第2章 急速に悪化しつつある企業部門
第1章で概観したように、2008年前半には、原油・原材料価格が高騰し、企業はコスト上昇に直面した。その後2008年後半には原油価格は下落に転じたものの、世界的な金融危機が深刻化し、世界経済が減速する中で、日本の景気も弱まっている。こうした中で、企業は様々な対応を行っているが、業績悪化が進み、中小企業を中心に倒産が増加している。
本章では、景気後退下の企業部門の特徴について過去の景気後退局面と比較しながら分析する。2007年末頃から2008年前半は過去の後退局面と比べて悪化テンポが緩やかであったが、業種別、規模別にみたときに特に注意すべき点を指摘する。2008年後半には事態が急速に変化しているが、その向かう先を展望する。