第3章 第3節 3.「住民力」による地域活性化促進
国や地方自治体の財政状況が厳しくなっている中で、多様化・高度化する住民ニーズに的確に応えて、よりきめ細かなサービスを提供することで地域コミュニティを維持していくためには、これまでのように、必要とされる公的サービスの提供を行政にのみ頼るあり方は成り立たなくなってきている。また、地域には地域固有の問題があり、人口減少が急速に進む地域ではより迅速かつ柔軟な対応が求められることから、行政による網羅的かつ平等な公共サービスの実施だけでは満足のいく住民サービスの提供は困難である。したがって、民間や住民の創意・工夫や多様な実施方式を取り入れた公的サービスの提供が求められる。
これまでみてきたように、住民や民間主体による町おこしや村おこし、公共交通サービスの実施等、公的サービスの提供は、こうした考え方に沿うものである。近年盛り上がりをみせる住民自身の自立的な力の発揮を「住民力」という「新しい波」として捉え、この波を広く全国に伝播させることが必要である。「住民力」の発揮においては、特に、地域住民や民間主体の意識改革や組織化を進める指導者といったコアとなる人材が不可欠である。また、継続的な活動を行うためには、リーダーを支え、事業運営を行える専門家的な人材の存在も重要となってくる。したがって、「結輪力」でみたように、地域内外の人材をうまく活用できるような取組が併せて必要と考えられる。