第2章 1.概況-踊り場を経て再び緩やかな回復へ-
04年夏ごろから直近までの地域経済の状況をみると、04年秋ごろに各地域で電子部品・デバイスの生産が軒並み減少したことや、度重なる台風の襲来や新潟県中越地震の影響もあって、個人消費がやや弱含んだことから、景況感の悪化が各地でみられた。
こうしたことから、04年11月(主に7-9月期のデータで判断)の内閣府「地域経済動向」では、相次ぐ台風によって観光客が減少したため、沖縄の景気判断を「緩やかに回復している」から「回復の動きに一服感」と下方修正した。
05年2月(主に04年10-12月期のデータで判断)には、各地域で生産が軒並み落ち込んだことや、個人消費がやや弱さがみられたことから、東海を「力強く回復」から「回復」に、北関東、南関東を「緩やかに回復」から「回復の動きに一服感」に、四国を「持ち直し」から「持ち直しが緩やか」に下方修正した。地域別にみても、景気はいわゆる「踊り場」的な状態に入ったと言える。
05年に入ってからは、電子部品・デバイスの生産の回復に差がみられたため、5月(主に1-3月期のデータで判断)には、北関東、南関東、四国を上方修正する一方で、東北、九州を下方修正した。
8月(主に4-6月期のデータで判断)には、電子部品・デバイスの生産調整がほぼ終了し、生産がおおむね全地域で横ばい圏内まで持ち直したことや、個人消費が多くの地域で持ち直しの動きがみられたことから、東海、沖縄を上方修正した。
05年秋口現在の地域経済をみると、踊り場局面を経て、再び緩やかな回復軌道に乗っていると言える(第2-1-1図)。
第2-1-1図 各地域の景況判断(地域経済動向 2005年8月) | ||
○2004年8月と2005年2月の比較 | ||
○2005年2月と8月の比較 | ||
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1) 各地域の景況感も減速から回復へ
景気ウォッチャー調査で各地域の現状判断DIの推移をみると、04年8月まではおおむね全地域で横ばいを示す50を上回っていたものの、9月には全地域で50を割り、その後12月まで、景況感の悪化が続いた。
05年に入ってからは、景況感の悪化に歯止めがかかり、現状判断DIは、50は下回るものの、その下回る幅が月を追うごとに小さくなっていった。3月に南関東と中国で50を上回ったのを皮切りに、再び50を超える地域がみられるようになり、9月現在で、北海道、北関東、南関東、東海、近畿、中国、四国、九州、沖縄の9地域で50を超えている。全国の集計値をみても、5月以降、5か月連続で50を上回っている(第2-1-2図)。
第2-1-2図 04年秋口からやや悪化し05年に入って持ち直した景況感 |
大都市圏 |
地方圏 I |
地方圏 II |
(備考)内閣府「景気ウォッチャー調査」により作成。 |
2) 企業の景況感も持ち直し
地域別の日銀短観1で、企業の景況感をみても、ほぼ同様の傾向がみられる。
直近の05年9月調査をみると、業況判断DIがゼロ(「良い」-「悪い」の構成比が同じ)を上回っている地域は、北関東、南関東、東海、近畿の4地域である。北陸、中国、九州、沖縄でも、景気にやや弱い動きのみられた04年12月調査と比較すると、マイナス幅が縮小している(第2-1-3図)。
第2-1-3図 企業部門の景況感 | ||||||
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1. | 景気ウォッチャー調査は、地域別には、全体のDIと家計部門のDIのみしか公表されていない。このため、企業部門の景況感を確認するために、地域別の日銀短観を使用する。ただし、地域別の日銀短観は、地域の産業構成を反映して調査対象を選定しているわけではないため、DI自体を地域別に比較することは正しくない。 |