第1部 第2章 第1節 グローバル化に適応する地域の製造業 3. [事例3-9]

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[事例3-9] 株式会社W(大阪府大阪市)

日用雑貨品の製造 他

[企業概要]

資本金172百万円、売上高5,424→5,976百万円(2002.8→2003.8)

[グローバル化への対応]

  • 地場産業で培った紙加工技術を活用
  • 海外からの直接輸入により、製品の差別化、価格競争力強化を実現
  • ボトルウエットティッシュの生産のため、中国に現地法人を設立、その他は国内生産を維持

ポケットティッシュ、ウエットティッシュ、キッチンペーパー、天ぷら敷き、化粧用パフのほか台所回りの日用雑貨品の製造・卸売販売を行う。特に、赤ちゃんのおしりふき、粘着ロール、清掃用シート類の取扱が増加しており、全売上の中で紙製品が70%を占めている。

地場産業とのつながり

製造工場のある愛媛県四国中央市は、江戸時代から「紙の町」と言われるなど、地場産業としての紙製造加工業が根付いていた。W社は洗練された紙加工技術を活かす一方で、コスト削減のため中国企業から原材料仕入れを実施、100円ショップや大手量販店との取引ルートを自ら開拓するなど、積極的に営業を展開している。

90年の設立当初は工場を借用して事業を行っていたが、2000年ごろから自社工場を順次新設し製造体制を整え、2004年6月からはクラフトテープの一貫生産を始めるなど、稼働率が高まるとともに売上が増加している。

海外展開の概要

同業他社との差別化、価格競争力の強化を目的とし、早くから中国を始めとする海外企業から直接、原材料や日用雑貨品などの輸入を行っている。ボトルタイプのウエットティッシュは、製品を輸入していたが品質が良くなかったため、研修生として来日した経験のある中国人スタッフを現地責任者として、同製品の品質向上及び一括生産を図るべく、2003年に100%出資の現地法人を中国に設立している。

現地法人の設立にあたっては、日本と中国の企業文化及び従業員の意識の違いが最大の問題となった。社長自らが毎月現場確認・在庫管理に赴き、日本型企業文化の徹底、従業員の意識改革に努めた。

今後の展望

海外企業との競争も激しいことから、引き続き原材料仕入れや外注先の見直しを活発に行って取扱アイテムの多様化を図るとともに、多種多様な要望に小ロットからでも応じることで、国内取引窓口の拡大を目指している。

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