸出増加で品質保存用の大型冷蔵庫の投資需要が発生。
・生産量減少で雇用増は難しいが、農業人口の減少の歯止めの役割は果たす。 |
事例10 |
企業・団体名 |
漁業・水産加工販売会社数社 |
所在地 |
愛媛県 |
輸出品目 |
たい(活魚)等 |
主要輸出市場 |
韓国、中国 |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・相手国からの引き合いがあり、輸出を開始。
・国内市場の流通の悪さから価格交渉ができず、収益にならないため海外市場に目を向けざるを得なかった。
・韓国のたい等の輸出関税は高いが、将来のFTA(自由貿易協定)締結による関税引き下げを見越して輸出を開始。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・韓国、中国では富裕層を中心に日本産の上質で安全な魚介類への需要が強く、消費者の期待に応えるべく上質な魚を輸出。
・油価高騰によりコスト高になっても、国内では価格転嫁が困難だが、海外では価格転嫁が可能である等、輸出メリットは大きい。 |
効果 |
・輸出事業により運送用の船や車両の数を増加。アメリカやロシア向け輸出も計画しており、加工設備や保存設備の増設を検討。
・ここ2、3年で5人程度雇用を増加。
・国内需要の低迷を輸出事業が補完。 |
事例11 |
企業・団体名 |
熊本県農畜産物輸出促進協議会 |
所在地 |
熊本県 |
輸出品目 |
いちご |
主要輸出市場 |
香港、シンガポール |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・近隣諸国の所得向上や日本食ブーム等を受けて県で輸出可否を検討。5年程前からJA等が中心になりテスト輸出をしたことを契機に輸出開始。
・みかん、林産物、水産物は以前から輸出実績あり。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・近年は、輸出の方が儲かるとの認識があり、輸出を重視するようになっているが、輸出比率はまだ非常に低い。
・輸出いちごは、現地スーパー、百貨店で日本の2~3倍の価格で、富裕層を中心に販売。現地で近県の輸出いちごと競合しているが、売れ行きは良好で競争力あり。
・アジアに近い地理的利点を生かして輸出。 |
効果 |
・どの生産農家もいちご生産量は減少傾向だが、輸出向け生産農家の減少には歯止めがかかっている。
・需給調整まではいかないが、輸出することで国内市場への心理的圧力になっているとの認識。 |
事例12 |
企業・団体名 |
沖縄県漁業協同組合連合会 |
所在地 |
沖縄県 |
輸出品目 |
もずく |
主要輸出市場 |
中国、香港、アメリカ等 |
輸出の理由、契機及び開始時期 |
・もともと生産量が安定しておらず、需給調整のため輸出開始。
・最近は、生産技術の向上により生産量も安定しているが、国内での「もずくブーム」が影を潜め、海外に輸出しないと在庫がはけない状態。 |
輸出増加要因及び輸出競争力 |
・中国で薬膳料理などに使われる珍味の髪采(はっさい)の代わりの食材として需要あり。高級品までとはいかないが、少し高めの価格で日系の百貨店などで販売。 |
効果 |
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