第1章 緩やかな回復が続く日本経済の現状 第2節

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第2節 最近の消費動向の検証と消費喚起に向けた展望

我が国の個人消費は、雇用・所得環境や消費者マインドが改善する中で、緩やかに持ち直している。国民経済計算の民間最終消費支出をみると、2015年中は四半期ごとに増加と減少を繰り返し通年では前年比マイナスとなった後、2016年1-3月期から5四半期連続で増加するなど、底堅さは増している。ただし、実質でみた雇用者報酬が2015年度の前年度比1.3%増から2016年度は同2.2%増と伸びが加速したのに対して、実質民間最終消費支出は2015年度に同0.5%増、2016年度に同0.6%増の伸びにとどまっており、第1-1-14図でみたように、平均消費性向は2014年以降低下傾向にある。高齢化を背景に長期的に貯蓄率は低下すると見込まれるが、我が国では逆に所得が消費の伸びを上回って推移している。

本節では、こうした所得と消費の伸びの乖離について考察し、個人消費を喚起するための方策について検討する。具体的には、まずは、近年の消費の構造変化を詳細に把握するため、形態別の動向、ネット消費の拡大など流通経路の変化、単身化や共働き化など世帯構造の変化に伴う消費の動向の変化をみる。その上で、こうした消費の構造変化を踏まえた統計調査の見直しに向けた取組を紹介する。さらに、年齢階層・所得階層別に、消費性向を押し下げる要因となる様々な仮説について検証し、今後の消費喚起に向けた課題を検討する。

1 個人消費の構造変化

近年のスマートフォンの普及やICTの革新、都市化、単身化や高齢化といった世帯の構造変化は我が国の個人消費の構造を大きく変えている。本項では、まず、消費についての詳細な分析に入る前に、こうした個人消費の構造の変化を概観する。

サービス消費、非耐久財消費の増加

我が国の個人消費の財別の構造変化を概観するために、消費支出を、食料品やエネルギーなどの非耐久財、衣料品などの半耐久財、自動車や家電製品などの耐久財、サービスの4形態に分類してその推移をみてみよう(第1-2-1図(1))。数値は実際の消費者の感覚に近い名目を用いる。

4形態のうち、サービスについては、長期にわたって一貫して増加がみられる。高齢化に伴う保健や医療サービスへの支出の増加、単身世帯の増加に伴う外食の増加などが背景にあると考えられる。

非耐久財については、2014年4月の消費税率の引上げに伴う駆け込み需要と反動減がみられ、その後はやや弱含みで推移しているが、やや長い目で見ると増加している。非耐久財のうち食料品への支出は、価格の上昇に加えて、このところ健康志向の高まりや、単身化・共働き化による調理食品への支出の増加などから増加しているが、省エネ家電の普及や自動車の燃費性能の向上が進んだことなどによりエネルギー消費は減少している。

耐久財消費は、リーマンショック以降の累次の経済対策において、エコポイントやエコカー減税といった取得促進策や、消費税率の引上げ前の駆け込み需要などによって一時的に需要を先食いしたこともあって2014年初めまで高い伸びを見せた後、その反動で減少していたが、最近ではストックの調整が一巡して増加に転じている。

半耐久財についても、2014年に消費税率引上げ前の駆け込みとその反動減の影響でやや振れたものの、その後横ばいで推移し、2015年夏以降一貫して減少傾向にある。背景としては、衣料品への支出が長期的に減少傾向であるほか、書籍やCDといった記録媒体がサービスに分類されるダウンロード販売やストリーミングに代替されていることも影響していると考えられる。

第1-2-1図(2)において、目的分類別にみると、住居・電気・水道・ガスが最も大きな寄与となっている。家計のエネルギー消費は減少しているものの、単身化による世帯数の増加や、地方と比べて家賃の高い都市部に住む人口の増加などにより、家計全体での住居費用が増加していることがあると考えられる。次に増加寄与度が高い通信については、携帯電話やスマートフォンの普及が背景にある。電話やメールといったコミュニケーションだけでなく、ゲームなどデジタルコンテンツの購入やインターネット通販など様々な消費がモバイル端末を通じてなされるようになっている。そのほか、外食・宿泊といったサービスが押上げに寄与しており、サービス消費への比重が増加している。

他方で、減少に寄与しているものとしては、被服・履物や家具・家庭用品・家事サービスがあげられる。被服・履物については実質でも減少しており、ファッションより健康に関心が高い高齢者層の割合が増加していること等を背景に衣料品等への支出が減少しているとみられる。家具・家庭用品・家事サービスについては名目ではやや減少に寄与しているものの実質では増加している。近年の特徴としては、娯楽・レジャー・文化が名目でも実質でも減少に寄与するようになっており、パソコンやカメラといったモバイル端末に市場を奪われた製品や、書籍や新聞といった物理的メディアへの支出の減少が効いていると考えられる。

以上をまとめると、消費の内容については、サービス消費が着実に増加する中で、半耐久財は、その一部がサービス消費に代替されつつ、高齢化もあって水準を落としている。また、耐久財の需要先食いによる反動減は一段落し、食料品など非耐久財については過去と比べて高めの水準で推移している。こうした消費内容の変化は継続していくと考えられ、今後も注視していく必要がある。

最後に、高額かつ購入頻度が低いため消費動向を大きく左右する耐久財消費について、ストック面から分析を行う。家計が保有する耐久消費財ストックは国民経済計算の参考表として推計されている。対GDP比でその動きを見ると、2008年以降、リーマンショックとその後の景気後退によって経済成長が鈍化する中、耐久財消費を促す経済対策もあって、ストックの積み上がりが加速している。その後、2014年には消費税率引上げ前の駆け込みもあって大きくストックが積みあがった後、その反動もあって2015年には伸びが低下している。一定の仮定の下で2016年末時点のストックを推計すると、やや増加しているとみられるものの耐久財のGDPに占める割合が今後も増加していくとすれば更なる調整が行われるとは考えにくい(第1-2-1図(3))。家計の耐久消費財に関する調査を見ると、耐久財取得支援策の効果もあって短くなっていた平均使用年数が上昇傾向にあり、また、耐久消費財の購買意欲も改善している12。このように、耐久財の買換えサイクル面からは、今後も消費の押上げに寄与することが期待される。

コンビニエンスストア、ドラッグストア、専門店への流通チャネルのシフトが進む

流通チャネルについても大きな変化が起こっている。百貨店やスーパーの2016年の売上高はそれぞれ6.6兆円、13兆円で、10年前と比べてそれぞれ24%減少、6%の微増となっている。他方で、コンビニエンスストアの売上高は11兆円で、この10年間で49%増加している13第1-2-2図)。

百貨店の売上高は、主力の衣料品の販売額が長期的に減少していることから、全体的に減少傾向にある。衣料品については、専門的に取り扱う織物・衣服・身の回り品小売業の売上が、ファストファッションの流行もあって増加しており、一部需要が流れていると考えられる。ただし、最近ではインバウンド消費に支えられて宝飾品などを含む「その他」の販売が増加しており、全体としても幾分持ち直しの兆しがみえる。スーパーでは、食料品の販売額が増加しているものの、衣料品やその他の販売額は減少しており、全体として緩やかな増加にとどまっている。

他方で、近年コンビニエンスストアやドラッグストアなど立地や品揃えの良い流通チャネルへの消費のシフトが続いている。コンビニエンスストアは、徒歩圏内で24時間いつでも必要なモノやサービスが手に入るという便利さから、車を持たない都市部の住民14や、忙しい共働き世帯、交通手段が限られている高齢者など幅広い層に受け入れられている。また、ドラッグストアは、店舗数の拡大とともに急速に販売額が増加しており、2016年の売上は5.7兆円となっている。医薬品や化粧品だけでなく、食品や生活用品など幅広い商品を取りそろえ、さらに価格も引き下げるなどして競争力を増している。

このように、近年の単身化、共働き化、高齢化、都市化(都市への集住)といった家計の変化にあわせて、消費者に受け入れられる流通チャネルが変化している。

ネット消費は拡大

実店舗での販売からインターネットを通じた販売へのシフトも続いている。ネット通信販売(通販)を含む通販市場は6.5兆円規模と推計されている(日本通信販売協会(2016))。家計のネットショッピングの利用実態をみると、ネットショッピングを利用する世帯の割合は増加しており、直近では3割程度となっている。ネットショッピングの内訳を見ると、食料、衣料、家電といった商品の他、旅行や保険、チケット、デジタルコンテンツなどのサービスが購入されている(第1-2-3図)。

こうした変化は、技術革新により様々な商品がネット経由で便利に購入できるようになったことに加え、実店舗に行く時間のない共働き世帯や、移動手段の限られる高齢世帯の増加など社会の構造変化を反映していると考えられる。

共働き化、単身化、高齢化、都市化による消費の変化

前述したように、共働き化、単身化、高齢化、都市化といった家計の属性変化は我が国の消費動向に大きな影響を与えている。こうした属性別に消費の特徴を調べることで、どのような層がどのような財・サービスを購入しているかをみてみよう。以下では、世帯属性毎に、財・サービスの各品目への支出額の全消費支出額に占める割合を計算し、平均的な家計のそれで除した特化係数を計算することで、各世帯属性がどのような財・サービスに多く支出しているかを把握する(第1-2-4図)。

まず、妻の就業形態で比較すると、共働きでは教育費や仕送り金、交通通信などの特化係数が高くなっている一方、家賃地代や家具・家事用品、教養娯楽、交際費の特化係数は夫のみ就業が高い。共働き世帯は、子どもへの教育費や仕送りといった支出を賄うために、交際費などを節約している可能性がある。

さらに、単身世帯の特徴をみるために、世帯人員別の特化係数をみると、単身世帯では、持ち家率が低いことから家賃地代が高く、食事を外食に頼っている傾向がうかがわれる。また、自動車保有率が低く、自動車関係費が低い代わりに、交通費が高い。

年齢別の傾向を確認すると、20歳代では、家賃地代や外食、交通費、被服及び履物の特化係数が高く、酒類を含め食料品で低くなっている。30歳代では、概ね20歳代と同様の傾向がみられるが、全世代平均に近くなっている。40歳代では、教育費が突出している。50歳代では教育費が高くなっていることに加え、大学進学などで家を離れる子どもがいる家庭が増え、仕送り金が高くなっている。60歳代では、教育費が大きく減少し、子育てが終わっている世帯が多いことがうかがわれる。70歳代では、家事サービスや医薬品など保健・医療への出費が多くなっている一方、書籍や交際費の支出も多くなっており、教養への関心の高さやいわゆる「アクティブシニア」の存在感が確認できる。

最後に、都市規模別にみると、大都市では、家賃地代や被服及び履物の特化係数が高くなっている。小都市では、反対に家賃地代や被服及び履物が低く、逆に家事サービスや光熱費が高くなっている。大都市では、持ち家率が低く家賃が高いことや、勤め人が多く通勤服等への支出が多いことが背景にあると考えられる。小都市や町村では、持ち家率が高く、家賃地代が少ない一方、暖房用の灯油などへの支出が多いことがわかる。また、自動車の保有率は地方が高いため、地方では自動車等関係費が高く、都市では交通費が高い。

2 多面的に消費を捉える取組

前項では、我が国家計の消費構造の変化を考察した。ここでは、こうした変化をどう捕捉していくかについて、昨今の統計改革の取組を踏まえて述べる。

消費関連統計の現状

消費動向を把握するための統計や指標は、作成方法の違いによって、調査統計や業務統計からなる一次統計と、複数の一次統計等から作成される加工統計に分けられる。さらに、調査対象によって、消費支出を行う世帯を対象とするものは需要側統計、販売や出荷を行う業者を対象としたものは供給側統計に分類される。このうち、一次統計の主要なものとしては、需要側統計では、消費支出や所得、資産・負債の状況を調査する「家計調査」(総務省)や頻度の少ない高額の消費やICT関連消費の把握を目的とした「家計消費状況調査」(総務省)があり15、供給側では業種別・業態別の卸売小売の動向を把握する「商業動態統計調査」(経済産業省)や「サービス産業動向調査」(総務省)、「特定サービス産業動態統計調査」(経済産業省)がある。加工統計の代表的なものとしては、GDP統計(内閣府)があり、四半期速報(QE)の民間最終消費支出は、家計調査等の需要側統計から推計される需要側推計値と生産動態統計等の供給側統計から推計される供給側推計値を組み合わせて推計される。また、月次の消費動向を総合的に把握するために、内閣府ではQEの作成方法を簡略化した消費総合指数を公表しているほか、日本銀行は供給側統計に基づく消費活動指数を公表している。

消費関連の一次統計の改革

家計調査や商業動態統計などは、支出や販売の詳細が速報性をもって把握できる反面、それぞれの統計単独ではマクロの消費動向を捕捉することは困難である。マクロの消費動向を把握するためには、世帯数の変動を考慮するなど、様々な情報を総合する必要があり、加工統計が用いられる。ただし、加工統計の正確性については、推計方法の精度だけでなく、それに用いられる基礎統計の精度によるところも大きい。QEや消費総合指数に用いられている家計調査は、必ずしも消費全体の月次動向を把握するために設計されたものではないことから、月次の変化幅が大きいなど限界も指摘されている。また、調査の中心が二人以上の世帯となっているが、単身世帯が増加し、全世帯の3分の1を占めていることを踏まえると、単身世帯についてよりきめ細やかな把握が求められる(第1-2-5図)。

こうしたことから、総務省では、専門家による議論を踏まえ、新たに「消費動向指数」(CTI)を開発することとしている。この新指標は、ビッグデータの活用や状態空間モデルの採用等によってミクロ消費動向及びマクロ消費動向の把握を目指すものである。さらに、これまで2人以上の世帯に比較して調査世帯数が少ない単身世帯の動向を把握するため、「家計消費単身モニター調査」を導入することとしているほか、レシートの自動読取機能を持った電子家計簿の導入によって調査対象家計の記入負担を軽減することとしている。また、同一世帯内でも家計が世帯員単位となる、いわゆる「個計化」への対応について、検討が進められている16

供給側統計については、生産動態統計や商業動態統計といった財に関する統計に比べ、サービスに関しては、統計の整備が不十分であるとの指摘がある。こうしたことを踏まえて、サービス産業動向調査、特定サービス産業実態調査等のサービス関連統計を発展的に統合するとともに、付加価値構造を正確に把握するための詳細な情報を調査することとしている。

需要側と供給側統計の精査

マクロでみた消費動向の把握に際して、需要側統計と供給側統計で、それぞれ特性の違いがある点には留意が必要である。内閣府では前述のとおり消費総合指数を作成しているが、この指数を需要側と供給側で分解してみると、両者が若干乖離する期間がみられる(第1-2-6図)。

こうした乖離が生じる要因には、需要側統計における支出のタイミングと供給側統計における出荷のタイミングのずれによって両者の動きが異なることや、消費総合指数では、供給側項目推計の際、店舗等における在庫の調整を行っていないことなどがある。さらに、近年増加しているインバウンド消費は、需要側統計では含まれないが、供給側統計では含まれる。したがって、こうした様々な統計間の相違を考慮して総合的に消費動向を検討する必要がある。

なお、QEにおける家計最終消費支出の推計にあたっては、年次推計値との乖離を縮小する観点から、需要側統計と供給側統計の新たな加工・推計手法の開発を2017年中に実施することとしている。

ビッグデータによる消費動向の把握

前述したような総務省の消費動向指数の取組など各府省では、ビッグデータを経済指標として活用する試みが近年活発になされている。ビッグデータは、統計調査と比較して速報性が高く、ビッグデータを用いた景気動向の把握手法が確立されれば、リアルタイムで景気動向の把握が可能となる。

内閣府では、ビッグデータの中でも比較的入手しやすいPOS17データから作成した日次の物価指数と消費動向や景気循環の関係について分析を行った(詳細は藤田(2017)を参照)。POSデータとは、スーパーなど小売店において消費者が商品を購入した際にレジで読み取られた情報が集計されたものであり、ある商品がいつ、どこで、どれくらいの価格で販売されたかがわかる。

第1-2-7図では、全国のスーパーの日用品及び食料品(除く生鮮食品)の価格動向と売上高の関係をプロットしているが、上方への通常価格改定頻度が増加したり、下方への通常価格改定頻度が減少すると、売上高が増加する傾向がみられる。ここでいう、上方(下方)への通常価格改定頻度とは、特売による価格変動を除いた上で、商品のうち前年比でみて値上げ(値下げ)された品目の割合であり、多くの商品で値上げが行わている時期は家計の支出が活発になり、逆に値下げが広範に行われているときは家計の支出が抑制されているということを示している。小売店が消費者のマインドに敏感に反応して価格改定を行っているとすれば、こうした価格をリアルタイムで捕捉することで景気動向を機敏に把握することが可能であると考えられる。

コラム1-2 より正確な景気判断のための統計改善

経済統計は、政府・日本銀行の景気動向判断の基礎となり、また、企業など民間主体も意思決定の際に参照することから、現実の経済の姿を迅速かつ的確に捕捉することが求められる。我が国の経済統計は、消費、生産、投資、雇用、物価といった経済の各分野について隈なく整備され、諸外国と比較してもそん色のないものとなっている。しかしながら、経済統計を取り巻く環境は、世帯構造の変化や新たなサービスの出現などの経済社会構造の変化、統計人材・予算の制約、回答率の低下といった調査実施の困難化など、近年厳しさを増している。こうしたことを踏まえ、政府では、経済や統計の専門家による議論を踏まえ、2016年12月21日に「統計改革の基本方針」を決定した。本方針では、より正確な景気動向判断や我が国経済構造の正確な把握を通じた「証拠に基づく政策立案(EBPM)」に資するため、抜本的な統計改革や一体的な統計システムの整備に取り組むための政府一体となった統計改革の方向性を示すとともに、GDP統計を始めとした経済統計の改善方策をとりまとめている。具体的には、家計調査におけるオンライン家計簿の導入や家計消費単身モニター調査の導入、新たな消費指標(CTI)の作成、法人企業統計の一部早期化に向けた検証、建築物リフォーム・リニューアル統計の改善によるリフォーム投資のSNAへの反映、サービス関連統計の発展的統合と拡充といった基礎統計の改善に加え、GDP四半期速報の推計手法について、需要側統計と供給側統計の新たな加工・推計手法の開発などの改善を図っていくこととした。

さらに、「統計改革の基本方針」に基づき設置された統計改革推進会議における議論を踏まえ、GDP統計の基盤となる産業連関表の供給・使用表(SUT)体系への移行等を行うなど、基準年推計や年次推計についても改善を図っていくこととしている。

3 消費の伸びが弱い背景

以上では、個人消費の構造変化やその変化を捉えるための手法についてみてきた。本項では、消費の伸びが弱い背景について、年齢階級や所得毎に分析することで、詳細に考察する。

平均消費性向は全年齢階級で低下

2014年以降、家計の平均消費性向18は低下している。やや詳しくみるために、第1-2-8図で年齢・所得階層別に平均消費性向をみると、年齢を問わずおおむね低下傾向にある。特に平均的な所得の家計の動向を表すと考えられる第III五分位をみると、年齢階層を問わずに横ばいないし低下している。これは付図1-3にみるように、雇用・所得環境が改善を続ける中、可処分所得が横ばいないしやや増加するなかで、消費支出が減少傾向にあることによる。一般的な効用関数を前提にすれば、家計は一時的な所得ショックに対して消費を平滑化するため、所得が増加する局面では平均消費性向が低下する傾向があるが、2012年以降継続的に景気の緩やかな回復基調が続いている中でも平均消費性向が低下していることは、家計の消費意欲が何らかの原因で抑制されている可能性を示唆している。こうした背景を詳しくみるために、以下では年代別の消費動向を分析する。

若年層では、予想生涯所得の低下が消費の下押しに寄与している可能性

近年、若者の消費に対する意欲が低下していると指摘されている19。恒常所得仮説に基づくと、家計は、将来の賃金の変化を踏まえて生涯に稼ぐ所得を予想し、それに基づいて今期の最適な消費水準を決定する。コラム1-1でみたように賃金カーブのフラット化が進む局面では、若年層は生涯所得を低く見積もるため、結婚や出産といった将来のライフイベントや老後に備えて貯蓄する動機が強まる。さらに、若年層が、終身雇用を前提とせず、将来離職する蓋然性を高く見積もっている場合、予想生涯所得に対する不確実性が高くなり、予備的貯蓄動機から現在の支出を抑えようとする。

実際、雇用の安定性や収入の増え方に対する若年層の信頼感はリーマンショックや東日本大震災という大きなショックを経て、景気の拡大局面においても改善が緩慢となっている。第1-2-9図(1)で29歳以下の世帯の雇用所得環境に対する見方についての調査結果をみると、雇用環境については、失業率や有効求人倍率等の指標が改善を続ける中で、2015年秋以降中立を示す50を下回り、その後横ばいの動きとなっている。若年層で雇用環境について改善を予想する世帯がなかなか増えていかない状況がみられる。収入の増え方についても、2015年前半には50を上回っていたものの、50未満となり、その後おおむね横ばいとなっており、将来の明るい見通しを持てない状況が垣間見える。これは、2002年以降の景気回復局面では、景気の拡大期間が続くにつれて、2006年以降、いずれの指標でも50を超えて改善が進んでいたのと対照的であり、「就職氷河期世代」といわれた層を含む当時の若年層と比較しても、慎重化していると言える。

若年層は、物心ついた時から持続的な物価上昇を経験したことがないため、適合的な予想によりデフレ予想が強い可能性がある。物価の下落予想は現金保有に対する強い動機につながるため、消費の先送りにつながっている可能性がある。将来の物価上昇に対する見通しをみると一貫して若年層が低い(第1-2-9図(2))。

身軽さを求める嗜好の変化

恒常所得仮説からみた消費意欲の低下に加え、最近の若者特有の嗜好の変化もみられる。

我が国では、長期的に未婚者の割合が増加しているが、独身の利点として行動や生き方が自由であることを挙げる者が男女ともに増加している(第1-2-10図(1))。また、異性の交際相手がいない未婚者のうち、結婚も交際も希望していないとする者が、男性で34%、女性で29%にのぼるとする調査もあり、男女交際に関しても消極的な若者が多いことが示唆される(第1-2-10図(2))。この背景としては、正社員ではないなど経済的な不安があるほか、現在の生活に満足しており、変化を求めない堅実志向が高まっている可能性がある。

こうした中、親と同居する未婚者の割合は増加しており、30歳代前半では、男性で約3割、女性で約2割にのぼっている20

親と同居する未婚者の増加は消費にどのような影響を与えるのであろうか。第1-2-10図(3)にみるように、若年層の単身世帯の家計消費支出は月平均15万円程度となっている一方、夫婦と未婚の成人子どもからなる世帯と、夫婦のみ世帯の消費支出額の差は4万円程度である。様々な条件があるため一概には言えないが、親と同居する未婚者の増加はマクロの消費を抑制している可能性がある。

さらに、若者の中では、新品のモノを購入して保有するのではなく、レンタルや中古品の売買によってモノの保有を必要最小限にする「ミニマリスト」的志向を持つ者が増加しているとする分析もある21。こうした人間関係やモノに対する執着のなさは、将来に対する漠然とした不安に対して対処するため身軽にしておこうという意識の表れである可能性がある。

中古品の売買については、ネットオークションを利用した取引が普及してきたが、ここ数年スマートフォンで消費者同士で売買ができるアプリ、いわゆる「フリマアプリ」を通じた市場が拡大しており、特に衣料品などの売買が盛んである。

経済産業省の調査によるとネットオークションを利用したCtoCによる市場規模は3500億円程度、フリマアプリによるCtoC市場の規模は3000億円程度と推計されている22。こうしたCtoC市場の拡大は、既存のBtoC市場を侵食する一方、家計側からみれば保有しているあらゆるモノやサービスが現金化できるため、購買力の増加や流動性制約の解消にもつながり、消費への押上げ効果も期待できる。また、都市部においては、新しい商品が欲しくても保管するスペースがないとの声もある。リサイクルを前提にすれば、保管場所を気にせずモノを購入できるため、消費に対して積極的な効果も期待できる。

公的負担が50歳代以下の世帯の可処分所得の伸びを抑制

家計の支出の動向を年齢別にみると、30歳代から50歳代にかけて子どもの教育費や住宅購入といった高額な出費により全体の支出が大きく押し上がり、ライフサイクルでみた支出は、50歳代でピークを形成する。こうした支出の増加は、可処分所得の増加に支えられてきたが、近年、社会保険料負担の増加により、こうした年齢層において可処分所得の伸びが抑制されている可能性があるとの指摘がある。

こうしたことをみるため、第1-2-11図において、2012年以降の等価可処分所得の変化について、勤労者世帯を対象に勤め先収入や社会保障給付、社会保険料などに寄与度分解を行っている。各年齢層の可処分所得の変化をみると、社会保険料負担の増加が60歳未満の各年齢層でいずれも可処分所得の変化に対し下押しに寄与していることがわかる。特に、40歳代や50歳代では、社会保険料を中心にした非消費支出による押下げが大きい。他方で、勤め先収入については、雇用・所得環境の改善を背景に、可処分所得の押上げに寄与している。また、財産収入については、株価の上昇などを背景に50歳代や60歳代で可処分所得の押上げに寄与している。60歳代では、直接税が減少し非消費支出が可処分所得の増加に寄与する中、勤め先収入が可処分所得を押し下げている。これは、高齢世代で引退せず働きに出る人が増えたため、勤め先収入の少ない勤労者世帯が増加した結果、勤労者世帯平均でみた勤め先収入を押し下げている可能性がある。

他方、社会保険料負担が増加する半面で、マクロ経済全体でみると、年金給付等の移転が可処分所得の増加に寄与する点を考慮する必要がある。改めて、前節の第1-1-14図(2)を確認すると、2015年、2016年については、社会保障負担の増加と給付の増加がほぼ相殺する中で、可処分所得の増加は賃金と財産所得を合わせた家計の収入の伸びにほぼ見合った形になっている。こうした点を勘案すると、マクロ経済全体でみた場合に、社会保障負担の増加が一概に消費全体を下押ししているとまでは言えないが、他方で、社会保障を通じた世代間の移転はかつてよりも大きくなっており、特に40~50歳代の現役世代については負担が増えている点は否めないと考えられる。

老後の生活に対する意識は強い

前述のとおり50歳代までの家計は、住宅ローン返済や子どもの教育費などの支出が多い一方、退職後の生活への準備を進めている。65歳時点の平均余命をみると、男性では約19年、女性では約24年となっており、この20年で3年以上伸長している(第1-2-12図(1))。

家計へのアンケート調査では、老後に必要と考える生活資金は2人以上の世帯で月25万円から27万円となっている(第1-2-12図(2))。家計の老後資金の主力は公的年金だが、平成29年度の年金改定額をみると、国民年金は一人当たり6万5千円程度、厚生年金は夫婦二人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額で22万円となっている。

アンケートにおいては、家計が考える必要な金融資産は近年増加傾向にあり、2016年では平均2,100万円程度となっている。生活費は変わらないものの、平均余命が伸長した分必要な資金が増加していると考えられる。実際の家計の金融資産保有額をみると、年齢とともに増加していくものの、40歳代で平均約590万円(中央値は200万円)、50歳代でも平均約1,100万円(同500万円)となっており、家計は必要な老後資金を確保するために節約志向を高めている可能性がある(第1-2-12図(3))。

高齢層では単身世帯が増加

高齢化が進む中で高齢者の単身世帯が急激に増加している。65歳以上の単身世帯(社会福祉施設等の入居者で一室に住んでいる場合を含む)は、2000年の407万世帯から、2016年には821万世帯と倍増している(第1-2-13図(1))。単身無職世帯では、消費支出が可処分所得を4万円程度上回っており、貯蓄の取り崩しによって生計をたてている様子が確認できる(第1-2-13図(2))。

他方で、65歳以上世帯の資産分布をみると、3,000万円以上の資産を持つ余裕のある層が最も多く、最近その割合が増加傾向にある。他方で、100万円未満の層も増加傾向であり、差が拡大している(第1-2-13図(3))。

家計調査で、現在貯蓄高別に高齢者世帯の可処分所得と消費の状況をみると、貯蓄が多いほど消費が多いという状況がみられる。また、年齢別にみると、労働所得がある世帯も多い60歳代より、無職世帯が多くなる70歳以上世帯の方が消費支出が少ない。例えば、資産がもっとも少ないグループである第I分位では、60歳代では22万円程度の消費支出を行っているが、70歳以上では19万円程度に減少する。年齢が高くなるにつれて世帯人員が減少するという点も考慮する必要があるものの、資産残高が少なく年齢が高い世帯では支出が少ないことに留意する必要がある(第1-2-13図(4))。

他方で、高齢者世帯では3,000万円以上の金融資産を保有する層も増加している。こうした層は、株価等金融資産の価格の変動の影響を受けやすいと考えられる。消費者マインドと株価の動向を比較すると、世帯主の年齢にかかわらず消費者マインドが株価と沿うような動きをしているが、相関係数をとると、全世帯が0.59、高齢世帯が0.63と、高齢者世帯が全体よりやや高くなっている23第1-2-13図(5))。

住宅ストックの活用による消費需要喚起

第1-2-4図でみたように、家計調査でみると高齢者世帯では家事サービスや保健・医療といった生活関連サービス、住居の設備修繕・維持に対する支出割合がほかの世代に対して高くなっている。

高齢者世帯は、住宅保有率が高く、金融資産残高も多いなど、他の世代と比較して資産形成が進んでいる一方、労働所得が少なく将来的なキャッシュフローに不安が大きいことから、毎月の食費や光熱費、医療費などを負担に感じ、節約志向が高まっている可能性がある。特に、生活の基盤となる住居については、子どもが巣立ってしまい夫婦2人や単身で暮らすには広すぎる、駅やバス停から遠く自家用車がないと買い物や通院に不便である、バリアフリー化がされていないといった要因から、年齢とともに住み換えやリフォームの必要性が高まることが予想される。実際に団塊の世代に対する意識調査によれば転居したい理由として交通アクセスの改善やバリアフリー化があげられている(第1-2-14図(1))。

他方で、こうした世帯では、手持ち資金が少なかったり、将来的なキャッシュフローを担保にした借入が難しかったりするため、不便を強いられている場合もあると考えられる。リフォームや住み替えに関して、住居を担保に融資を受けることができるリバース・モーゲージについては、住宅金融支援機構の住宅融資保険制度を活用した商品が販売されており、2015年度までで763件の実績がある24。さらに、使途をリフォームや住み替えに限定しない「フリータイプ」の商品を利用すれば、住宅以外への消費増加も期待できる。金融機関では、こうしたリバース・モーゲージについて販売を強化する姿勢をみせており、今後の拡大が期待される。

しかしながら、リバース・モーゲージについては、担保となる住宅が戸建ての場合、住宅部分が資産価値と認められないといった課題が指摘されている。これは、我が国の住宅市場においては、既存ストックの活用が不十分であることが背景にある。我が国では住宅の利活用期間が短く、欧州諸国と比較すると日本の住宅投資に占めるリフォーム支出の割合は低水準となっている(第1-2-14図(2))。また、リフォーム市場は近年増加傾向にあるが、高度成長期に人口増加に伴って整備が進んだ住宅が老朽化していることを踏まえると十分とはいえない(第1-2-14図(3))。この背景として、リフォーム投資が住宅価値に十分反映されない、取引量が少ないなど中古住宅市場が未成熟であることがある。政府では、良質な中古住宅の市場流通を促進するため、断熱化等の質を高めるリフォームや中古住宅購入に対する支援に加え、中古住宅購入に際しての物件の調査・検査への補助を行っている25。質の高い住宅は、キャッシュフローを生み出す源泉としても有望である。インターネットを通じた民泊サービスは広がりを見せており、民泊のホストとなる高齢者は増加している。

健康に不安があることの多い高齢者にとっては、安否確認や生活相談サービスなどが受けられるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への住み替えも有用な選択肢となる。サ高住として登録されている住居は、2016年度末で21万戸を超えているが、郊外や公共交通機関・医療機関へのアクセスが悪い地域などに立地される場合もあり、また居室面積が25m2未満のものもある。高齢者が豊かな生活を送れるような適切な住宅供給がなされることが必要である(第1-2-14図(4))。

消費の喚起には複合的な対策が必要

これまでの議論を踏まえると、消費が弱い背景には主に2つにまとめることができよう。

一つ目は、雇用・所得環境の改善と家計消費の動向の乖離である。すでにみたように消費者マインドの改善はリーマンショック以降、実際の雇用・所得環境の改善に比べて緩慢となっている。前節でみたような労働者のリスク回避的な姿勢に家計の消極的な将来見通しがあいまって、手許にお金を溜めておこうとする姿勢が強まっている。こうした姿勢は、後述するように、家計の資産における現預金比率の高まりをもたらしている。

二つ目は、人口動態や嗜好の変化といった構造的な要因である。まず、少子高齢化は今後も税や社会保険料を通じて現役世代の可処分所得を下押しする可能性がある。また、長寿命化により、老後の生活に対する意識はさらに高まっていこう。若者の嗜好の変化を踏まえると、晩婚化・非婚化傾向は続いていくものと考えられる。また、モノの保有に対するこだわりは今後も薄れていく可能性がある。

こうした分析を前提にすると、消費の喚起には複合的な対策が必要となる。

一つ目は、将来の雇用・所得環境に対する信頼感の回復である。バブル崩壊やリーマンショックを含む、大規模な景気後退期の経験から、家計はリスク回避的な姿勢をとらざるを得なくなっている。他方で、雇用・所得環境の改善は一部の指標ではすでにバブル期並みとなっており、賃金の上昇も定着しつつある。こうした中で、家計の予想生涯所得や雇用の安定性に対する悲観的な見方が解消していくことが期待される。労使の取組により、単年度の賃上げだけではなく、中長期的な成長とその分配、実質ベースでみた所得の増加について明確な見通しを共有し、着実に実施していくことで家計の信頼感も高まっていくことが考えられる。また、働き方改革により、同一労働同一賃金の取組や長時間労働の是正を進めるとともに、年齢に関わりなく働くことを選べる生涯現役社会とすることや、保育・介護サービスの充実など両立支援の強化により男女ともに働きやすい社会にすることが重要である。

以上のような取組により、若年層の将来にわたって雇用・収入が安定し、結婚や子育ての阻害要因が解消され世帯形成が後押しされることが期待される。また、中高年層の継続就労に対する信頼感が高まれば将来不安が解消することが見込まれる。さらに、社会保障制度についても、持続可能性を確保するとともに、家計の貯蓄から投資への転換を促し、資産形成を後押しすることで、老後の不安を低減させていくことが重要である。

二つ目は、潜在需要の喚起である。例えば、家事サービスについては、既にみたように、家事代行や清掃といった家事サービスへの支出割合は単身世帯や70歳代で高くなっている。今後単身化や共働き化、高齢化が進展する中で、家事サービスへの需要は高まっていくものと見込まれる。家事サービスの特徴として、家庭へ訪問し、直接生活に関わることがある。サービスを利用したいと思っていても、消費者が価格や安全面などの不安から利用を躊躇する可能性があり、サービス提供者による安心感の醸成に向けた取組が必要である。都市化や高齢化が進む中で、自動車保有率が下がり、宅配サービスに対する需要も高まろう。さらに、ミニマリスト志向は、中古品市場を一層拡大させていく可能性がある。こうした需要面の変化は、新たなサービスの出現の機会である。人手不足が今後も予想される中、安価で良質なサービスを生み出していくためには、AIやIoTの活用を含めたイノベーションが必要である。こうした新分野の発展には、適切な規制・制度の整備が不可欠であり、官民の一体的な取組が必要である。

三つ目として、住宅等の保有資産を流動化することで、家計の購買力を底上げし、消費喚起につなげる必要がある。平均的な家計にとって最大の物理的資産は住宅であり、適切な評価システムの確立等による中古住宅市場の成熟化・拡充によって、住み替えやリフォームが促進され、さらに、住宅を担保とした流動性の確保により消費喚起が期待される。

住宅のような大きな資産を保有しない若い世代においても、前述したような衣料品を始めとした中古品市場の拡大により、様々な財が「資産化」することで、消費喚起に繋がる。ただし、こうした中古品市場についても、匿名の消費者同士が取引をするという不安感もあるため、安心感を確保するような取組が重要となろう。


(12)「消費動向調査」2017年3月調査によれば、主要耐久財の平均使用年数は、冷蔵庫が13.3年、洗濯機が10.2年、乗用車が9.0年などとなっており、地上デジタル放送への移行があったテレビを除き調査開始以来最長となっている。また、「耐久消費財の買い時判断」に関する意識指標(二人以上の世帯、季節調整値)は、2016年12月以降プラス基調を維持している。
(13)伸び率はリンク係数を加味したもの。
(14)DID(人口集中地区)人口の全人口に対する割合は、95年から2015年で約4%ポイント上昇している(国勢調査)。
(15)家計消費を捉える需要側統計として、アメリカでは消費支出調査(Consumer Expenditure Survey)があるが、公表は年次である。英国には、生計費調査(Living Costs and Food Survey)があるが、これも公表は年次である。両国では、消費動向の把握に当たって主に供給側統計が活用されており、需要側統計については、その動きを補完するものと位置付けられている。
(16)総務省(2017)を参照。
(17)Point Of Salesの略。
(18)消費性向は、消費支出を可処分所得で除した「平均消費性向」と、限界的な可処分所得の増加に対する消費の増加分の割合である「限界消費性向」で表される。所得の伸びに対する消費の伸びは、本来限界消費性向で分析されるべきであるが、統計上の限界があるためここでは平均消費性向を分析している。
(19)例えば、 原田(2013)は、いわゆる「さとり世代」の特徴として、長く続いた経済状況の低迷によってリスク回避的になっていることや、スマートフォンによるコミュニケーションの変化によって、常に監視されているという感覚があることや周囲との協調を重視するといった姿勢が強まり、行動に制約がかかっているといったことが消費動向に影響を与えていると分析している。
(20)平成22年度国勢調査
(21)松下ほか(2016)を参照。
(22)経済産業省(2017)を参照。
(23)それぞれの95%信頼区間は[0.35, 0.76]、[0.41, 0.79]。期間は、2014年1月~2017年6月。
(24)野中(2016)を参照。
(25)国土交通省(2016)
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