第2章 <コラム3> 2大プロジェクト後の東海地域
05年2月に中部国際空港が開港し、3月から9月にかけて05年日本国際博覧会(愛知万博)が開催された。開港に伴い、航空旅客数は前年(名古屋空港)比で国内・国際線ともに大幅に増加している(図1)。万博入場者数は、2,204万人に達し、当初見込みの1,500万人を大きく上回った。これら2大プロジェクトの効果もあって、名古屋市内主要ホテルの客室稼働率は、8月に過去最高(98.2%)を記録するなど04年12月以降前年を上回るとともに、同市内主要百貨店の売上高は、3月以降前年を上回っている(図2)。雇用面でも人材不足感が強まるなど、2大プロジェクトは景気回復を支える一因となっていた。
今後は、万博閉幕の影響が懸念される。特に、ホテルや観光施設については、観光客を再度呼び込むための方策が求められる。また、小売については、商業施設が万博の開幕にあわせて新設、増床された効果のはく落による一時的な落ち込みが懸念される(図3)。
一方、雇用面では依然として人材不足感が強い。景気ウォッチャー調査(8月)でも「愛知万博の閉幕を見込んだ求人需要が明確に動き始めており、年内は活発な動きとなる(求人情報誌製作会社])」というコメントが寄せられている。
景気ウォッチャー調査の先行き判断DI(各分野計)は、横ばいを示す50を超えており、一部に万博閉幕の影響が懸念されるものの、全体としては今後も着実な改善が期待される(図4)。
【図1】中部国際空港実績 | 【図2】百貨店販売額・ホテル稼働率 |
(備考)中部国際空港株式会社広報資料により作成。 | (備考)新聞報道により作成。なお、05年9月のホテル稼働率は未公表。 |
【図3】大型小売店舗 出店予定月別 店舗面積(東海) | 【図4】景気ウォッチャー調査(東海・各分野計) |
(備考)経済産業省「大店立地法の届出状況について」により作成。 | (備考)内閣府「景気ウォッチャー調査」により作成。 |