第5章 地域別の人口・経済データ
コラム(人口・経済データで特徴のある市区町村)
【鹿児島県伊仙町】
合計特殊出生率は15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当する。2013年時点の全国の合計特殊出生率は1.43である。
地域ごとに、ある5年間の15歳から49歳までの女性の5歳階級別出生率(年率)の5倍を合計して算出した合計特殊出生率をみると、2008-2012年では、鹿児島県伊仙町が2.81と全国トップであり、次いで沖縄県久米島町2.31、沖縄県宮古島市2.27となっている。また2003-2007年でも鹿児島県伊仙町が2.42で1位となり、鹿児島県天城町2.18、鹿児島県徳之島町2.18と続き、鹿児島県の離島である徳之島の3町が上位3自治体を占めていた。
伊仙町は全国でも「長寿・子宝の町」として注目されており、町の合計特殊出生率が2期連続日本一であるほか、全国に比べて100歳以上の高齢者の占める割合が高くなっている。
伊仙町では「子は宝」という精神文化が根付いており、家族や地域一体が子育てを応援する精神基盤が存在していることや、人生の大切な節目を、家族だけでなく知人・友人・近隣住民がともに祝うという地域文化があり、子育てにおいても地縁を超えた支援の手が多数存在するなど高い地域力を持っていることが出生率が高い要因と言われている。
伊仙町の基幹産業である農業では、サトウキビはじめ、バレイショ、カボチャ、園芸・果樹、徳之島牛などの生産が盛んである。また、黒糖焼酎、パパイヤ漬、サタ豆、グァバ製品等といった亜熱帯特有の味と香りの特産品が多く、果実はマンゴー、たんかん等が豊富に作られている。また、伊仙町の郷土料理である豚骨の煮込みも親しまれている。他にも、徳之島では、約500年前から続いていると言われる伝統文化の闘牛が盛んに行われている。
2010年国勢調査における産業別就業者数及び構成比をみると、第一次産業1,010人(35.1%)、第二次産業362人(12.6%)、第三次産業1,505人(52.3%)と、第一次産業の就業割合が高いという特徴がある。
闘牛は古くから続く伝統的な行事で、チャンピオン決定戦を含め年に十数回行われている。老若男女が集まり熱狂する徳之島の一大イベントである。
「かかし」を福の神にみたて、家を一軒ずつ回り来年の豊作を祈願し、お礼にお餅やお菓子をいただくという行事。