第5章 地域別の人口・経済データ
コラム(人口・経済データで特徴のある市区町村)
【山口県上関町】
経済指標と人口指標には相関関係があるが、山口県上関町では、経済指標は低下を続けており、2010年は36.0と全国でも低調であるにも関わらず、人口指標は2000年の3.3から2010年は4.3まで回復している。
上関町は山口県東南部、瀬戸内海の室津半島先端および長島・祝島・八島などの島々で構成されている。古くから、海上交通の要衝として栄えてきた町で、下関・中関と並ぶ防長三関の一つとして発展してきた。そのため港には上関に立ち寄った偉人たちの詩歌が数々残されている。青い海、豊かな緑に囲まれた町、風情ある町並みは連続ドラマ「鳩子の海」のロケ地に選ばれたこともあります。また「花咲く海の町」をキャッチフレーズに各所に花壇を設け、オールシーズン花が見られるようボランティアグループが花を育てている。
2010年国勢調査における産業別就業者数及び構成比をみると、第一次産業264人(19.4%)、第二次産業270人(19.8%)、第三次産業828人(60.8%)、となっている。第一次産業及び第二次産業は減少傾向にあり、第三次産業が増加傾向である。経済指標は1990年以降、40前後の高位で推移しており、低調が続いていることが読み取れる。
基幹産業である漁業は、恵まれた環境を最大限に活かすため、稚魚の飼育、放流、魚礁の設置など一環した海洋資源を育む力を増大させ、施設や流通機能の整備に取り組み、観光漁業などで明日の漁業を担う若者が定着する魅力ある産業を目指している。また、2014年に道の駅「上関海峡」がオープンし、新鮮な魚介類や農産物の直売等を行っている。
上関町は2つの離島を擁し、平坦地が少ないため限られた低地に密集した集落が形成されている。そのため、より効果的で長期的視野に立った土地利用が求められており。交通道路網や情報網、港湾の整備、住宅や商工業用地などの都市的土地利用、観光レクリエーションゾーンの整備を進めている。また、定住化を促進するため、10年間賃借して定住することで買取りが可能となる若者定住促進住宅の建設や新たに住宅を取得する人向けの利子補給制度などを実施している。また、子育ての支援としては中学生までの医療費無料化、保育料の経済的支援、給食費の助成などを行っている。
瀬戸内海の穏やかな海と美しく連なる島を望むことができる。
海辺で目にとまるデベラ干しは上関の海の風物詩。