昭和35年

年次経済報告

日本経済の成長力と競争力

経済企画庁


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昭和34年度の日本経済

財政

新段階にきた公共事業--産業基盤の整備

 さて、34年度の重点施策の一つである公共事業について、もう少し詳しくみてみよう。すなわち、公共事業関係費は、32年度以降、特に産業基盤拡充の見地から、増加を続けてきたのであるが、34年度には、一段と増勢を強め、33年度に比し27%増加して2,210億円となり、予算総額の15.6%を占めることとなった。事業別の構成をみると、 第10-1図 の通りである。すなわち、道路及び港湾漁港等の整備のための支出は、29年度には公共事業関係費の17.3%であったが、次第に比重を高め、32年度の急増に次いで、34年度には47.9%と飛躍的な増加を示している。なお、伊勢湾台風等により、災害復旧を中心とした補正が行われたため、補正後予算では、この比重は、41.2%に減じている。

第10-1図 公共事業関係費事業別構成の推移

 財政投融資計画でも、交通通信の比重は、29年度の9.8%から、34年度には、17.3%へと高まっている。

 また、34年度には、前年度の道路整備事業特別会計の設置に続いて、特定港湾施設工事特別会計が設けられ、77億円の事業費で、輸出物資、石油、石炭、及び鉄鋼原材料を取り扱う港湾の整備を重点的に行うこととなった。

 このような公共事業費等の増大も反映して、34年度には、政府の財貨・サービス購入のうちの、資本形成の比重は、経常支出とほぼ匹敵するまでになっている。


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