第1部 第1章 地域経済の現状 3.
3.全国的に進展するサービス化
最後に、ここ10年余りの産業構造と就業構造の変化をみることにする。
まず、産業構造をみると(第1-1-7図)、全地域を通して、サービス業が拡大し、製造業及び建設業が縮小している(2)。
やや詳細にみるために、「91年度から96年度」と「96年度から2001年度」の2期間に分ける。
91年度から96年度をみると(第1-1-8図)、全地域でサービス業が拡大し、製造業が縮小している。製造業の縮小が目立って大きいのは南関東、近畿、中国である。一方、北海道では建設業が拡大しており、この時期の公共事業の増加幅が大きかったことを示している。建設業は、わずかながら東北や近畿でも拡大しているが、関東、沖縄の縮小幅は大きい。なお、南関東は、卸売・小売業の構成比が唯一拡大している。
96年度から2001年度をみても(第1-1-9図)、サービス業は全地域で拡大している。製造業の減少幅は引き続き南関東で大きい。特徴的なのは、全地域で建設業の構成比が縮小していることである。なお、この期間でも南関東は卸売・小売業の構成比が拡大している。
就業構造をみると、製造業は90年代に入って減少傾向、建設業は90年代後半から減少傾向となっている一方で、サービス業は増加傾向となっている。総務省「労働力調査」で業種別の就業者数の前年比寄与度の推移をみると(第1-1-10図)、製造業は93年以降おおむねマイナス寄与となっている。就業別構造の変遷をみても、三大都市圏においても製造業のシェアは縮小傾向にある。
また、建設業は97年までは地方圏でプラス寄与であったが、98年以降は三大都市圏でも地方圏でもマイナス寄与となっている。これは、景気後退期での経済対策の策定や補正予算の編成に関係している。
こうした中、一貫して増加しているのはサービス業である。99年は寄与度ゼロであったが、2000年以降、再びプラス寄与となっている。これは、三大都市圏でも地方圏でも同様であり、三大都市圏が抜きん出てサービス業が伸びているわけではない。