第1部 第2章 第1節 グローバル化に適応する地域の製造業 3. [コラム1]

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<コラム> アジア地域への地の利を活かし、様々な取組を行う九州

九州地域は地理的に近いことや歴史的にもつながりが深いことから、アジア諸国との交流が盛んである。

まず、人の動きとして入国外国人に占めるアジア国籍の割合をみると、九州は全国に比べ高く、2003年は9割以上がアジア国籍の入国となっている(図1)。物の動きとして、輸出入総額に占める対アジアの割合をみても、九州は全国に比べ高くなっている(図2)。

(アジアとの経済交流)

九州では政府機関、自治体、経済団体などが参加しての経済交流が盛んである。

九州と韓国・中国の環黄海地域間においては「環黄海経済・技術交流会議」が行われている。同会議は、2001年3月から始まり、各国持ち回りでおおむね年1回開催され、環黄海地域間の相互発展のあり方、相互交流の円滑化と拡大方策等について協議されている。

中国とは「九州・中国産業技術協議会」を91年11月に第1回目を開催し、おおむね年1回、産業技術・貿易・投資に関する定期的な意見交換を行っている。また、韓国とも、中小企業を中心にそれぞれが有する資金・技術・人材等の地域資源を相互に補完し、貿易・投資・産業技術の交流拡大と地域間交流の促進を目的として「九州・韓国経済交流会議」を93年11月からおおむね年1回開催している。

(物流関連の整備)

アジアに近いという地理的特性を活かすべく、九州では物流関連の整備が進んでいる。

福岡市では「福岡アジアビジネス特区」、北九州市では「北九州市国際物流特区」がそれぞれ認定され、税関の執務時間外における通関体制の整備や臨時開庁手数料の軽減が認められた。特区効果も見え始め、「福岡アジアビジネス特区」内にある博多港では、2003年の時間外輸出入申告件数が前年比3.2倍と大幅に増加している。

また、上海と福岡を約26時間で結ぶ高速RORO船(27)が2003年から運航されている。その速さ、空輸に対するコストの優位性から農産物の輸出等で期待が集まっている。

(人材育成)

アジアで活躍する人材の育成にも積極的な取組がみられる。アジアで活躍するビジネスリーダーを輩出すべく、九州内の産学官連携で2004年4月に「九州・アジア経営塾」が設立された。また大分県別府市に、2000年4月に開学した立命館アジア太平洋大学は、学生数の4割が留学生からなる国際大学で、これからのアジア太平洋地域を担う人材の育成に力を入れている。

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