平成5年

年次経済報告

バブルの教訓と新たな発展への課題

平成5年7月27日

経済企画庁


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平成5年度年次経済報告(経済白書)公表に当たって

長引く景気低迷,浸透するバブルの崩壊の影響,経常収支黒字の急増など,1992年から93年前半にかけての日本経済は多くの課題に直面することになりました。しかし,低迷を続けてきた景気にも,93年に入ると最悪期を脱し,回復に向けた動きが現れてきております。

本報告では,このような多様な展開を見せる日本経済について,第1章「低迷が続いた日本経済」,第2章「バブルの発生・崩壊と日本経済」,第3章「拡大する経常収支黒字と我が国の課題」,第4章「豊かさに向けた経済のリストラクチュアリング」という課題について分析し,検討を行っております。

80年代後半以降の資産価格の激しい上昇とその後の下落は,国民経済的な規模で進行し,各方面に極めて大きな影響を及ぼしました。こうした激動の時期を経て,我々はバブルの経済的コストがいかに大きいか,また,バブルを未然に防ぐ経済運営がいかに重要であるかを学びました。

また,最近,経常収支黒字の拡大がみられますが,内需の持続的拡大を図り,透明生の高い,開放的な市場を実現していくとともに,世界経済の発展に寄与するような資本供給を行うことは,この課題の解決に資するものと考えられます。

バブルの発生・崩壊という貴重な経験を踏まえて,近年においては,企業や家計の行動にも,他品種少量生産体制の見直し,堅実な消費態度などの芽生えが見られます。こうしたリストラクチュアリングへの歩みを生かしながら,内需中心の持続的成長と質の高い国民生活の実現に向けて着実な歩みを進めていくことが必要と考えられます。

以上の内容を踏まえ,本年度の年次経済報告の副題は「バブルの教訓と新たな発展への課題」といたしました。本年度の年次経済報告が,我が国経済の現状に対する認識を深め,その課題を解決する上で,いささかでも貢献することができれば幸いであります。

平成5年7月27日

高鳥 修

経済企画庁長官


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