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第2章 新興国経済のリスクと可能性

第1節 新興国の成長鈍化の背景

2000年以降、新興国の成長率は先進国の成長率を大幅に上回り始め、いわゆる新興国ブームが起きた(第2-1-1-1図)。また、13年には世界のGDPに占める先進国のシェアが初めて50%を下回った1別ウインドウで開きます

第2-1-1-1図 世界の実質経済成長率:2000年以降、新興国が先進国を大幅に上回る

こうした新興国の経済成長の背景にはグローバル化の進展があり、貿易や投資の拡大による国際競争の激化が産業構造の変化や生産性の向上を促したことが成長の要因の一つと考えられる。

また、新興国のうち、一次産品輸出比率の高い国(以下、「資源国」2別ウインドウで開きますという。)では、2000年代に資源国ブームと呼ばれる急成長がみられたが、この背景には、資源価格の上昇による輸出拡大と投資増があった。しかし、新興国の成長率も、中国を中心に、世界金融危機後に鈍化している。

以下では、まず新興国の成長の姿を概観した後、新興国の経済成長の要因と、世界金融危機後の新興国間の成長テンポに相違がみられる主な背景について検証する。

1.新興国経済の特徴と成長鈍化の共通要因

(1)新興国経済の特徴

そもそも新興国という言葉に明確な定義はないとされており3別ウインドウで開きます、IMFでは、先進国以外の国々を「新興・途上国(emerging market and developing economies)」として表している4別ウインドウで開きます。本章においては、先進国以外の新興・途上国のうち、12年の一人当たり実質GDP5別ウインドウで開きます が2万ドル以下の国を新興国として抽出し、その成長の姿を2000年代のパフォーマンスから整理してみたい。

まず、各国の成長率(2000年代平均)と人口の関係をみてみると、以下のことが特徴として挙げられる(第2-1-1-2図)。

第2-1-1-2図 新興国の成長率と人口規模:人口大国では高成長の傾向

第一に、人口大国が高成長を遂げたことが分かる。高成長の代表格であるBRICs諸国は、中国、インドを筆頭に人口大国であることが指摘できる。人口大国が成長すれば、一人当たりの所得水準の低い新興国といえども、世界経済の動向を左右する度合いも高くなる。また、その他の新興国についても、明瞭ではないものの、人口が多い国ほど経済成長率が高いという緩やかな関係がみられている6別ウインドウで開きます

第二に、新興国の中でも、中国の位置付けは突出している。人口規模は最大で、2000年代の平均成長率もほぼ最大である。この結果、中国の経済規模は世界GDPの11.4%となっている7別ウインドウで開きます。そのため、中国の成長変化が世界経済や他の新興国に及ぼす影響も大きくなっている。

第三に、新興国の中の多くは資源国である。先進国の成長が控えめになる中で、新興国の高い成長が続くことにより、一次産品価格が高水準で推移し、これら資源国もけん引された。

第四に、総じてみれば、先進国よりも影響は少なかったとみることもできるが、新興国も世界金融危機に影響を受け、後述するように、特に資源国では減速している(後掲第2-1-2-1図)。

(2)世界金融危機後の成長鈍化の共通要因

次に、危機後に新興国の成長率が低下した共通の背景についてみてみよう。具体的には、11年以降の中国経済の減速、グローバル化のテンポ鈍化、13年以降の金融市場の混乱といった3点について取り上げてみたい。

(i)投資率は横ばいで推移

まず、各国の投資率8別ウインドウで開きますの動向をみてみよう(第2-1-1-3図)。90年代の投資動向にはばらつきがみられるものの、2000年代の新興国ブーム期では、非資源国、資源国ともに上昇しており、特に、中国、インド、インドネシア、ロシア等の人口大国では高水準にあるといえる。

一方、危機後をみると、投資が成長を一定程度けん引している姿におおむね変わりはないものの、投資率はおおむね横ばいとなっている。内需が堅調なインドネシアは堅調に推移しているものの、中国、インド等ではおおむね横ばいとなり、ベトナムやブラジルでは減速している9別ウインドウで開きます

特に、中国で危機後の08年以降に実施された、いわゆる4兆元の大規模な景気刺激策により投資率は大幅に上昇したが、その後は過剰投資抑制等の影響で横ばいとなっており、国際市況における資源価格の変動にも一定の影響を与えている。

第2-1-1-3図 投資率:おおむね上昇傾向
(ii)グローバル化のテンポの鈍化

近年の世界経済の制度的な変化としてグローバル化の進展が挙げられる。

最初にグローバル化が加速した背景をみておくと、一つには、中国の経済発展が挙げられる。中国では、01年12月にWTOに加盟し、対外開放政策を一層推進することにより投資・貿易を通じて国際分業体制に加わり、世界経済との結び付きを強めた。こうして中国が国際分業体制の中でいわゆる世界の工場として位置したことにより、グローバル化が一層進展したともいえる。

また、WTOにおける多角的交渉を補完するものとして、FTA(自由貿易協定)の締結数も急増した。90年以前には16件だったFTAは90年代に50件増加し、2000年以降150件を超えるFTAが新たに発効、13年9月時点で252件のFTAが発効済となっている10別ウインドウで開きます。こうしたFTAの多くは、90年代以降になると途上国を巻き込んだものになり、2000年代には先進国と途上国間のFTAが全体の4割程度にまで達している11別ウインドウで開きます。こうしたグローバル化の進展により、国境を越えた国際的な分業が拡大し、先進国と途上国間の貿易が活発化した結果、先進国と途上国間での経済統合のメリットが高まったことが背景にある12別ウインドウで開きます

輸出依存度13別ウインドウで開きますの動向をみると、非資源国、資源国ともに90年代以降上記のグローバル化の進展を背景として拡大してきたものの14別ウインドウで開きます、世界金融危機後は総じて低下している15別ウインドウで開きます。その後の欧州債務危機の影響による需要低迷もあり、2012年時点では危機前の水準の回復には至っておらず、グローバル化の拡大テンポは総じて鈍化傾向にあるといえよう16別ウインドウで開きます(第2-1-1-4図)。

第2-1-1-4図 輸出依存度(サービスを含む):危機後は総じて低下
(iii)国際金融の不安定化の影響

最後に、最近の新興国をめぐる国際金融の不安定化の影響を確認しよう。新興国では世界金融危機以降の緩和的な金融政策の影響もあり、民間部門のバランスシートは拡大している。これを国内部門による民間信用(GDP比)の推移でみると、各国とも総じて07年から12年にかけて拡大傾向にあり、これが12年までの新興国の堅調な投資の背景となったことがうかがえる(第2-1-1-5図)。

第2-1-1-5図 新興国の民間信用:危機後も拡大傾向

その一方で、13年半ばのアメリカの量的緩和縮小観測の影響により、新興国の中には、資金流出圧力や通貨安によるインフレ圧力の増大に対し、非資源国ではトルコやインド、資源国ではブラジル、インドネシア、南アフリカ等、利上げを行った国もみられる(第2-1-1-6図)。こうした金融引締め等を契機として、拡大傾向が続いていた民間部門のバランスシートに調整圧力がかかり、それが景気の下押しの一因となっている可能性も指摘できよう。

第2-1-1-6図 新興国の政策金利:各国対応にばらつき

2.新興国間の成長パフォーマンスの違い

以上のように、世界金融危機を挟んで、新興国の成長率は全体としては鈍化しているが、その中でも相違がみられる点は注目に値する(第2-1-2-1図)。総じてみると、非資源国は影響が小さく、むしろ危機後にも継続的な成長がみられる一方、資源国では資源価格の下落や成長率の落ち込みがみられている17別ウインドウで開きます。以下では、新興国間の成長のばらつきの背景を考えてみたい。

第2-1-2-1図 実質経済成長率の推移:資源国は危機後に減速

(1)マクロ経済状況と経済政策

成長率に影響を与える要因として、最初にマクロ経済政策の違いをみよう。

先にみたとおり、アメリカの量的緩和縮小観測の影響により、新興国の中には、利上げによる対応を余儀なくされている国もみられるが、このような政策対応を行っている新興国の多くは、経常赤字と物価上昇率の高止まりといったマクロ経済状況(ファンダメンタルズ)の問題を抱えていることが分かる(第2-1-2-2図、前掲第2-1-1-6図)。こうした経済構造を背景とした政策対応の違いが経済成長の違いとなっていることが考えられる。

第2-1-2-2図 危機後の経常収支と物価:経常赤字かつ物価高の国では利上げ

(2)貿易相手国の違いと成長率の関係

次に、新興国の貿易相手国の違いを確認してみよう。

ここでは中国及びEUとの貿易シェアの高さと成長率の相関をみてみると、非資源国及び資源国でその動向に違いがみられる(第2-1-2-3図)。非資源国では、中国向け輸出シェアの高い国において、危機後の成長率の鈍化がみられ、資源国では、EU向け輸出シェアの高い国において同様の傾向がうかがえる18別ウインドウで開きます

第2-1-2-3図 貿易相手国シェアと成長率の相関:中国とヨーロッパ経済の需要が新興国の成長率に大きく影響

また、こうした新興国の成長のばらつきの背景として、人口要因等の制度的要因の相違を指摘したい。

(i)規模の経済と人口構造の優位性

新興国のうち高成長を遂げた国には人口大国が多いことを先にみた。その新興国の高成長を支えた要因の一つとして、人口大国ゆえの規模の経済が優位に働くほか、その人口構造の優位性が成長の要因として挙げられる。

新興国の人口構造は、生産年齢人口の増加率が先進国よりも高く、多くの国で今後10~20年の間に生産年齢人口が全人口に占める割合が高まりピークを迎える。

一方、新興国の生産年齢人口は高水準ながらも、一部の国でその増加率のピークを迎え、ピークは約5~10年のずれがあるものの80年代から低下傾向で推移しており(除くナイジェリア19別ウインドウで開きます)、人口ボーナス期の長さをみても、中国を始め、タイ、ベトナム、ロシア等、比較的短期間で終わる国もみられる(第2-1-2-4図)。

こうした生産年齢人口のピーク時やボーナス期の長さの違い等が、今後の成長率の違いとなって表れる可能性もある。

第2-1-2-4図 人口ボーナス期の長さ:比較的短期間で終わる国も
(ii)人材の質

人材の質として各国の識字率をみると、非資源国ではインドとバングラデシュ、資源国ではナイジェリア、エジプト、イランが他国と比べて低くなっている(第2-1-2-5図)。これらの国では、90年代に比べて向上はしているものの、識字率の低さが良質な労働力の供給を制限し、成長の足かせになった可能性がある20別ウインドウで開きます

第2-1-2-5図 識字率:インド等では依然低い

(4)物的インフラの整備状況

最後に、経済活動の基盤となる道路や通信等のインフラの整備状況について確認しよう。

世界経済フォーラムのThe Global Competitiveness Reportのインフラのスコアを比較すると、非資源国では、中国、メキシコ、トルコがスコアを更に向上し、水準は低いながらもフィリピンやベトナムも改善している(第2-1-2-6図)。資源国では、イラン、インドネシア及びロシアの高伸が目立つ。他方、インド、バングラデシュ、ナイジェリアはあまりスコアの向上がみられていないことから、インフラ整備状況の格差が成長の格差につながった可能性がある。

インターネットの普及による通信コストの低下も新興国の成長に寄与したと考えられるが21別ウインドウで開きます、インド、バングラデシュ、インドネシアでは普及率が著しく低いことから、これらの国ではしばしばこうしたインフラの未整備が成長制約として指摘されることもある(第2-1-2-7図)。

第2-1-2-6図 インフラの整備状況:多くの国では向上
第2-1-2-7図 インターネット普及率:インド等では著しく低い

加えて、電力網の整備及び電力の安定供給は、製造業を始めとした対内直接投資を推進するためには重要な役割を担っている。新興国における電力普及率と停電による損失割合には緩やかな相関関係がみられ、インド、バングラデシュ、ナイジェリアでは普及率が低く、停電による損失の割合も高い。これらの国では電力普及率を高めつつ、電力供給の質を高めていくことが今後の課題といえよう(第2-1-2-8図)。

第2-1-2-8図 電力普及率と停電による損失割合:インド等では課題も

3.資源国経済の課題

前述のとおり、資源国は危機後の成長鈍化が目立っている(前掲第2-1-2-1図)。一人当たり成長率の推移を資源の有無による違いをみてみると、危機後は大半の国で減速しているが、特に資源国の方が危機後の落ち込みが激しい(第2-1-3-1図)。

第2-1-3-1図 一人当たり実質GDPの推移:危機後は大半の国で減速、資源国が顕著

資源国では既に90年代に一人当たり実質GDPが5,000ドルを超える水準の国が多く、近年では中所得国の罠と呼ばれる1万ドル近傍の水準となっている。特に資源ブームとなった2000年代危機前は、資源を原資に富を生み出し、資源に再投資するというサイクルにより伸びは加速していたが、危機後はその反動によりマイナスとなるなど伸び悩んでいるのが分かる22別ウインドウで開きます

資源国の成長率の低下は、国際市況の低迷がその一因となっている。この点について一次産品価格と資源国の成長率の関係についてみてみると、ロシア等のエネルギーの輸出比率が高い国や、チリを始めとした鉱石等の産業素材や貴金属の輸出比率が高い国は、おおむねその国際価格に連動して推移している23別ウインドウで開きます(第2-1-3-2図)。

第2-1-3-2図 一次産品価格と資源国の成長率:資源国の成長率は商品価格におおむね連動

以下では、資源国経済の今後を占う上で鍵となる資源の需要と供給の動向をそれぞれ確認する。具体的には、中国の成長減速に加え、エネルギー供給の多様化の概況を紹介することとする。

(1)中国の需要の動向と資源価格

中国における輸入品目構成の推移をみると、2000年代になって以降、工業製品の輸入は低下傾向にあり、石油製品等の鉱物燃料や鉄鉱石等食品以外の原料の輸入が増加していることが分かる(第2-1-3-3図)。そこで、こうした資源をめぐる動向について中国を中心に確認してみる。

第2-1-3-3図 中国における輸入品目構成の推移:鉱物燃料・食品以外の原料の割合が増加

経済成長に伴って資源需要に関する中国のプレゼンスが増大している。例えば、中国におけるエネルギー消費の伸びをみると、11年までは前年比で10%近く伸びていることもあるなど、世界の消費の伸びが2%程度で推移しているのとは対照的な動きをみせている(第2-1-3-4図)。

国際エネルギー機関(IEA)によれば、80年の世界のエネルギー消費に占める中国の割合は8.4%だった。その後中国の経済成長とともにエネルギー消費は増大し、アメリカエネルギー情報局(EIA)によれば、その割合は11年には20%を超えた。11年以降は経済成長が鈍化傾向にあるものの、20年には25%を超える見通しとなっており、中国のプレゼンスが増大していることが分かる24別ウインドウで開きます(第2-1-3-5図)。

第2-1-3-4図 エネルギー消費の伸び:中国・インドの伸びが顕著
第2-1-3-5図 エネルギー消費のシェア:中国はシェアを拡大

中国のエネルギー消費自体は、11年には前年比8.8%で伸びていたものが、12年は同4.9%に、13年は同2.4%に伸びが鈍化している(前掲第2-1-3-4図)。一方、エネルギー効率は世界の他地域・国と比較して低く、以前と比べやや向上しているものの、依然世界平均を大きく下回って推移しており、最近の伸びの鈍化は一時的に需要が低下したためと考えられる(第2-1-3-6図)。他方、エネルギー効率上昇に伴う省エネ化が中国でも進行すると見込まれるため、14年以降のエネルギー消費の伸びは、11年以前のような高い伸びにはならない見込みである。

第2-1-3-6図 エネルギー利用効率の推移:中国も徐々に改善

また、粗鋼や仕上げ鋼といった鉄鋼の消費動向をみると、世界金融危機後の09年までは中国の消費の伸びが非常に大きく、世界のシェアは5割弱に達している。10年以降は伸びが鈍化し、世界の平均伸び率と同程度となっており、シェアの拡大も鈍化した(第2-1-3-7図、第2-1-3-8図)。

第2-1-3-7図 鉄鋼消費の伸び:中国の伸びは鈍化
第2-1-3-8図 鉄鋼消費のシェア:中国はシェアを拡大

こうした資源価格の動きを需要動向と照らし合わせてみてみる。原油は世界金融危機後、11年までは上昇傾向にあり、その後は、幅はあるもののおおむね横ばいとなっている(第2-1-3-9図(1))。また、鉄鉱石についても11年までは上昇傾向にあったが、その後は緩やかな低下傾向にある(第2-1-3-9図(2))。こうした動きは消費シェアの大きい中国の消費の動きとおおむね合致しており、資源価格の面においても中国のプレゼンスの増大が示唆されている一面があると考えられる。

第2-1-3-9図 主な資源価格の推移:原油はおおむね横ばい、鉄鉱石は低下傾向

(2)供給の多様化による影響

近年アメリカでは輸入に占めるエネルギー輸入割合が低下傾向にあり、特に天然ガスの輸入は大きく低下しているが、その背景にあるのがシェールガスの採掘が進んでいることがある。シェールガス自体は19世紀頃から認知されていたが、採掘コストに見合うような新しい採掘技術が確立されたことから、近年アメリカ国内における生産量が増加し続けている25別ウインドウで開きます(第2-1-3-10図)。

第2-1-3-10図 アメリカにおけるシェールガス生産の見通し:今後も増加の見込み

こうしたことから、天然ガス価格は、アメリカ国内においても、国際価格においてもアメリカにおける生産量が増加するにつれて低下していることが分かる(第2-1-3-11図)。ただし、将来的には徐々に価格の上昇が見込まれている。

第2-1-3-11図 天然ガス価格の推移:将来的には価格上昇の見込み

こうした動きはシェールガスにとどまらず、同様の技術を活用することによりシェールオイルの採掘にもつながっている(第2-1-3-12図)。ただし、シェールガスに比べて推定採掘可能埋蔵量は少なく、シェールガスほど大きな影響はないとみられている26別ウインドウで開きます

第2-1-3-12図 アメリカにおけるシェールオイル生産の見通し:影響は限定的

シェールガスやシェールオイル採掘はアメリカが先進的に進めているが、こうした資源は世界中に埋蔵している(第2-1-3-13図)。EIAによれば、エネルギー生産は徐々に低減していくものの、40年には11年より30%程度増加する見込みとなっている(第2-1-3-14図)。

第2-1-3-13図 シェールガス・シェールオイルの地域別分布:世界各地に分布
第2-1-3-14図 世界のエネルギー生産の見通し:40年には30%程度増加

資源国は資源ブーム時に割高な実効為替レートとなることから、輸出競争力の高い産業を育成することが難しいという課題を抱えている。01年以降の実質実効為替レートの推移を確認すると、資源国は非資源国に比べて増価傾向にあり、資源価格の上昇が一定程度寄与していることがうかがえる(第2-1-3-15図)。

第2-1-3-15図 実質実効為替レートの推移:資源国は大幅に増価

それでは、資源国と非資源国における産業の比較優位性を確認するため、産業別27別ウインドウで開きますの雇用者比率をみてみよう。90年代は資源国、非資源国ともに大きな違いはみられない。しかし2000年代に入ると、資源国では引き続き変化がなく各比率はおおむね横ばいで推移している28別ウインドウで開きます。なお、非資源国の各比率をみると、第一次産業が低下し、第二次及び第三次産業が上昇している(第2-1-3-16図)。非資源国における工業化及び高付加価値化の推進が産業構造の変化に現れており、非資源国の成長にも寄与したとみられる(前掲第2-1-2-1図)29別ウインドウで開きます

第2-1-3-16図 産業別雇用者比率:非資源国では第二次及び第三次産業が上昇し、産業の高度化が進展

資源国経済を安定させるためには、比較優位を活用した形での輸出産業の高度化・多角化が課題である。その成功例としては観光資源を活用したサービス輸出の活性化等が挙げられる。一方で、資源加工業等サプライチェーン高度化の取組も進められているものの、その際は製造業を支える人的・制度的資源を構築することが不可欠となる30別ウインドウで開きます。「資源国の罠」を脱するためには、これらの改革を進めつつ、国内サービス業をはじめ非輸出財の生産性を同時に高めていくことが今後の課題といえよう。

以上のように、新興国では人口構造やインフラの向上等の制度面の好条件もあいまって、対内直接投資や貿易が活性化したことが2000年代の高成長の要因であるが、新興国のうち、特に資源国では資源価格の上昇による輸出拡大と投資増による経済の躍進がみられた。世界金融危機以降、成長のけん引役であった投資や貿易には伸び悩みがみられるものの、今後も新興国特有の規模の経済を活かした成長が高まることが期待される。

次節では、新興国のサプライチェーンの変遷を確認するとともに、中国経済の減速に伴いこれらの新興国の経済構造がどのように変化していくのかを確認することとする。

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