おわりに:3つのヌーヴェルヴァーグの更なる広がりを
人口減少によって衰退の危機に瀕する地域経済において、近年、経済活性化を進める動きの盛り上がりがみられる。この地域経済活性化の動きの盛り上がりを「新しい波(ヌーヴェルヴァーグ)」として捉えると、大きく3つの波が浮かび上がってくる。
第1は、ヒト、モノ、カネ、環境、文化等の地域内の各種資源を結びつける、或いは異なる業種間で連携する、更には外部の地域と連携する等、様々なものを的確に結びつけ、融合させることで、地域経済の特色・底力を発揮させていくものである。このヌーヴェルヴァーグを「結輪(ゆうわ)力」と呼んでその実態をみた。
第2は、これまで関係の薄かった国内他地域や海外の地域に地元産品を移出(輸出)販売する、或いは、外部のヒトや企業にその地域に来てもらい観光や投資をしてもらう、といった地域外の需要や資源の活用によって地域経済を活性化させようとするものである。このヌーヴェルヴァーグを「地際(ちさい)力」と呼んでその動向を検討した。
第3は、住民やNPO法人、企業といった地域の民間主体が、自発的・自立的に、また対等・平等に他の構成主体との共助・協働を図りながら、行政に依存せずに、公的サービスの提供を図り、地域の課題に取り組むものである。このヌーヴェルヴァーグを「住民力」と呼んでその一端を紹介した。
これら3つのヌーヴェルヴァーグの役割の重要性を意識的にとらえ、盛り上がる動きを絶やすことなく、全国津々浦々にまで波及・定着化させることで、地域経済の活性化を促進していかねばならない。そうすることによって、人口減少が続く地域において、コミュニティの衰退や崩壊を食い止める第一歩が築けるのではないだろうか。