第1部 第2章 第4節 外国人観光客増加への取組を通じた地域経済の活性化 1.
外国人旅行者を2010年に倍増させ、1,000万人にするという取組が進んでいる。2003年7月には観光立国関係閣僚会議(全閣僚が構成員)において、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」を中核とした観光立国行動計画が取りまとめられた。この方針は総理大臣の施政方針演説にも盛り込まれ、現在、国土交通省や民間企業等の官民が一体となって「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を推進している(39)。
以下では、外国人観光客増加に向けた取組による地域経済の活性化について、事例を交えながら検討することとする。
1.増加傾向にある外国人観光客
(1) 増加する外国人観光客
ここ10年間の訪日外客数(40)の動向をみると、右肩上がりの傾向が続いており、2002年には初めて500万人を突破(41)した。このうち増加の主因である外国人観光客は、2002年、2003年と300万人を超えている。2003年は、イラク戦争やSARS(重症急性呼吸器症候群)の影響により、上半期は前年比14.5%減と大きく落ち込んだものの、下半期は盛り返し、通年では前年比1.3%減にとどまった(第1-2-4(1)図)。
2004年に入ってからは、官民一体となった「ビジット・ジャパン・キャンペーン」等が効を奏し、外国人観光客が2003年上半期比で45.7%増、2002年(42)上半期比でも24.6%増となっている。また、日本の景気回復傾向が鮮明になるのにしたがって外国人商用客も増加しており、2003年上半期比で14.9%増となっている。
外国人観光客の内訳をみると、韓国と台湾からの観光客が多く、2つのみで過半を占めており、アジア地域では7割に及ぶ。ここ10年間で起きた目立った変化としては、中国とオーストラリアからの観光客が、シェアは小さい(それぞれ3.1%、4.0%、2003年時点)ものの、増加が著しい(第1-2-4(2)図)。
(2) 相次ぐアジア地域への定期便の就航
こうした中で、地方空港からアジア地域への就航が相次いでいる。
第1-2-4(3)表は2001年以降の成田、羽田、名古屋、関西の4空港を除いた実績を取りまとめたものである。これによると、2001年7月の新千歳-ユジノサハリンスクを除いて、すべてアジア地域への就航となっている。中国はアジアの中では全24便中14便を占め、半数以上となっている。また、韓国は5便であり、2割程度を占めている。
地域別にみると、九州地域の空港からの就航が11便と半数近くを占めている。北陸地域では2001年以降の国際定期便の就航はなかったものの(43)、北海道から沖縄まで、いずれも1~4便が就航している。
地理的要因もあって、九州地域とアジア地域の結び付きは特に強まっていると言えるが、他地域においても、同様の傾向が見受けられると言える。