第1部 第2章 第3節 外資系小売業の日本進出 3.

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3.日本の消費者は品質を最重要視

消費者の商品選択やし好について、価格と品質のどちらを重視するか「国民生活モニター調査結果(食品表示等に関する意識調査)」をみると、日本の消費者は「価格」よりもはるかに「商品の質」を重視していることが分かる(第1―2-3(4)図)。これは、生鮮食品と加工食品の両方に共通して言えることである。

また、食品の選択基準についてみると、消費者は購入が日常化した商品(ブランド)を大きく変えようとしない傾向がある。生鮮食品、加工食品ともに「価格により選択を変えない」が格段に多く、信頼しずっと購入している食品は価格により左右されないことが分かる(第1―2-3(5)図)。

よって、外資系小売企業が安値のみを武器に新しく市場に食い込もうとしても、実際はなかなか難しかったと考えられる。

一方で、日本の消費者は高品質なもの、とりわけ確立されたブランドネームへの支出意欲は非常に高い。近年、海外の高級ファッションブランドが東京の銀座、丸の内や大阪の心斎橋等の都心部に大型の路面店を次々と出店させており、一種の出店ラッシュの様相を呈している。ある海外高級ファッションブランドの路面店の開店時には深夜から列ができはじめ、多くの人が列をなすという光景がみられた。海外高級ファッションブランドはこれまで、大手百貨店に出店することでブランドネームの浸透を図ってきており、日本の消費者にもこれが受け入れられていると言える。なお、帝国データバンクがまとめた海外ファッションブランド日本法人42社の2003年度の申告所得額(37)は、1,205億円、前年比16.9%の増加で過去最高額を更新している。

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