第1部 第2章 第1節 グローバル化に適応する地域の製造業 2. [事例1-3]

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[事例1-3]株式会社C(大阪府門真市)

お菓子のおまけ「食玩」などのフィギュアのメーカー

[企業概要]

資本金0.2億円 売上高16→30→18億円(2001→2002→2003年度)

[グローバル化への対応]

  • モノづくりへのこだわりが生んだ世界的造型技術
  • 要求される精度と価格のバランスを考え、中国で委託生産

食玩として売られている動物のフィギュア

お菓子のおまけ「食玩」メーカーの最大手で、ヒット商品は数多く知名度は高い。特に食玩ブームのきっかけとなった商品は、50万個売れればヒットといわれる業界で1億個を超える大ヒットとなった。現在、食玩は1月に100を超えるアイテムが店頭に並んでおり、市場規模は600億円と言われ、今後も拡大するとみられている。

モノづくりへのこだわりが生んだ世界的造型技術

会社のスタートは1坪半の模型店であったが、創業当初から新たなモノを作り出すことへのこだわりを持ちつづけている。そのこだわりに共感した造型師と呼ばれるフィギュア(動物、アニメキャラクター他の模型)を造る作家が自然と集まり、技術を切磋琢磨し続けていることが競争力の源泉となっている。そういった積み重ねが生み出した造型技術の高さは、日本だけでなく世界的に評価されている。現在、大英博物館には古代エジプト関連の遺産を立体化したものが展示され、合わせてミュージアムショップでも販売されている。

中国への委託生産

食玩が大ブームになる前は、造型にこだわると大量生産は難しく、高い技術をもって製作した商品を少数の客に提供するという限られた世界での商売であった。1個300円程度の食玩はこの手法では提供できないため、日本で作ったサンプルを元に中国へ委託生産を行っている。当初はサンプルどおりの生産ができないこともあったが、現地への人員派遣や細かい訓練で、本物に近い製品の製造ができるようになった。そのため、現在中国で生産している商品は、要求される精度と価格のバランスを考えると国内では生産できないものとなっている。

今後も、より本物に近い精度でのモノづくりにこだわっていくために、開発部門は国内に置き、中国での生産を増加させることで、近年低下している収益力の回復を図っていく。

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