第2章 景気回復における家計の役割

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内需の弱さは我が国経済の病弊とされてきた。また、2002年以降の景気回復が実感できない理由として挙げられたのは、企業部門から家計部門への波及が弱かった点である。しかし、家計を「波及」を受ける側とだけ捉え、雇用・所得環境の改善を待つのでは不十分である。家計需要のGDPに占める割合は低下したとはいえ6割である。その一部で新たな需要が生まれるならば、家計を「起点」とした好循環を考えることができよう。
こうした問題意識から、本章では、次の3つの論点について検討する。第一は、景気の回復における家計需要の変動パターンである。個人消費や住宅投資は所得面にどこまで従属して動くのかを確認する。同時に、人口減少などを受けた構造的な問題についても検討する。第二は、マクロの雇用・所得環境以外の個人消費の変動要因である。高齢化、所得分配、労働時間や環境問題への対応といったテーマについて考える。第三は、住宅投資やリフォームの活性化である。必要とされる住宅の戸数には世帯数が決定的な影響力を持つ。そこで、今後、期待されるのは質的な充実に対するニーズであり、環境問題や都市の在り方との関係も含めてこの点を考える。

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