第2章 バブルの発生・崩壊と日本経済

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1980年代後半には,株式・土地の価格が大幅かつ長期にわたって上昇し,いわゆる「バブル」と呼ばれる状況が発生した。今でこそ当時バブルが発生していたということは常識化しているが,現にバブルの渦中にあった時は,それがバブルであるという認識が定着していたわけではなく,その経済的諸影響についても様々な議論があった。しかし,90年以降の資産価格下落は,それに先立つ資産インフレの姿を改めて浮き彫りにする結果となった。現時点で,資産インフレを含めて中期的な観点から,バブルの発生と崩壊のプロセスやその経済的諸影響を明らかにすることは,歴史的なバブルを身近に経験してきた我々に課せられた大きな責務だといえよう。

本章では,第1節で今回の資産価格変動の大きさを確認したあと,第2節で株価・地価の動きを振り返り,その要因について分析する。続いて,第3節では資産インフレが,第4節ではその後の資産デフレが,日本経済に対してどのような影響をもたらしたかについて整理する。最後に第4節で,今回のバブルから歴史的教訓として我々は何を学ぶべきかについて議論する。

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