第5章 地域別の人口・経済データ

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コラム(人口・経済データで特徴のある市区町村)

【熊本県西原村】

1980年と2010年の経済指標の変化をみると、経済指標の伸び率(2010年の経済指標を1980年の経済指標で割った値)が1.6以上の市区町村は、熊本県西原村、石川県川北町、山梨県忍野村、千葉県栄町、宮城県大衡村、福島県西郷村の6つである。最も経済指標の伸び率の高い熊本県西原村の経済指標は1980年45.0、2010年75.9であり、約1.7倍の伸び率となっている。

1960年9月町村合併により西原村が誕生した。西原村は熊本都市圏の東部、阿蘇外輪山西麓に広がるなだらかな台地に位置しており、甘藷や里芋等などが栽培されており、川沿いには水田が広がっている。また、イチゴやトマト、メロン等の施設園芸も行われている。熊本市近郊として発展しながらも農業を中核としてまちづくりが進められてきた。西原村の中心部より北には、熊本テクノポリス計画に基づき造成された「鳥子工業団地」「小森工業団地」が広がっている。阿蘇くまもと空港から車で10分、九州縦貫自動車道インターにも近く、交通アクセスの利便性を生かすべく、半導体製造や製菓製造などの全国にネットワークを持つ企業の工場が進出している。

2010年国勢調査における産業別就業者数及び構成比をみると、第一次産業653人(18.6%)、第二次産業907人(25.9%)、第三次産業1,945人(55.5%)となっている。農業が盛んな土地柄であるため、第一次産業の比率が高いことが特徴である。経済指標は1990年以降、70以上の高位で推移しており、経済好調の要因として工業と農業の発展が考えられる。工業統計調査による製造品出荷額等の推移をみると1980年に8.2億円であったが、1990年に442億円まで増加し、2010年時点では239億円まで減少しているものの対1975年(4.5億円)比では約53倍となっており、製造業が著しく発展していることがうかがえる。また、生産農業所得統計における農業産出額をみると、1975年には17.7億円であったが、2006年に35.5億円と約2倍に増加しており、工業化に偏ることなく、地場産業である農業も成長してきたことが分かる。

1996年以降以降2010年まで毎年転入超過の状態が続いている。西原村では村独自の乳幼児医療費助成事業(就学前までの医療費助成)などの子育て支援に取り組んでおり、2000年から2010年にかけて普通出生率が8.4から10.0に上昇している。

1 村のシンボル・俵山
標高1095m。米俵を重ねた姿に似ていることから、この名前がついたという。
村のシンボルである俵山
2 鳥子工業団地
熊本テクノポリス計画により造成され、全国にネットワークを持つ企業が数多く集積。
鳥子工業団地の全景
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