第1部 第2章 第1節 グローバル化に適応する地域の製造業 3. [事例3-7]

[目次]  [戻る]  [次へ]

[事例3-7] 株式会社U(大阪府大阪市)

液晶各種検査装置の設計・製造 他

[企業概要]

資本金10百万円、売上高550→1,005百万円(2002.9→2003.9)

[グローバル化への対応]

  • 海外メーカーから最新技術の動向を素早く入手
  • 顧客ニーズに素早くこたえるべく、販売拠点となる現地法人の設立も検討

液晶製品の製造工程の中で熱や振動による耐久性テストを行う装置やパネルの点灯試験を行う装置など、各種検査装置の設計・製造を主に行っている。

海外展開の概要

U社は、設立当初はジェット旅客機用の乗客サービスシステムを大手電機メーカー向けに開発するなど、電子制御機器の開発・設計を主に行っていた。95年に大手電機メーカーに液晶パネル検査装置を納入したことが契機となって受注が積み重なり、液晶パネル検査装置の改良を重ねていった。

97年に他の大手電機メーカーに対して液晶パネル検査装置の営業を展開するに当たり、今後の躍進を予想して、韓国・台湾の大手電機メーカーに対しても積極的に営業を展開した。顧客のニーズに素早く対応する営業・開発体制が功を奏し、現在では、営業を展開した韓国・台湾の大手電機メーカーの液晶検査装置の80%以上がU社の製品で占められるに至っている。最近の売上高の増加には、それらのメーカーの設備投資の増加が大きく寄与している。

海外展開に伴う最大のメリットとしては、自社の市場規模が拡大したことが挙げられる。国内の液晶市場が縮小しているときでも、海外の市場が業績の支えとなっている。また、海外メーカーから国内市場だけでは入手が困難な新技術の動向を素早く入手できることも、U社の技術を進化させる大きな要因となっている。

今後の展望

U社の業績は、液晶市場の動向に大きく左右されるリスクがあるため、それを軽減するために次世代商品の開発を行っている。現有技術の応用によるプラズマディスプレイや有機ELのパネル検査装置の開発に取り組むとともに、海外市場においては販売拠点となる現地法人を設立し、顧客ニーズにより素早くこたえる体制づくりを検討している。

[目次]  [戻る]  [次へ]