第2章 踊り場を経て再び緩やかに回復する地域経済 <要 約>
1.概況-踊り場を経て再び緩やかな回復へ-
04年秋ごろから各地域で電子部品・デバイスの生産が軒並み減少、台風や新潟県中越地震の影響もあり、個人消費にもやや弱さがみられたことから、景況感が悪化。いわゆる踊り場局面へ。
05年秋口現在、電子部品・デバイスの生産調整はほぼ終了、個人消費にも持ち直しの動き。再び緩やかな回復軌道に。
2.景気の踊り場をもたらした2つの要因
電子部品・デバイスの生産は04年秋ごろから全国的に鈍化。05年秋口現在、調整はおおむね終了したものの、九州ではなおも調整が続く。
個人消費は天候要因が大きく響き、04年秋口からやや弱さが。05年春先から天候要因が解消され、持ち直しの動きがみられるように。この間、国内旅行も回復。
3.緩やかな景気回復の背景にあるもの
設備投資は増加基調が継続。04年の工場立地件数は全地域で前年超え。05年度の設備投資もおおむね全地域で前年を上回る計画。
雇用情勢も改善が続く。有効求人倍率は全地域で前年超え。失業率もおおむね全地域で前年を下回る。雇用過剰感も緩和され、不足感がみられる地域も。
賃金も05年に入って持ち直しの動き。
4.未だに残る地域間・地域内のばらつき
北海道、東北はやや弱含み。
生産面のばらつきは過去2回の回復局面がほぼ一定ないし縮小傾向だったのに対し、むしろ拡大。各地域の産業構成や輸出競争力の差に起因。
雇用面において有効求人倍率をみると、ばらつきは縮小していない。ただし、その水準は前回の回復局面にもみられた程度。
5.地域経済の今後の見通し
原油価格の高騰に端を発したガソリンや灯油価格の家計への影響が懸念される。ガソリンは地方圏、灯油は北海道、東北、北陸で家計支出へ占める割合が高い。冬場を迎えるに際して、今後の動向に注視する必要。原油価格の高騰は企業収益にも影響を及ぼす。
雇用の改善と賃金の持ち直しが続き、個人消費にも波及。