第1部 第2章 第1節 グローバル化に適応する地域の製造業 2. [事例1-7]

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[事例1-7]株式会社G(香川県高松市)

建設用クレーン、車両搭載型クレーン及び高所作業車のメーカー

[企業概要]

資本金130億円、売上高882→831→966億円(2001→2002→2003年度)

[グローバル化への対応]

  • 「市場のある場所で生産」が基本方針
  • 中国市場へは差別化を図るため、高機能モデルで進出予定

オールテレーンクレーン

日本で初めて油圧式トラッククレーンを開発・販売して以来、高い油圧技術やコンピューター制御技術を武器に、建設用クレーンでは51%、車両搭載型クレーンは48%で国内シェア1位、高所作業車は24%で国内シェア2位となっている。また、製品の輸出は世界100カ国以上に及ぶ(シェアはG社調べによる)。

クレーン業界の世界的メーカーは、自社を含めた4グループがあり(4社で約75%のシェア)、2003年度はG社がトップシェアと占めている(下図参照)。

生産拠点

世界における建設用クレーンの販売シェア(2003年度)

90年にドイツ・バイエルン州の企業を買収し、子会社化して海外生産を開始した。生産拠点はドイツと日本である。「市場のある場所で生産」することを基本としており、欧州向けはドイツ、日本やアジア向けは日本、北米向けは両者、というすみ分けを行っている。また、ドイツはキャリア(走行台)部分の生産を、日本はクレーン部分の生産を得意にしていることから、ドイツからキャリアを輸入し、日本でクレーン部分を載せるという形でも生産している。

2003年4月に合弁会社を中国で設立し、2004年8月より一部生産開始した。中国も、当初は中国向けのみとする予定である。

中国進出

世界の建設用クレーンの総需要は、約5,000台(中国及び旧ソ連各国は除く)と言われているが、中国の現在の需要は少なく見ても10,000~15,000台とみられており、今後中国は魅力的な市場である。

ただし、中国は2003年8月に強制製品認証制度(10)(CCC)を発効した。現在は1モデルしかクリアしていないが、中国市場は低価格、低機能、低品質が主流となっており、今後高価格、高機能、高品質の新モデルを投入していく中で認証を得る方針である。

今後の展望

公共投資の減少による建設投資が縮小している中、海外メーカーの進出により国内需要が減少し、売価ダウンの大きな要因となっている。さらに世界的な合従連衡が進展しており、日本メーカーも生き残りをかけた提携をしていく必要がある。G社では、最終的には日本が1つにまとまるくらいまで進まないと欧米には勝てないという危機感がある。

こういう背景があって、日本メーカー同士の提携だけではなく、海外子会社等の提携も進んでおり、世界のメーカーはおおむね4つに集約されつつある。G社でもドイツ企業の買収に続き、日の丸ブランドで世界の中での確固たる地位を占めるという方針に基づき、国内での提携を進めている。

また、建設業界への依存度を低下させ、ここ数年伸びてきている海外比率を更に上げていくことも今後の課題である。

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