公共サービスイノベーション・ウェブサイト

更新日:2019年2月15日

「公共サービスイノベーション」とは、①公共サービスに対する需要・供給構造に関する情報や地域間、保険者間の差異に関する情報等の「見える化」を進めること、②公共サービスに係る業務の簡素化・標準化、先進的な取組の普及・展開を進めること、を目指す考え方です。この考え方は、経済再生と財政健全化の双方を推進する上で、「公的サービスの産業化」、「インセンティブ改革」と並ぶ歳出改革のアプローチの一つとして、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針2015)で策定された「経済・財政再生計画」において提示されました。(ページ下部参照。)


ボトムアップの歳出改革図

「公共サービスイノベーション」を推進するため、内閣府においては、平成27年9月より、経済財政諮問会議や地方三団体の関係者、有識者等を構成員とする「公共サービスイノベーション・プラットフォーム(PF)」を開催し、自治体の業務改革に係る先進・優良事例の全国展開に焦点を当てて取組を進めてきています。
本ウェブサイトでは、主にこのPFや経済・財政一体改革推進委員会の制度・地方行財政ワーキング・グループ(WG)国と地方のシステムワーキング・グループ(WG)の成果やその他の公共サービスイノベーションに関する情報を集約し、閲覧、検索及び分析の一元化を図っています。
※ 制度・地方行財政WGは平成29年1月25日、社会資本整備等ワーキング・グループ(WG)とともに、国と地方のシステムWGに統合されました。


窓口業務の民間委託に係る先進・優良事例集

自治体クラウド導入に係る先進・優良事例集

広域化・共同化等に係る先進・優良事例集

AI・ICT等を活用した業務改革に係る先進・優良事例集

「地方の、地方による、地方のための」改革事例集

「公共サービスイノベーションPF」の開催状況(東京開催、地方開催)

その他のお役立ちリンク集

公共サービスイノベーションに係る自治体向け相談窓口(お問合せフォーム)


付論:なぜ、今、「公共サービスイノベーション」なのか

政府は、「経済再生なくして財政健全化なし」の基本方針の下、経済・財政一体改革を推進しています。財政収支の改善のためには、経済の再生を通じた国・地方の税収の増加が不可欠だからです。
この観点からは、公共サービスについても、経済の再生に資する新たな取組が求められることになりますが、民間企業やNPO等が自治体と協力して行政サービスの提供の一部を担う取組を進めることによって、より効率的で新しいサービスの提供を図ることが可能となり、新たな経済成長につながることが期待されます。とりわけ、大都市部に比べて民間の経済基盤が脆弱といわれる地方部において、公共サービスの民間委託等を通じて民間の経済活動の活性化を図る意義は大きいのではないでしょうか。
また、今般の経済・財政一体改革は、経済再生と財政健全化の両立をボトムアップで実現しようとするものです。歳出改革の削減目標を分野別に割り当てるようなトップダウンの方式ではなく、行政現場の自主的な創意工夫の積み上げによって、歳出効果の成果を上げることを目指しているのです。この観点からも、自治体に公共サービスイノベーションの先進的な取組を促し、これを全国に広めていくことで大きな成果を上げることが期待されています。
さらに、近年の国・地方の財政的制約の高まりの中で、自治体における公共サービスについても、「政策効果が高く必要な事業に財源配分を重点化していく」というワイズ・スペンディングの視点がこれまで以上に重要になっています。既存の業務について新しい手法を導入し、より少ない経費で同等以上の効果を上げる体制を整えることで、そこで浮いた財源を地方創生や住民サービスの向上といった喫緊の行政課題への対応に回すことが可能となるのではないでしょうか。
以下では、参考に、「公共サービスイノベーション」に関係する主な政府文書を紹介しています。


【骨太方針2015(平成27年6月30日閣議決定)(抜粋)】

第3章 「経済・財政一体改革」の取組-「経済・財政再生計画」

国と地方の歳出は様々な公共サービスを行うためのものであり、国民生活に密接に関わるものであるため、歳出改革は国民の幅広い参加を求めていく必要がある。今回取り組もうとする歳出改革は公共サービスの無駄をなくし、質を改善するため、広く国民、企業、地方自治体等が自ら意欲を持って参加することを促し、民間の活力を活いかしながら歳出を抑制する社会改革である。国、地方、民間が一体となって以下の「公的サービスの産業化」、「インセンティブ改革」、「公共サービスのイノベーション」に取り組む。
① 公的サービスの産業化
公共サービス(医療・介護、子育てなどの社会保障サービスを含む。以下同じ。)及びそれと密接に関わる周辺サービスについて、民間企業等が公的主体と協力して担うことにより、選択肢を多様化するとともに、サービスを効率化する。
② インセンティブ改革
政府はもとより、国民、企業、自治体等が自ら無駄をなくし、公共サービスの質の向上に取り組む意欲を喚起し、公共サービスの量的な増大を抑制する。
③ 公共サービスのイノベーション
このような取組の基盤としての徹底した情報開示(見える化)、業務の簡素化・標準化、先進的な取組の普及、展開を進める。
我が国経済全体がデフレ脱却、賃金・物価の上昇を実現していく中で、公共サービスの価格はそれぞれ透明性を十分高め、合理的なものとしつつ、デフレ脱却と整合的なものとする。同時に、上記の改革により、様々な公共サービスについて、無駄な部分を徹底的に排除し、質の向上を図る。これにより、公共サービスの質や水準を低下させることなく、また、新たなサービスを生み出すこと等を通じて、経済への下押し圧力を抑えつつ公的支出の抑制を実現する。

第3章 [3]地方行財政改革・分野横断的な取組等

公共サービスイノベーションにおける優良事例の全国展開を加速する。

【経済・財政再生アクション・プログラム(平成27年12月24日経済財政諮問会議決定)(抜粋)「用語の解説」】

本プログラムは、経済再生と財政健全化を相対立するのではなく両立させるべき関係と位置付ける(①)とともに、その進め方についても、トップダウンではなく、個々の改革の取組と関係者・現場の創意工夫を重んじるボトムアップによる(②)ものである。こうした①の両立する目標を②のボトムアップで実現しようという際のアプローチが、(i)公的サービスの産業化、(ii)インセンティブ改革、(iii)公共サービスのイノベーションである。

(i)公的サービスの産業化
公共サービス(行政が提供するサービスのほか、医療・介護、子育てなどの公的保険制度や公費負担によって提供される社会保障サービスを含む)やそれと密接に関わる周辺サービスについて、 民間企業等が公的主体と協力して担うことによって、サービスの選択肢の多様化、サービスの効率化を図るとともに、新たな成長のタネを発掘・伸長させること。

(ii)インセンティブ改革
公共サービスの質の向上に取り組む必要性に対する気付きを広げ、現状を変えていく動機付けをすることによって、住民や保険者、企業等の行動変化につなげ、公共サービスの量的な増大を抑制するとともに、経済・財政の再生に向けた前向きな改革を促すこと。

(iii)公共サービスのイノベーション
公共サービスに対する需要・供給構造に関する情報や地域間、保険者間の差異に関する情報等の「見える化」を進めることや、公共サービスに係る業務の簡素化・標準化、先進的な取組の普及・展開を 進めること。

【骨太方針2016(平成28年6月2日閣議決定)(抜粋)】

第3章 1.経済・財政一体改革の着実な推進

ワイズ・スペンディングの考え方に立って、経済・財政一体改革の推進に資するように改革の成果を活用しながら、財政の収支改善も図っていくことが必要である。経済再生と財政健全化の二兎を追いながら、改革の成果を活かして更に改革を推進していく。(中略)
歳出改革に当たっては、先進・優良事例の展開促進、国と地方の連携強化、「見える化」の徹底・拡大を通じて、国・地方を通じたボトムアップの改革を推進する。あわせて、国庫支出金や義務的経費を含め、歳出全般について経済再生と財政健全化に資するよう、ワイズ・スペンディングの仕組みの強化を進める。

第3章 2.(1)②自治体の公共サービス

窓口業務の適正な民間委託等の加速や、自治体クラウド等をはじめとするICT化・業務改革及び自治体間の境界を越えた広域化・共同化を、強力に推進する。公共サービスのイノベーションを実現するため、一層の周知・広報等に取り組むとともに、先進事例がどのように課題を克服したか等の評価・分類及びそれぞれに応じた普及促進策について検討し、都道府県の協力も得ながら全国展開を進める。

【骨太方針2017(平成29年6月9日閣議決定)(抜粋)】

第3章 1.経済・財政一体改革の着実な推進

「経済・財政再生計画」の「集中改革期間」の最終年度である2018年度(平成30年度)においても、手綱を緩めることなく、社会保障の効率化など、同計画における歳出・歳入両面の取組を進める。その際、「見える化」、先進・優良事例の展開、ワイズ・スペンディングを強化するとともに、エビデンスに基づく政策立案を推進する。

第3章 2.(1) ② 先進・優良事例の全国展開の促進

先進・優良事例の全国展開を支援する関係府省庁は、取組の効果が他の団体にも明確に認識されるよう、地方公共団体の類型化やデータの標準化等を進めることで類似団体間の比較可能性を確保する。また、公共サービスイノベーション・プラットフォームなどの枠組みも活用し、地方公共団体間で課題等を共有しつつ共同して自主的に進める業務改革について、「地方の、地方による、地方のための」改革として、他の模範となる先進・優良事例の全国展開が図られるよう、地方主体の取組を支援する。

【骨太方針2018(平成30年6月15日閣議決定)(抜粋)】

第3章 4.(3)地方行財政改革・分野横断的な取組等

(基本的考え方)

また、歳出効率化等に頑張る地方自治体を支援するとともに、「見える化」の推進等を通じて、改革意欲を高め、効果の高い先進・優良事例の横展開を後押しする。同時に、業務のデジタル化・標準化・広域化等を後押しする。

(地方交付税をはじめとした地方の財政に係る制度の改革)

窓口業務の委託について、地方独立行政法人の活用や標準委託仕様書等の拡充・全国展開などの取組を強化し、その状況を踏まえ、トップランナー方式の2019年度の導入を視野に入れて検討する。その際、業務改革は、より質の高い行政サービスを効率的・効果的に提供していくために行うものであることに留意する。

(公営企業・第三セクター等の経営抜本改革)

公営企業の広域化、連携、再編・統合など経営の抜本改革を加速する。公営企業の経営戦略の策定及びPDCA等を通じて、更新費用や料金、繰出基準外の繰出金を含めた他会計からの繰入状況等の収入・支出や、管理者の情報の「見える化」や、繰出基準の精査・見直し、事業廃止、民営化、広域化等及び外部の知見の活用といった抜本的な改革等を推進する。(中略) 水道・下水道について、広域化・共同化の推進を含め、持続的経営を確保する方策等を検討し、具体的な方針を年内に策定する。先行事例の歳出効率化や収支等への効果を公表するほか、多様なPPP/PFIの導入や広域化・連携を促進する。また、公立病院について、再編・ネットワーク化を推進する。

(国・地方の行政効率化、IT化と業務改革)

自治体行政の様々な分野で、団体間比較を行いながら、関係府省が連携してICTやAI等を活用した標準的かつ効率的な業務プロセスを構築し、業務手法の標準化・コスト縮減を進める。あわせて、地方自治体における先進的な取組について、KPIを掲げて全国に広げていく。また、自治体クラウドの一層の推進に向け、各団体はクラウド導入等の計画を策定し、国は進捗を管理する。IT人材の更なる確保・育成に取り組む。

問合せ先

内閣府 政策統括官(経済社会システム担当)財政運営基本担当
〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 中央合同庁舎8号館