第1章 第1節 緩やかな持ち直しの状況が続いた地域経済 2.
(2) おおむね横ばいで推移した個人消費
個人消費は、おおむね横ばいで推移した。GDP ベースの民間最終消費支出(実質)は2001年度に前年度比1.4%増加したあと、2002年度においても同1.4%増加した。2003年についても1-3月期に季節調整済前期比0.4%(年率換算1.4%)、4-6月期に同0.4%(同1.6%)の増加となり、他の需要項目に比べて安定的に推移している。
大型小売店販売額によって地域別の動きをみると、2002年においては前年に引き続き全地域において販売額(店舗調整済)が前年比減少した。これで6年連続して全地域において減少したが、その減少幅は近畿を除くすべての地域において縮小した。スーパー販売額をみると、すべての地域において減少幅が縮小したが、これにはBSE 問題による牛肉消費減少が一巡したことも関係している。一方、百貨店販売額をみると、九州・沖縄、四国において前年比増加し、北陸ではほぼ横ばいとなった(前年比0.1%減)ものの、近畿においては前年比減少に転じ、これ以外の地域においては減少幅がやや拡大した(3)。
2002年においては、6月のサッカーワールドカップ開催前に大型テレビに対する需要の一時的な増加がみられたものの、賞与の減少や雇用に対する不安などから、消費はおおむね横ばいで推移した。2003年央までの状況をみると、1-3月期にはイラク戦争とSARS 問題が消費者マインドにマイナスの影響を及ぼし、4-6月期以降には長梅雨と冷夏の影響がみられるなか、大型小売店販売額はおおむね横ばいで推移した。2003年4-6月期には北海道と九州・沖縄において新規店舗開店の影響により、既存店販売額の減少幅は拡大したものの、全店ベースでは販売額はほぼ前年と同水準となった。
飲食や旅行、レジャーを含む個人消費の動向を地域別にみるために、内閣府「景気ウォッチャー調査」の家計動向関連・現状判断DI を利用する(第2-1-3図)。このDI は、消費の現場における観察者(景気ウォッチャー)が消費者の動向をみて判断した結果に基づいている。全国平均のDI は、2002年5月から2003年1月にかけて緩やかに低下したのち、2003年9月にかけて再び持ち直しの動きを示している。地域別にみると、沖縄、東海、中国、九州、四国などがおおむね全国平均値を上回る一方(4)、北海道、東北、北陸などには全国平均をおおむね下回る傾向がみられた。前者の多くは南西部に位置するのに対し、後者は北部に位置している。このような南西部と北部の地域差については、前述の鉱工業生産の動きとそれに伴う雇用情勢の地域差が、個人消費の動向に影響を与えた可能性を指摘することができる。