一〇、通貨の状況


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 日銀券は昭和二一年には毎月約七〇億円程度增加し、昨年に入つてから四―六月間に二〇五億円、七―九月間に二〇一億円と增加率は次第に低下する傾向にあつた。ところが一〇―一二月間に價格改訂の影響もあつて月一〇〇億円以上となり、特に一二月は財政資金のぼう大な支拂と年末といふ季節的関係も加はつて四〇〇億円以上に增加し、一二月末日銀券発行高は二、一九一億円に逹した。本年に入つてからは特に納税の著しい進捗と財政支拂の抑制とに基いて財政資金の引あげが增加した関係もあつて、一月一一億円、二月に二七億円を收縮し、さらに三月は年度末にもかかわらず三四億円を增加したに止り、一月初めからは三ケ月間では四億円の收縮を示していて、昨年同期の二二三億円の增発にくらべれば著しく好轉している。しかして二二年度間の增発は一、〇三〇億円、本年三月末現在の発行高は二、一八七億円であつた。

 このように通貨增発の原因は結局財政及産業の資金需要を貯蓄でまかない得ないということにある。昨年度中における三者の関係を対比すると國庫財政資金の支拂超過額は六四八億円、産業資金の增加額は一六七五億円、計二、三二三億円で財政・産業両資金の割合は二八%対七二%に当つている。之に対し一般自由予金增加額から第一封鎖予金減少額を差引いた純蓄積額は一、二五五億円にすぎず、結局その差約一千億円が通貨增発となったわけである。又通貨增発の経路から見ると財蓄として金融機関に集つた資金の大部分が産業資産として融資され、わずかの部分が財政資金に運用されているに過ぎないために、年度間に增発された一〇三〇億円の通貨の中その過半は國庫財政資金の支拂超過に基いているのである。之等の計数の関係及び推移を月別に示せば次表の通りである。(單位億円)

第11表

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