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 経済審議庁では、先般「昭和二十八年度年次経済白書」を公表した。これは、昭和二十二年以来毎年公にしている「経済白書」の第七回目に当るものである。

 経済白書は、わが国の経済の動き豊富な資料に基いて分析解明し、日本経済の実相をひろく一般に報告することを目的としているものであるが、毎年一つのテーマをその記述の中心に置いている。昨年は、ちようど占領終結の際でもあつたので、終戦後日本経済復興のあゆみを中心に取扱つたのであるが、本年は、朝鮮休戦の見透しの濃い折柄、朝鮮動乱によつて、日本の経済がどのような動き方をしたかについて、しめくゝりをつける適当な時期にあるので、昭和二十七年の動きの特徴の外に、朝鮮動乱以来の経済動向を総括的に取扱つている。

 近時、日本経済の自立達成のために、いろいろ具体的な施策について、議論されているが、この白書を読まれることによつて、日本経済の将来について、一層関心がたかまるに違いない。識者の一読をぜひお願する次第である。

 経済審議庁長官

 岡野清豪

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