第1部 第2章 第1節 グローバル化に適応する地域の製造業 2. [事例1-2]

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[事例1-2]株式会社B(宮城県桃生郡河南町)

ウエットスーツやドライスーツ等の製造販売

[企業概要]

資本金0.8億円 売上高15.0→14.9→13.7億円(2001→2002→2003年)

[グローバル化への対応]

  • 寒冷地で培った技術の高さ
  • 品質とデザインを高め、自社製品のブランド化に成功

ドライスーツ

東北で初となるダイビング専門店として創業し、現在はダイビングスーツの国内市場シェア15%の日本一企業となっている。

63年の創立当初は製造まで手掛けておらず、他社ダイビングスーツを仕入れて漁業関係者向けに販売していた。しかし、既製品の性能では要望を満たしきれなかったため、顧客と綿密にやり取りを重ね、自社ダイビングスーツの製造に取り組んだ。東北の海は低温なので求められる性能は厳しかったが、顧客とのやり取りを通じ、様々な技術を蓄積していった。

漁業分野だけでは成長が限られてしまうと判断し、82年からレジャー分野へも参入した。ダイビングスーツの一種で水が入らず保温性の高いドライスーツは、寒冷地方の必需品であるが他社の品質は高くなく、東北で培った技術を活かしたものを製造して成功を収めた。また、当時の製品は色彩が地味なものが多かったが、デザイン性に富んだ自社製品を展開し、いち早くブランド戦略を徹底して高い評価を得た。

現在は、レジャー分野を中心とした販売から、官公庁や企業向けの市場を開拓しつつあり、常に国内外の新しい市場を探求している。

海外事業を展開することでブランド化に成功

自社製品を世界的ブランドにしたいとの思いがあり、89年にヨーロッパの国際見本市に出品した。ここで人脈を形成したことから、95年のアメリカ店、2000年のヨーロッパ店(いずれも直営店)の開設につながった。海外直営販売により、売上増加や知名度向上等の成果がみられた。

今後の展望

欧米に直営販売子会社を設立して販路の開拓に努めてきたが、一定の成果が上がったため、現在はリスクの少ない現地代理店に任せる体制に移行しつつある。アメリカと西ヨーロッパが販路の中心であったが、最近はロシアや東ヨーロッパで市場が拡大してきている。今後とも高級品分野に限定してブランドイメージを守りながら、市場を開拓していく。

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