第5章 地域別の人口・経済データ
コラム(人口・経済データで特徴のある市区町村)
【岐阜県本巣市】
経済指標を構成する要素の一つで、市区町村に所在する事業所(小売業)における年間の有体商品の販売額の合計が小売業年間商品販売額である。商業統計調査(経済産業省)に基づき全国市区町村の小売業年間商品販売額を比較すると、1974年から2007年にかけて最も増加率が高い市区町村は、岐阜県本巣市である。本巣市の小売業年間商品販売額は1974年に7.9億円、1991年381.8億円、2007年542.1億円となっており、増加し続けている。
本巣市は、岐阜県南西部のほぼ中央から北端に位置し、東は岐阜市、山県市及び関市に、西は揖斐郡揖斐川町及び大野町に、南は瑞穂市及び本巣郡北方町に、北は福井県と隣接している。本巣市の西端を北部の山々から流れる大小の河川が合流し、根尾川となり南へ貫流している。その堆積作用により形成された市南部の扇状地では、肥沃な濃尾平野が広がっている。2008年時点で本市の森林面積は321.18km2となっており市域の8割以上を森林が占めている。本市では2007年に市観光協会を設立し、森林や根尾川の清流をはじめとする豊かな自然環境等の魅力のPR強化を図っている。
交通基盤は、市内を南北に縦断する国道157号を基軸として東西に横断する国道303号、418号等で骨格を形成している。本巣市役所からは岐阜市まで車で約20分、大垣市まで約30分、名古屋市中心部まで約1時間20分となっている。鉄道は、第3セクター樽見鉄道が南北に縦断し、住民の通勤、通学、買物など日常の移動手段となっている。本市の商業の特徴は、幹線道路沿い(糸貫地域、真正地域)に複数のショッピングモールなどの大規模商業施設を誘致し、市内だけでなく近隣市町村から集客していることである。
農業は、根尾川の豊かな水を利用し、主に根尾川扇状地において水稲、富有柿、イチゴ、セントポーリア、ミニバラ等各種農産物を生産している。
2010年国勢調査における産業別就業者数及び構成比をみると、第一次産業1,346人(8.1%)、第二次産業5,327人(31.9%)、第三次産業10,013人(60.0%)となっており第一産業、第二次産業の割合が全国平均よりやや高くなっている。
小売業の成長により、経済指標は、1990年から2010年まで60代後半で推移しており、経済の好調が維持されていることがうかがえる。
淡墨公園に咲く根尾谷淡墨ザクラを見るために全国から多くの人々が訪れている。
高級品種「富有柿」は柿アイスクリーム、ジャム等の特産品にも使われている。