第2章 労働市場の多様化とその課題

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労働市場を巡る環境が大きく変化する中、労働者側・企業側の双方からみて、性別・年齢・国籍等によらず、多様な価値観やバックグラウンドを持った人材が、個々の事情に応じて柔軟な働き方を選択でき、より多くの人が意欲や能力に応じてより長く活躍できる環境を整備することが重要となっている。

労働者の観点からは、職業キャリアの多様化、より高齢まで働き続ける意欲の高まり、働く時間や場所などの柔軟性、ワーク・ライフ・バランスの重視といった働き方のニーズや価値観の多様化が進んでいる。企業側からも、Society 5.0に向けた技術革新やグローバル化の進展に対応するために、多様な人材の活躍の促進により、新しいアイデアの創出やイノベーションにつなげていくことが期待される。また、景気回復の長期化により企業の人手不足感が高まる中で、女性、高齢者、外国人材を含めて人材の確保が喫緊の課題となっている。

このような問題意識の下、この章では、<1>多様な人材の活躍が進んでいる背景、<2>多様な人材の活躍のために必要な雇用制度等の見直し、<3>多様な人材の活躍が生産性等の経済に与える影響の3つの論点を詳細に分析し、今後の日本経済の成長のためのインプリケーションを考察する。

第1節では、多様な人材の活躍が必要となっている背景について、雇用者と企業側の観点からその要因を示す。また、多様な人材の活躍の現状についても雇用者と企業側のそれぞれから整理を行う。

第2節では、多様な人材の活躍に必要な雇用制度や人事管理等の側面について分析する。その後、特に高齢層の就業促進に必要な制度について詳細に考察する。また、多様な人材の活躍に必要となる働き方改革の現状についてビッグデータを活用した分析を行い、どのような働き方の変化がみられているのかを確認する。

第3節では、多様な人材の活躍が経済に与える影響について分析を行い、多様な人材がプラスの効果をもたらすための条件について考察する。また、就業する高齢層や外国人材の増加が労働市場に与える変化についても分析を行う。

第4節では、これらの分析結果を踏まえて、多様な人材の活躍に向けた全体的な課題を整理する。

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