第1部 第2章 第4節 外国人観光客増加への取組を通じた地域経済の活性化 5.

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5.潜在的観光資源は豊富

従来、観光資源とは考えられていなかったものについても、新たに観光資源として利用できる場合がある。以下では、「ものづくり」による「産業観光」の振興に取り組む東海地区と「アニメのまち」を中核としている杉並区の事例を紹介する。

愛知県を中心とした東海地域は、自動車、工作機械、航空宇宙産業などのハイテク産業から、繊維、陶磁器などの伝統産業まで幅広い産業集積があり、古くから「ものづくり」の中心地域として知られている。

一方で、観光都市としての認知度は低かった。日経MJの「アジアから見た日本の観光地意識調査(50)」では、唯一、香港の消費者が「伊勢」を訪れてみたい観光地の10位に挙げているが、ソウル、台北、上海の消費者は10位までに挙げていない。

こうした地域特性から、名古屋商工会議所を中心とした関係機関により、97年度以降、歴史的・文化的に価値のある産業文化財(産業遺産、工場遺構、工場・工房見学等)を観光資源として人的交流を図る、「産業観光」の振興に向けた取組が行われている。産業観光の集客力は今のところ決して大きいとは言えないが、外国人観光客は製造工程の見学に関心が高く、2005年の愛知万博の開催を機に更なる集客が期待されている。

主な取組としては、名古屋商工会議所、中部経済産業局、愛知県でそれぞれ産業観光施設の紹介を行っている。このうち、愛知県では産業観光モデルコースを設定し、1泊以上21コース、日帰り11コースを紹介している。また、地域再生計画を策定し、外国人観光客にも分かりやすく、景観に配慮した観光案内の整備、外国人観光客が利用しやすいバス路線の整備等を進めているところである。

また、杉並区でも「アニメのまち」を中心に据えた産業観光の取組をしている。

杉並区は、練馬区と並んで、アニメーション製作会社が集中して存在しており、世界有数のアニメーション産業の集積地となっている(詳細は内閣府「地域の経済2003-成長を創る産業集積の力」を参照)。同区では「アニメのまち・杉並」をさらに周知・普及させるために、杉並アニメ資料館(現在休館中、2005年3月末を目途にリニューアルオープン予定)を整備し、日本のアニメ産業全般の紹介を行う予定としている。同区では、同資料館や区内のアニメーション製作会社を中核として、地域のイベントや商店街の活動などとも結び付けた観光ルートを設定し、観光客の誘致に取り組みたいとしている。日本のアニメ産業は世界のアニメ産業をけん引しており、世界中のアニメファンが潜在的な観光客として存在していると考えられる。

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