第2章 新たな「開国」とイノベーション

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高齢化、人口減少が進み国内需要、生産力の拡大の展望が容易ではない今日において、有力な処方箋として期待されるのが新興国等の活力の取り込みであり、そのためには更なる「開国」(経済の対外開放)の推進が一つの選択肢となる。だが、そもそもグローバル化の流れは以前から存在し、日本経済はすでに輸出主導型ではないか、むしろ海外との競争で賃金の圧迫など負の影響が問題となっているのではないか、といった指摘もなされている。特に、今回の震災後の状況を踏まえると、産業空洞化の懸念は看過できない問題である。新たな「開国」の可能性を探るに当たっては、こうした点を含め、改めて我が国と世界経済との関わりについて理解を深めておく必要がある。

そこで、本章では、主に次のような三つの論点について検討する。第一に、日本経済は、そもそも海外に対して開かれているのかどうかの検証である。その際、貿易、投資など着目する経済活動、評価する視点などによって答が異なり得ることに注意する。第二に、グローバル化のメリットとリスクについての整理である。メリットの明確化とリスクへの理解があって初めて一層の「開国」が説得力を持つ。第三に、新たな「開国」が提示する本質的な課題である、グローバルな知識経済化に対応したイノベーションの形を考えることである。

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