昭和34年
年次世界経済報告
世界経済の現勢
昭和三四年九月
経済企画庁
第二部 各 論
第二章 西 欧
西ドイツ経済にとつて,一九五八年はある意味で戦後経済史上一つの時期を画する年であつたといえる,第一に,国内投資ブームの衰退と世界的な不況局面の現出により経済成長率が著しく鈍化した。第二に,五五年以来の物価の騰貴傾向がとまつて安定的となつた。第三に,国内の資本市場がめざましい成長をみせ,短期,長期とも金利が低下した。第四に,西ドイツがようやく「良き債権者」としての態度をとりはじめ,資本輸出が活発化してきた。
もちろんここに列挙された四つの特徴は相互に無関係なものではなく,むしろ密接にからみあつたものだ。経済全体としての成長率が鈍化し,部分的にはデフレ現象が発生したことが物価の安定をもたらしたわけだし,成長率を鈍化させた要因が同時にまた資本市場の成長を促進し,金利の低下が資本輸出を助成したとみることができよう。
西ドイツの実質国民総生産は一九五八年に二・八%増加した。五五年の成長率一一・八%,五六年の六・四%,五七年の五・〇%にくらべて著しい鈍化だ。金額(一九五四年価格)でみると実質国民総生産は五四億DMの増加だが,この実質総生産の増加をもたらした主要な需要の寄与率をみると個人消費七二%,輸出四六%,相固定投資三三%,政府消費一九%5となつており,在庫投資は増減なしであつたため総生産の増加に全く寄与しなかつた。個人消費の増加率が五七年の四・六%から五八年の三・三%へ低下したにもかかわらず,経済成長に対する寄与率が高まつているのは,景気沈滞期においても個人消費が安定的であることを示すものだ。粗固定投資は五七年は全く停滞的で拡大要因とはならなかつたが,五八年には重要な拡大要因となつた。ただし増加したのは主として住宅建築と公共投資であつて,設備投資はあまり増えなかつた。
また,商品・サービス輸出の増勢は五七年の一八%から五八年の約五%へと著しい鈍化をみせ,経済拡大要因として力も弱まつた。
これを要するに五八年における西ドイツ経済は,個人消費が緩慢ながら増勢を持続したこと,固定投資(特に住宅と公共建設)が下期から再び活発化したこと,輸出も僅かながら増勢を維持したことによつて,緩慢な拡大基調をつづけることができたわけである。
西ドイツの物価は五五年下期から上昇傾向をたどり,投資ブームの衰退と供給力の増大による需給情勢の緩和にもかかわらず五八年春頃まで騰勢が持続した。これは一つには五七年秋の鉄鋼および石炭価格の引上げと公益業のサービス料金の引上げに影響されたものだが,そうした影響が出つくした五八年春以降は物価も市場の実勢を忠実に反映して安定的となつた。輸入品価格の低落と賃上げテンポが五八年に小幅となつたことも物価の安定を助けた(工業労働者の時間あたり賃金は五八年の九%増に対して五八年は七%増)。第2-98表にあきらかなように,原料品価格,農産物価格,工業製品生産者価格,生計費指数とも五八年春からほぼ安定している。
しかもブンデスパンクの指摘するところによると,これは公式の物価統計の動きであつて,実際にはかなりのディスカウントが行われているし,また公式統計が今日の実状にそわぬ点もあるので,現実の物価情勢は公式統計の示す以上に安定的ないし微落的だといわれている。
西ドイツの資本市場は従来政府の助成策にもかかわらず容易に発達せず,それが西ドイツ経済の最も弱い一環をなしていた。西ドイツがアメリカを除いて最も豊富な外貨を擁しながら資本不足の国とされていたのもそのせいであつた。ところが五七年末から情勢が一変し,資本市場の急速な発展がみられた。長期余利は五七年央の八%から五八年末の五・五%まで低落,最近では五%程度となり,西ドイツ長期金利の国際的割高も解消された。その結果国内の起債活動が活発化したばかりでなく,外債の募集も行われるようになり,資本輸出伸張のための基盤がつくられた。
いま五八年中の有価証券発行高をみると,第2-99表のように五七年の五八億DMに対して五八年は九二・六億DMで約二倍化している。ただし株式の発行高は逆に減少しているが,これは税法上株式発行による資本調達が社債発行よりも不利なためだ。いずれにせよ,資本市場の成長と長期金利の低下は国内の投資活動を刺激することで国内景気の維持に重要な役割を果すと同時に,資本輸出の促進を通じて国際的不均衡の緩和に役立つたのであつて,その意味では五八年における西ドイツ経済の最も重要な出来事であつたといわなければならない。
国内の金利低下と資木輸出の活発化を反映して西ドイツの国際収支ポジションは昨年から本年にかけて顕著な変化を示しつつある。一言でいえば西ドイツは今や「良き債権者」として振舞いはじめたのだ。第2-100表から明らかなように,五八年中の商品サービス取引の黒字額は八八・三億DMで五七年の七七億DMを一一・三億DMも上回つたが,資本取引の赤字額が前年比五・五億DM増大したため,総合収支尻では約四〇億DMの黒字にとどまり,前年比約五・七億DM増であつた。しかし主として短期商業信用の動きを反映する-誤差・脱漏」が前年の黒字一七億DMから五八年の赤字八億DMへ大きく変つたため,ブンデスバンクの金・外貨準備は五七年の五一億DM増に対して五八年は三二億DM増にとどまつた。しかも資本取引項目を仔細に検討すると,長期取引の赤字は前年の七・三億DMから五八年の一七六億DMへと約二・五倍化している。その過半は民間の長期資本が五七年の黒字一・三億DMから五八年の赤字五・三億DMへ変つたためだ。政府の資本輸出も約四億DMほど増えた。短期資本取引の赤字額は五七年の一九億DMから五八年の一四億DMへと減少しているか,これは政府の兵器購入前払額が一二億DMも減少したせいであつて,民間の短期資本純輸出額は五七年の○・〇二億DMから五八年の七・三億DMへと飛躍的に増加しているのである。
こうした資本輸出の増加傾向は本年にはいつてからさらに加速化されている。本年一~五月間の民間長期資本輸出は八・四億DMに達したが,これは五八年全体の五・三億DMを既に六割も上回つている。しかもその九割近くの七・四億DMが証券投資である。昨年の証券投資は二・八億DMであつたから,本年の証券投資は既に昨年全体の二・七倍に達したことになる。元来西ドイツの民間長期資本輸出は五七年までは外国に子会社や工場を設立する直接投資が主であつたが,五八年下期からは証券投資の比重が高くなりはじめ,この傾向が最近ますますつよまつてきたわけだ。この証券投資の大部分は欧大陸諸国の株式に対する投資であつて,通貨交換性の回復や共同市場の発足による欧州資本市場の統合過程を反映したものといえよう。
短期資本の輸出も本年一~五月間に三二・五億DMに達しており,昨年全体のそれの二倍以上だ。これは主として西ドイツの民間銀行が利鞘稼ぎにその余裕資金を外国銀行に預金または外国の短期証券に投資するという,いわゆる“Geldexport”を盛んにやつているせいである。
このほか政府の資本輸出(兵器購入前払いや対米戦後債務の早期返済)も増加したため,民間と政府を合せた長短期資本勘定の赤字額は五〇・五億DMとなつたが,これは前年同期の三倍であり,五八年全体の赤字額とくらべても六割増た。これに対して商品・サースの黒字額は三一・三億DM(前年同期比三・三億DM減)であるから総合国際収支は二八億DMの赤字となり,その結果ブンデスバンクの金・外貨準備も一~五月間に:三億DMの減少を示した。
国内の経済活動をみるに,年末から本年はじめにかけての一時的沈滞のあと,春の到来とともに再びカ強い上昇傾向がみられる,一,二月の鉱工業生産指数は前年同期比僅か一・一%増だつたが,三,四月には五%の増加,さらに五月には九%増となつた。これは主として好天候のため建築シーズンが早く開始されたせいでもあるが,他の工業部門も好調であり,従来不振であつた鉄鋼業が顕著な改善をみせ,また繊維産業にも回復の兆候がある。いま主要部門別に五月の生産をみると,鉱業はまだ前年同月を下回つているが,基礎財は一三%増,資本財一〇%増,消費財八%増である。粗鋼の生産高も四月から再び前年同月を上回りはじめ,五月は一七%増だ。繊維の生産も五月にはじめて前年同月を上回るにいたつた(七%増)。
とくに注目すべきは工業受注高の激増である。工業の新規受注高は五七年下期から頭打ちとなり,五八年中減少傾向をつづけていたが,本年に入つてから再び増勢に転じ,とくに最近数カ月はきわめて顕著な増勢をみせている,その結果五七年下期以来の受注残高減少の傾向もとまり,再び受注残が増大しはじめている,すなわち,三月の工業受注高は前年同月比一七%も増加したが,四月には二六%増となり受注水準としても新記録であつた,六月の受注高は五月よりやや減少したが,前年同月比では一六%増だ。しかも殆どすべての部門において受注高が増加している。
このような経済活動の上昇につれて雇用情勢も改善された。本年三月の雇用総数(自営業者を除く)は一,九六七万入に達し,昨年同月比二五万人の増加であつた。失業者数は本年一月には季節的に激増して一三四万人に達したが,三月には五九万人へ減少,さらに六月には僅か二五・五万人となつた。従来の最低記録である昨日九月の水準より七万人も少い,昨年同期比では一五万人減である。その結果失業率も僅か一・三%となり,これまた従来の記録(昨年九月の一・九%)を破つた。他方求人数も増加して六月には三一・九万人に達した。求人数が失業数を上回つたのは四八年の通貨改革以来はじめての現象である。
石炭業を除いて殆どすべての部門に失業の減少がみられ,一部では労働力不足が訴えられているようだ。こうした労働力不足の緩和のため,政府は地域間労働力の交流と外国人労働者の導入につとめている。
労働力不足核IFO研究所が本年四月に行つたビジネス・サーベイからもうかがわれる。同調査によると労働力不足により生産が阻害されていると解答した企業数は調査総数の一八%に達しており,五八年の九%,五七年の一五%を超え,五六年の二一%に近づいた。
以上のような鉱工業生産の拡大と雇用の増加をもたらした原因は,国内的には前述した建設活動の拡大と耐久消費財需要および在庫整理一巡による鉄鋼,繊維産業の回復である。
建築活動の指標として建設許可額をみると,五八年は前年比一五%増だつたが,五九年一~四月の平均は前年同期比一九%増で増勢の高まりが察せられる。ただし建設活動は住宅部門を中心としており,産業用建設はあまり振わない。住宅建設許可額は本年一~四月間に前年同期比二一%の増加であつたのに対して,「その他建設」はわずか四%増にすぎなかつた。しかもこの四%増にしても大部分は州地方政府による公共建設の増加を反映したものとみられる。
産業固定投資の不振は機械工業受注高にもあらわれており,本年第1・四半期の国内受注は昨年並みにとどまつた。もつとも建設産業の好況や政府援助による農業機械化を反映した建設機械や農業機械および合理化に役立つ工作機械などについては受注高の大幅な増加がみられる。
工業の固定投資は五七年に○・七%減少したあと,五八年は前年並みとみられ,本年も最近の調査によるとほぼ昨年並みとみられている(ただし工業以外の民間部門の設備投資が若干ふえたので設備投資全体としては昨年中に約七%の増加であつた)。
工業設備投資が合理化投資以外概して活発でないのは,過剰設備の圧力がまだ解消していないためだ。最近の景気上昇で工業の操業度も昨年同期よりやや上昇してきたが,まだ五七年春の水準に及ばない。第2-104表に明かなように製造工業の平均操業度は五五年春の八九%をピークとして五八年春の八二%まで低落している(最適操業度は約九〇%)。本年春には八四%へとやや戻したが,五七年春の八六%にくらべてもまだ低い。こうした五六年以来の操業度の低下は,いうまでもなく生産能力が生産の伸びを上回つて拡張されたためだ。たとえば五八年下期におげる主要産業の操業度と生産高を最適操業状態にあつた五五年下期と比較すると第2-105表のごとくで,生産は増えているのに操業度は逆に低下している。輸出の活況も現在の西ドイツ経済の明るい面だ。昨年の商品輸出は概して工業諸国向けの停滞をソ連圏と低開発諸国向けの増加が相殺して約三%の増加にとどまつたが,本年一~四月の輸出実績は前年同期比五%増だ。最近における輸出増加の主因はアメリカを中心とするドル地域向け輸出と欧大陸ならびアジア諸国向け輸出の増加にある。
このように現実の輸出額が最近再び増加してきたばかりでなく,西ドイツの輸出総額の約九七%を占める工業品に対する海外需要が最近大幅に増加している点が注目される。第2-107表からも明らかなように,工業の輸出向け受注高は五七年秋から減少の一途をたどつていたが,昨年末には再び前年同期を上回りはじめ,本年にはいつてからさらに激増している。すなわち本年第1・四半期の輸出受注高は前年同期を八・四%上回つた。月別にみると一月の二・四%減,二月の五・六%増,三月の一六・四%増と次第に増勢がつよまつている。しかも受注増加は基礎財,資本財,消費財の全部門にわたつている。最近年の経験からみると,輸出向け受注の変動が現実の輸出額に反映するのは約半年のちであるから,少くともここ当分西ドイツの輸出が増勢を持続するであろうことは疑いない。
輸入も増大傾向にあり,本年一~四月間に三・七%の増加であつた(昨年の輸入は一・八%の減少だつた)。本年にはいつてからの輸入の増加は主として欧州諸国からの輸入増加を反映したもので,ドル地域からの輸入は大幅に減少している。
ここで注目すべきは貿易の商品構成の変化であつて,輸出入とも工業製品の比重の増大が顕著である。特に昨年および本年の貿易では輸出入とも増加したのは主として工業製品であつた。すなわち,昨年の輸入額は一・八%減であるが,工業製品の輸入額は三一・六%も増加した。また昨年の輸出増加額一四億DMのうち一〇億DMが工業製品の輸出増による。
その結果,輸出入の直品構成に占める工業製品の比重増大という長期的な傾向がさらに強められた。第2-109表からも明らかなように輸入総額に占める工業製品の比重は一九五〇年の一二・六%から一九五八年の二七・三%へと二倍以上となつているし,輸出のばあいも同じく工業製品の比重が五〇年の六四・八%から五八年の八二・二%へ高まつている。
以上のように西ドイツの経済活動は本年春以来再びかなり活発な上昇傾向をみせているが,しからば今後の見通しはどうであろうか。まず供給面からみて問題となるのは労働力不足の問題であろう。
前述したように労働力不足が現在経済拡大の制約要因となつているが,さればといつて西ドイツの経済拡大がそのためにポツポツ頭打ちになつてきたわけではない。企業によつては昨年の生産停滞期にも労働力を温存していた企業があり,また超過勤務による労働強化の可能性も残されている。また需要増に伴う操業度の上昇は生産性を高めるであろう。とくにこの生産性の向上が今後ますます重要性を増すであろうし,現在の設備投資の大部分が合理化投資であることも,生産性の向上を助けるものと思われる。IFO研究所の調査によると(本年四月の調査),新たに労働力を雇用せずかつ価格を引上げずに増産する可能性は製造工業平均で約四%ないし六%とみられている。このほか現在行われている合理化投資による今後の生産性向上を見込めば,生産拡大の可能性はもつとあることになる。
今後の経済成長に関して第二に問題となるのは過剰設備の問題である。
前述したように西ドイツの工業には現在なおかなり広汎に遊休設備が存在している。遊休設備の存在はこれを供給側の要因としてみるかぎり経済拡大を可能ならしめる一つの前提条件ではあるが,同時にそれは設備投資を不振化させることで需要を抑制する作用をする。本年春にエアハルト経済相が物価引下げによる数量景気の造出を呼びかけたのも,その根底には遊休設備の稼働化による景気の振興1つまりインフレなき経済拡大の狙いがあつた。物価引下げによる消費財の売行上昇一消費財工業の操業度向上と投資増加一資本財工業の操業度向上と投資増加一こうしたプロセスが果して図式通りに進行するか否かはともかくとして,物価引下げによる数量景気の造出が目下論議されていることは西ドイツ経済の現状の一端を示すものとして興味がある。
いずれにせよ,労働力不足,戦後復興需要の充足,投資ブームの一巡など供給側と需要側の要因から西ドイツ経済の成長率も今後は必然的に鈍化するものと思われる。時価でみたGNPは五五年に一四%,五六年に一〇%,五七年に八・四%増加したが五八年には六・一%の増加にとどまつた。最近発表された西ドイツ民間経済研究所の合同報告書も今後の成長率をせいぜい五%ないし六%程度と見込んでいる。
最後に最近における西ドイツ経済政策の顕著な特色の二,三についてふれておきたい。エアハルト経済相が遊休生産設備解消の一助として価格引下げによる数量景気の造出を呼びかけていることは既述のとおりだが,対外経済政策においても著しい変化がみられる。第一は資本輸出に積極的となつたことだが,これについては既に述べた。第二は低開発諸国や東欧圏諸国との貿易促進に力をいれ出したことにある。元来西ドイツの輸出市場の中心は欧州諸国にあり,輸出総額の約半分余が欧州向けだ。しかし輸出市場としての欧州の比重は近年わずかながら低下傾向にある(欧州向け輸出の比重は五七年の六阻・六%から五八年の六三・七%へ)。それに代つて低開発諸国向け輸出の比重が上昇してきた。昨年のごときは輸出増加の殆ど全部が低開発諸国と共産圏向け輸出によつて占められていたほどだ。
低開発諸国やソ連圏はいずれも野心的な経済開発計画を実施中であり,資本財を中心とする西ドイツの輸出産業にとつては格好の市場だ。工業諸国が概して遊休生産力を抱えている現状の下では西ドイツの資本財輸出市場として低開発国やソ連圏の重要性がましてくるのも当然であろう。
西ドイツの輸出総額に占める資本財の比重は五六年の五二%,五七年の五四%,五八年の五八%と高まつているが,個々の資本財工業の立場からみても輸出依存度はきわめて高いのである。第2-110表から明らかなように,造船業では販売総額の約五五%が輸出向けだし,輸送機器(主として乗用車)の輸出依存度は約一二五%に達し,機械額もその販売総額の約三割が輸出向けだ。このほか化学工業や電機工業など重要産業の輸出依存度も二割前後に達している。
西ドイツは近年貿易為替の自由化に努力し,昨年末における欧州通貨交換性の回復においても指導的役割を果したばかりでなく,本年にはいつてからは居住者および資本取引についても完全自由化を断行した。それを可能ならしめたのは多額の国際収支黒字と金外貨の蓄積であるが,反面では西ドイツ経済の高い輸出依存度が互恵的な貿易自由化の推進を要請している点を見逃してはならない。西ドイツが共同市場内部においても比較的リベラルな立場をとり,自由貿易地域案に対して同情的であることも,同様な理由にもとづくものだ。