昭和35年

年次経済報告

日本経済の成長力と競争力

経済企画庁


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昭和34年度の日本経済

財政

社会保障制度の新展開--国民年金の創設

 次に、国民年金の創設についてみよう。

 社会保障関係費は、1,479億円で、33年度に比し221億円、18%増加したが、国民年金の創設と国民皆保険の拡充が増加の中心となっている。特に国民年金の創設は、我が国の社会保険体制の画期的な前進を意味するものと考えられている。34年度は、老齢、廃疾、母子の三者を対象とした無拠出制の給付100億円であるが、36年度からは、拠出制も実施されて、大幅な国庫負担の増加が見込まれており、その後50年度まで、国庫負担は次第に増加するものとされている。

 我が国の政府支出に占める振替支出の割合は、戦前(9~11年平均)は9.6%であったが、戦後27年度には、文官恩給等の改正によって、13.4%に、29年度には、軍人恩給の増額によって21%にと、著しく比重を高めてきた。その後、幾分の低下をみたのであるが、34年度には、再び21%程度に上昇する見込みである。

 これを個人所得に占める振替所得の比率でみると、戦前の2%から、戦後は、一貫して増大を続け、34年度には、6%前後に達する見込みである。国民年金の創設は、このような傾向を、一層おし進めるものと考えられる。


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