第5章 地域別の人口・経済データ

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コラム(人口・経済データで特徴のある市区町村)

【愛知県田原市】

経済指標を構成する要素の一つで、年間生産数量に品目ごとの農家庭先販売価格を乗じた農業産出額について、生産農業所得統計(農林水産省)に基づき全国市区町村を比較すると、2006年時点では愛知県田原市が724.4億円で全国トップであり、続いて宮崎県都城市が698.3億円、新潟県新潟市が655.3億円と続いている。

愛知県田原市は県の南端に位置し、北は三河湾、南は太平洋、西は伊勢志摩を臨む伊勢湾と三方を海に囲まれた渥美半島のほぼ全域が市域となっており、海岸延長は約100kmに及び、東側を陸続きに豊橋市と接している。

三河湾国定公園、渥美半島県立自然公園に指定され、海と山に囲まれた美しい自然環境を有しており、中でも蔵王山、伊良湖岬、大石海岸(太平洋ロングビーチ)などは、大勢の観光客が訪れる景勝地となっている。

田原市の人口は、トヨタ自動車(株)田原工場が操業開始後の1980年の60,581人から増加傾向にある。

2010年国勢調査における産業別就業者数及び構成比をみると、第一次産業10,935人(30.5%)、第二次産業10,058人(28.1%)、第三次産業14,830人(41.4%)となっており、第一・二次産業の割合が比較的高い。

農業は恵まれた温暖な特性を活かしながら発展し、特に1968年の豊川用水の全面通水以降、大規模な生産基盤の整備が進められ、生鮮野菜類の産地化と温室・畜産団地などの造成により全国的にも類を見ない農業先進地域となっている。農業の種別は、露地栽培や施設園芸、畜産と多様で、露地栽培では主に、キャベツ、ブロッコリー、レタス、スイカ、スイートコーン、露地メロンなどが、また施設園芸では、トマト、メロン、キク、カーネーション、バラ、洋花、鉢物などが栽培されている。畜種は、乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏、ブロイラー、うずらと多様でそれぞれブランド化が図られている。

工業面は、1964年の東三河工業整備特別地域の指定を契機に造成が進められた三河港臨海工業地帯田原地区に集積されており、製造品出荷額等は全国でも有数の地域で、そのうちの大部分を輸送機械製造業が占めている。

農業・工業等の活発な生産活動により、経済指標は1990年66.1、2000年67.2、2010年66.8で推移しており、経済が好調であることがうかがえる。

1 恋路ヶ浜
東西に広がる約2キロメートルの美しい砂浜。恋人たちの聖地。
恋路ヶ浜
2 電照菊
秋~冬の夜に輝くガラスの不夜城。近代農業の象徴。
電照菊
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