第1部 第2章 第1節 グローバル化に適応する地域の製造業 2. [事例1-4]

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[事例1-4]D株式会社(岡山県岡山市)

園芸器機や自動車レース部品等の製造販売

[企業概要]

資本金3.2億円 売上高68.1→70.1→74.2億円(2002→2003→2004年6月)

[グローバル化への対応]

  • 下請的な考え方をせず、開発から製造販売まで自前で取り組む
  • 超円高でも利益を出せる製造方法を追求

草刈機

園芸器機の製造販売を基盤としつつ、近年ではラジコン草刈機や産業用掃除機等の新しい着眼点を持つ製品も開発しているほか、自動車レース関連部品にも進出し、多彩な商品を扱っている。

競争力の源泉は技術力であると考え、社員に自前の商品作りを徹底させている。また、下請的な考え方では次へ展開する発想が出てこないとし、開発から製造、販売までを自社で手掛けている。

当初は農業用発動機を製造していたが、69年に現社長がヨーロッパ訪問時に見た草刈機に注目し、大手企業が参入できない特色あるニッチ(隙間)市場商品として開発に取り組んだ。

欧米製品に対抗できる製品開発

機能はもちろんのこと、デザインや色使いまで優れた欧米品に刺激され、これらに対抗できる製品の開発を促進。ヨーロッパの雑誌(9)における知名度でも上位につけるまでとなっている。特に草刈機用変速機の品質が世界的に評価され、同業他社へのOEM(相手先ブランド生産)販売も増加し、世界市場シェアは30%以上となっている。現在、売上の80%を輸出が占めている。

今後の展望

輸出比率が高く、為替変動に伴う収益悪化の危険があるため、企業戦略としてメード・イン・ジャパンでも費用が合い、1ドル90円でも品質を落とさずに利益を出せる製造方法を追求している。これが製造業のあるべき姿だとして、生産拠点を安易に海外移転することは考えていない。

今後、引き続き技術力を高め、草刈機の市場シェア拡大に向け注力していく。また、変速機技術は異業種の自動車レースでも評価されており、イギリス企業と代理店契約を結び、ヨーロッパとアフリカに販路を開拓している。2004年にはフランクフルトで開催された「automechanika2004」(国際自動車技術見本市)にも出展しており、草刈機に次ぐ新機軸に育てる計画である。

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