第1部 第2章 第3節 外資系小売業の日本進出 2.
2.苦戦する外資系小売業
地域別の店舗展開についてみると、店舗展開はあまり進まず、関東地方や近畿地方といった大都市圏周辺地域に集中している。(第1-2-3(3)表)。ヒアリングによると、まず大都市圏周辺で足場を固めてから地方へ展開したいとの意向であった。大都市圏での営業展開が思ったほどうまくいってないために、店舗展開が進んでいないと言える。
また、日本への出店時には、新聞やテレビ等で多く取り上げられたが、その後一年ほどで日本市場から撤退した企業(35)も複数あった。
外資系小売業が日本の消費者になかなか受け入れられない要因としては、[1]国内大手小売業との低価格競争の激化、[2]地価などの高コスト構造、[3]日本の消費者は、価格だけでなく商品の質を重視していること等が挙げられる。
国内大手企業は、大型店舗の出店攻勢や低価格で外資系企業に対抗している。低価格を売りにしている外資系企業の中には、国内メーカーとの交渉が難航して予定したほどの安値がつけられなかった企業もあった。また、外国において化粧品等の低価格戦略として行われている3フォー2(2個買えば1個プラス)という商法は、日本の消費者にはなじまなかった(36)。
ヒアリングによると、日本は諸外国と比べて土地代が高いことが外資系企業の店舗展開を含め障害となっているという認識もみられた。今後も日本に進出する外資系企業にとっては、障害の一つになる可能性がある。